決定
楽しかった文化祭も終わり、四高に日常が戻ってきた頃、隼瀬、冬未、充希、咲良の4人は芙美子に呼び出されていた。
「流石にこういうの当日サプライズだと大変だし、もう決まったけん言うね。あなた達2組の合同結婚式の日取りが決まりました!」
いぇーいと1人パチパチ拍手する芙美子に隼瀬と冬未はもちろん、まさか自分達までとは思っていなかった充希と咲良も揃ってキョトンとなる。
「あの〜先生、これ隼瀬達へのサプライズのはずじゃ?」
「最初はそうだったばってん、どうせなら盛大にしよかて話になって、あなた達ももう婚約はしたっだろ?」
「そうですが・・・それで衣装とかって・・・」
「まあなんとかなるごつするけん」
「「「「そぎゃんもんか・・・」」」」
「てか充希、僕達だけってどういう事?」
「あー、もう言うばってんね、前にお姉ちゃんから学校であんた達の結婚式できるか先生に相談してみてって言われて」
「なるほど、姉ちゃんが・・・」「お姉ちゃんらしかね」
「そんで僕はあくまであんた達のためにと思いよったら、まさか自分達まで・・・」
思わぬサプライズに動揺しつつも、充希も咲良も親友と2組で結婚式というなかなかないであろう体験に夢を馳せる。そして、その日取りを芙美子が発表する。
「会場は第2体育館。挙式は今年のクリスマス。披露宴も一応やるよ。出席者は葛西家ご両親、斎藤家ご両親及びお姉さん、三森家ご両親とF組のクラスメイトや4人に近しい友人達だけの小さいもんだけど」
「いえいえ、先生が学校側に掛け合って実現してくれたんですよね、ありがとうございます」
そう言う隼瀬に続いて、心から芙美子への感謝の意を込めて深々と頭を下げる一同。そして、ここに来て元来涙脆い冬未と隼瀬は感極まって双眸を崩す。
「本当に芙美子先生のクラスになってよかった・・・」
「私が急に転校してきた時も暖かく迎え入れてくれたし・・・先生、本当にありがとう・・・・・・」
「もう、無事に式できてから泣かんね2人とも」
たしかにと笑う咲良と充希もその瞳の端に何かが光っていた。そして、当日の大まかな予定の説明を芙美子から受けてこの日は解散。隼瀬達がアパートに帰ると、暁美が待っていた。普段学校の時などみやこが困らないように自動給餌器などは設置しているが、それでもやはり心配で、あの時みやこのために色々してくれて2人がいわば親よりも信頼している姉に合鍵を渡して、ちょくちょく来れるようにしていたのだ。
「おかえり」
「「ただいま」」
「芙美子先生から話聞いた?」
「「うん」」
「まさか学校でなんてたまがったよ、姉ちゃんが動いてくれとったつね」
「うん、まあみっちゃん達ん事もあるし。そんで今日芙美子先生があんた達に話すて聞いとったけんね、これば持ってきたったい」
そう言って弟達の寝室のクローゼットを開ける暁美。
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