旅行
2006年 8月
2人でバイトの休みを合わせて、長崎、雲仙の方へ泊まりで旅行に出かけている隼瀬と冬未。
「冬未、ここ落ちたらどぎゃんなっとだろね」
地獄を見て、そんな怖いことを想像する隼瀬である。
「多分火傷じゃすまんどね、てかそぎゃん想像してどぎゃんすっか。てかやっぱ暑かね」
「そら夏だけんねえ」
と言いつつ、そんな暑い中でもずっとくっついている2人である。2人曰く、それとこれとは別という事らしい。そして、地獄を見た後、自分達がまだ2歳の頃に起きた噴火災害の記念館を見に行ったりして宿にチェックインする。
「わぁ、海も見ゆっし、なんかよかね!」
「隼瀬、今日はしゃいどんね」
「そら冬未とちゃんと付き合ってから初めての旅行だし。姉ちゃんが宿代出してくれてよかったー」
「まあ2人で行くなら安いだけの変なとこ泊まるなって言いよらしたもんね。ほんなこてよかお姉ちゃん持ったばい。ご飯19時からだけんさしよりお風呂入る?」
「そうね、やっぱ宿といえばお風呂よね」
というわけで部屋付きの露天風呂に一緒に入る2人。
「なーんでまだこぎゃん時隼瀬の方が恥ずかしそうにしとっとだろね。かわいかばってん」
「そらね、こっちの世界の感覚にも慣れたばってん、やっぱ冬未に見らるっとは恥ずかしいもん・・・・・・てか冬未が堂々としすぎ!」
「まあ、隼瀬にならどぎゃんされたっちゃよかし。ほら、目逸らすなよ」
「だって・・・冬未また胸・・・・・・」
「お、さすが隼瀬。まああんたがいっぴゃあ揉んでくれたおかげでね」
「なんいいよっとねばか冬未!」
「そぎゃんこつ言うて体は正直たい、ほら・・・・・・」
と、この後2人が風呂の中でどうなったかはご想像にお任せするとして、若干のぼせ気味でお風呂を上がった若い2人は夕飯の時間まで少し仮眠を取る。
「zzz・・・ふうたん・・・・・・」
「ふふ、隼瀬昔ん夢見とっとか」
先に目が覚めた冬未は、隼瀬の寝顔をじっと見つめ、その夢の内容を想像して1人微笑む。
「ばってん本当可愛いなこいつ・・・やば、またムラムラしてきた・・・・・・」
そしてすやすやと天使のような顔で眠る隼瀬にそっと口付ける冬未。
「・・・ふうたん・・・・・・?」
「あ、起きたね、はあたん?」
「ぅん・・・」
まだ夢うつつな隼瀬をそっと抱きしめて、頭を撫でる冬未。
「ふうたん?」
「なんかあんたが可愛いしてたまらんごつなって」
「ぇへへ・・・」
(なんやそれ、可愛いすぎる!)
で、もう我慢できなくなって隼瀬を押し倒そうとしたところで、仲居さんが料理を運んできて、やきもきしながら食事を取る冬未。
「冬未、どうしたと?」
「別に・・・ねえ隼瀬、さっきどぎゃん夢見とったと?」
「なんか昔、冬未と遊んどった時の夢」
「そこにお姉ちゃんとかあおちゃんとかなっちゃんとかおった?」
「んね・・・ってなんね、夢ん中までそぎゃんと気にすっとね」
「まあお姉ちゃんなともかくあおちゃんとか・・・なっちゃんも当時あんたの事好きっぽかったし」
「え、うそ」
「はぁ、ほんとあんたは・・・」
「まあ、ばってん僕が好きなんは今も昔もこれからも冬未だけだし」
「っ・・・そぎゃんとこのあんたなこすか(ずるい)・・・・・・」
「冬未はこれまで僕以外に好きな男子とかおった?」
「おるわけにゃあどが。昔出会った時からずっと、私もあんたしか見えとらんたい」
「そっか、よかった。てか冬未、おべんとついとる」
なんの躊躇いもなく、冬未のほっぺについたご飯粒を食べる隼瀬に、本当にこいつは・・・とひとり恥ずかしくなって赤くなる冬未である。
「はは、冬未顔あこして可愛いか」
「あんたのがかわいかたい!隼瀬、もう今夜は寝かさんけんな」
「ふふ、そら楽しみね」
余裕ぶってそう言いつつも、顔を真っ赤にする隼瀬を見て、かなり悶々となる冬未である。で、豪勢な料理を堪能して歯磨きをした後、半ば強引に隼瀬を布団に連れていって今度は彼の味を堪能する冬未であった。
翌朝
「さすがにやりすぎたか・・・・・・」
自身が着けた痕だらけの隼瀬の首元を見て、冷静になって昨夜の事を反省する冬未。
「まあそら僕もだし・・・」
隼瀬も自らが冬未につけた痕を見て、若干賢者モードに入っていた。して、そんな痕だらけな2人は周囲のあらあら、若いねというような視線を集めながら帰路に着くのであった。
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