告白
平行世界へ来た事を確信し、学校へ行ってもふわふわしたまま、すぐに放課後となり難しい顔をして出てきた隼瀬を、冬未はその校門前で待ち構えていた。
「隼瀬、隼瀬!」
「・・・わっ、冬未?!」
「もう、ボーッとしてから!」
「なんね、迎え来てくれたと?」
「ほら、朝にお姉ちゃんに頼まれたし。それにメールしとったてあんた携帯見とらんとね?」
「あ、なんかボーッとして・・・」
「ほんなこてあんたは・・・ほんで、熱はないか・・・・・・」
隼瀬の額に手を当て熱を確認する冬未。放課後という事で、隼瀬の通う四高の生徒達も大勢帰る時間帯なので、女子校の制服を着た冬未と何やら近しい様子の隼瀬を事情を知らぬ者は羨ましそうに、またある者は妬ましそうに見つめる。で、事情を知る側の充希は2人に気を使って声をかけずに帰っていく。
「うん、別にそぎゃんとじゃないちゅうか・・・さしよりそこ入って話すけん」
ずっと一緒にいる冬未には全て話しておくべきと思った隼瀬は目の前の喫茶店に入って、話をする事にし、注文したミルクセーキを一口飲んで話し出す。
「は?平行世界?」
「うん、つまりこっちの僕とこの僕が入れ替わったって事」
「そぎゃん小説とか漫画んごた話・・・」
「そら僕だって信じられんよ。ばってん実際、僕のおった向こうの世界だと僕達男子がスカート履いて学校行きよったし、僕達は「守られる」存在だった。ただ、いまなんかこっちの僕の記憶も出てきて、冬未と僕はそぎゃん変わらんごたばってん」
「向こうでも私はあんたば振り回しとる?」
「自覚はあっとね・・・うん、ばってんそぎゃん冬未が僕は・・・・・・」
そこまで言って急に恥ずかしくなる隼瀬。だが、その先に気付いてそれ以上に顔を真っ赤にする冬未に気付き、平静を取り戻して改めて告白する。
「冬未、こっちの世界での5歳の僕はなんて言うた?」
「あ・・・いや、あれは私が「およめさんにしてください」て・・・覚えとってくれたつね」
「当たり前たい。あっちの世界だと僕は冬未に手作りの婚約指輪貰ったばってん、こっちの世界の僕の部屋にはそれなかったし、僕が・・・?」
「うん・・・私の宝物・・・・・・」
「そっか、よかった。じゃあ改め「まって」
「冬未?」
「いや、なんか私から言いたいなって・・・隼瀬、私は出会った時からずっとあなたに恋をしています。ずっと一緒にいすぎて高校を別にてしたばってん・・・ばってん、もし私も四高に行っててもこの気持ちはずっと・・・あなたを一生、愛し続けます。だから、私と結婚してください!」
「ちょ、冬未?!」
まさかまさかのプロポーズをされ、綺麗にズッコケる隼瀬。向こうの世界では隼瀬が冬未に逆プロポーズをしたが、こちらの世界では冬未が逆プロポーズという結果となった。まあなんにせよ、その冬未の本気の気持ちが嬉しくて涙を流しながらはいと返事して、冬未の手を握る隼瀬。
「もう、僕が言いたかったて」
「ごめんごめん、なんか我慢できんくなって。てかいつも思うばってん、本当に隼瀬は甘いもん好きね」
「まあ僕だし・・・てかさっきから何覗いとっと、いいんちょ」
「あ、バレた」
隼瀬達の後方の席からあちゃーという顔で出てくる咲良。彼女は隼瀬を迎えに来た冬未が気になって偵察に来ていたのだ。
「本当、いいんちょはそういう人の詮索好きよね」
「それ向こうの世界の私も?」
「あー話聞いとったか。てかよう信じるね。そうよ、あ、冬未、紹介するね。こちらうちのクラスの委員長の三森咲良ちゃん」
「あらどうも、隼瀬のフィアンセの葛西冬未です」
初対面ながら隼瀬の近くにいる女子という事で鋭い眼光を飛ばす冬未。隼瀬は彼女らしいなと思いつつ、アイコンタクトでやめろと合図を送り、改めて咲良も交えて3人で話す。
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