お姉ちゃん大好き



お泊まり旅行から帰ってきた隼瀬と冬未はそのまま実家に帰ってきていた。



「まあ見せつけてくれて・・・」



弟達に残る痕を見て、本当に楽しんできたようねと呆れ気味にごちるその旅行資金を援助してくれた姉、暁美。



「おかげさんでね。お姉ちゃん、ありがとう」



「姉ちゃんありがとう」



「いえいえ、あんた達がそぎゃ〜ん楽しんできたならそっでよかたい。ところで冬未ちゃん、私も隼瀬にそのマーキングしてよか?」



「は?」



「なん冗談たい。そぎゃん怖い顔せん・・・それにお姉ちゃんもね・・・・・・」



「「?」」



なんだか気持ち悪いくらいニヤケ気味の暁美に弟達がキョトンとしていると、彼女は携帯の待受を見せつけてくる。そこには彼女と、隼瀬に似たような感じの男が仲睦まじい様子で写っていた。



「「え、(お)姉ちゃん、まさかこん人?」」



「そう、お姉ちゃんの彼氏よ!」



「え、まじ?!」「やったたいお姉ちゃん!」



「まあ私もこん可愛いか隼瀬の姉なわけだし、本気出せば彼氏くらい」



「ほんと、なんか隼瀬に似とんね」



「だろ?冬未ちゃん」



「えーそう?」



「似とるよ。まあ隼瀬のがかわいかばってん」



「それはまあ私も同意ね、ばってんまあ隼瀬はあんたにやったわけだし、私も前さん進まんとね」



「そっか・・・お姉ちゃん、こん人と先ん事まで考えとっと?」



「当たり前たい。まあ今すぐてわけじゃにゃあし、あんた達より後になるかもばってん」



「まあ今付き合い始めならまだそぎゃんか、て思うと私もいきなり結婚とか言うて、隼瀬よう引かんかったよね」



「まあ冬未は昔からなんか猪突猛進ちゅうかそぎゃんとこあるし、僕からでん同じ事言いよったろしね」



「ふふ、ほんなこてあんた達な運命なんだろね」



「「運命ね・・・確かに」」



出会った頃から今の多感な時期まで互いへの思いが微塵も変わらなかったという事は本当にそういう事なんだろうなと改めて思う2人である。



「それに私結局ずっと一人っ子だけん、お姉ちゃんもお姉ちゃんでおってくれて嬉しかつよ」



「冬未ちゃん・・・」



「そっで隼瀬と結婚したら本当に私のお姉ちゃんにもなるなって」



「なん、昔からずっとあんたも私は妹として・・・私にとったらいつまっでんあんた達な世界一可愛い弟と妹よ」



昔から、自分が多感な時期もその愛情を一身に注いでくれた姉の思いを改めて聞いて双眸を崩す弟達。



「2人ともなん泣きよっか。ほら、おいで」



体は大きくなっても、昔と変わらない弟達をその胸の中に包み込む暁美。



「「お姉ちゃん、大好き」」



そう言って子供っぽくスリスリする2人に、嫌な顔ひとつせず、よしよしと頭を撫でる暁美。



「ふふ、あんた達ちっちゃい子に戻ったごたんね」



「「僕(私)達まだ子供だもん」」



「ふふふ、こぎゃんとこみっちゃん達ん前で見せられんね」



そう言いながら、普通なら姉なんて存在は鬱陶しいと思いがちな年頃の2人にここまで甘えられて、愛おしくて堪らない暁美である。して、そのまま暁美の胸の中で2人が眠ったところで、美香が部屋に入ってきて、そんな2人を呆れ笑いで見つめる。



「あらあら、こん子達ないつまで経ったっちゃお姉ちゃん大好きね」



「ふふ、それもこの年頃で直接言うてきてこぎゃんして甘ゆっとのかわいかたい」



「そうねえ、じゃあお母さんも」



美香がそう言って、 3人の子を抱きしめて夕飯の支度に戻ったところで目が覚める隼瀬達。



「あ、ごめん姉ちゃん、重かったろ?」



「んねんね、2人のかわいか寝顔見れたし」



「もうお姉ちゃん・・・」



「ほら、2人ともさしよりお風呂湧いとるけんが入ってきね」



「「は〜い」」



そしてもはや当たり前のように一緒にお風呂に入る隼瀬達。



「いつんまにか寝とったね」



「お姉ちゃんの膝の上、なんか安心するもんね」



「そうね、僕達一般的に言うシスコンよね」



「まああのお姉ちゃんならしょんにゃ」



「確かに・・・」



歳が離れているとはいえ、親より身近でその愛情をたっぷりくれている姉は2人にとって何者にも変え難い存在であり、別に充希達に今日のようなとこを見られても自分達は気にしないだろうなと思う隼瀬達であった。

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