姉弟妹
前回、担任の芙美子から学校で自分達の結婚式をやる事が決まったと聞かされた隼瀬達。アパートでは姉の暁美が待っていて、ある物を持ってきたと言って弟達の寝室のクローゼットを開ける。そこには、隼瀬のサイズに合ったタキシードと冬未のサイズに合った純白のウエディングドレスがかかっていた。
「え、お姉ちゃんこれ・・・」
「まああんた達のサイズは分かっとったし、そぎゃん太ることもにゃあどと思って。まあこんだけじゃないけどね」
そう言って、持ってきていた2つの箱を開ける暁美。
「黒紋付・・・」「白無垢・・・」
「ほら、やっぱ和装もあった方がよかろ?まあおかげで夏のボーナス殆どつこてしもたばってん」
まさかここまで、わざわざ全部買ってまでくれるとは微塵も思っていなかった隼瀬達は本当にこの姉すげえなと、感謝してもしきれんなと、その思いに双眸を崩す。
「ほら、泣かんちゃよか。お姉ちゃんはあんた達の為になんでんしちゃあもんたい」
「「ばってんこらしてくれすぎたい・・・」」
「てかこの家紋、葛西の・・・」
「だって冬未ちゃんが斎藤になるわけじゃにゃあど?」
そう、こちらの世界でも結婚したら葛西姓を選ぶ事を隼瀬は決めており、そのへんも暁美はちゃんと考慮していたのだ。
「確かに・・・姉ちゃん、本当にありがとうございます」
「ありがとうございます」
ずっとずっと、自分達のためにやりすぎなくらい尽くしてくれる姉に改めて深々と頭を下げる弟と義妹。
「なーん、私なお姉ちゃんとして当たり前ん事ばしよるだけたい」
隼瀬も冬未も普通の姉にしてはやりすぎだと思うが、それを当たり前だと言ってのけるのが暁美の凄いところだと思う。して、そんな姉弟妹3人で話していると、みやこが私もいるんだけどと言いたげに隼瀬の膝に乗って甘えてくる。
「ふふ、ごめんみやこ。あんたも僕達の結婚式出るね?」
みゃんと可愛いらしい声で返事するみやこ。そして、本当に当日みやこも一緒にやろうと提案する暁美。
「こん子なあんた達の子なんだけん。それに披露宴もするわけだけんなごなるし、寂しがるたい」
「そうね・・・この子人間は怖くにゃあみたいだし」
「咲良達にも懐いとるしね」
式と披露宴とそれなりに時間がかかる事が予想され、その間ずっと放置するよりは当日親達も暁美もいるしと、みやこも連れて結婚式へのぞむことをきめた隼瀬達。して、また昔の話などをしている内になぜか暁美が昔みたいに3人でお風呂入ろうと言い出し、隼瀬も拒否する間もなく狭いお風呂に3人一緒に入る。
「姉ちゃんどこ見よっとね」
自分の股間をじっと見つめてくる姉に赤面して咄嗟に隠す隼瀬。
「いやあ、あんた身長もそぎゃん伸びんでそっちもまだかわいかなって」
「やめんねきしょく悪か!それに大きさじゃなかっでしょ、冬未?!」
「うん、私は隼瀬のそんかわいかつがよかと」
「えへへ」
「「かわいかな」」
「私も毎日こぎゃん隼瀬とおって理性保つの必死だし、お姉ちゃんが禁断の恋に目覚めたのも今なら分かるわ」
「だろ?」
「もう、2人とも身内だけんそぎゃん言うだけだろたい。だいたい男の僕に可愛いとか意味わからんし」
「だってかわいかたい。顔も美人なお姉ちゃんそっくりだし」
「は?姉ちゃんが美人?!冬未目ぇ大丈夫?」
「ちょっと隼瀬、それどぎゃん意味や」
「いや、だってそぎゃん思たことにゃあし」
「まああんた実の弟だけんね・・・ばってんほんと、あんた達姉弟揃って美形って、実際会った人皆言うし」
「「揃ってかぁ・・・」」
別に自分でブスとも思わんけど、そんな自信持てるような顔じゃないよねと目を見合わせる姉弟にそういうとこも周りに好かれるんだよなこいつらと改めて思う冬未であった。
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