第13話 告白
「キョウ、これってどういうこと?」
僕は今、手足を縛られた状態で空き教室に転がされていた。
退屈な先生の話が終わってさっさと帰りたかったのに、こんな目に遭うなんて。
こんなことをした人物は教壇にある机の上で楽しそうに足をブラブラさせながら、こちらを見下ろしている。
有り得ないと思っていたけれど、まさかキョウが僕を殺した犯人――?
「んー、全部終わらせるためだよ」
「終わらせる……?」
「最後のピースはもう少しで来るから、観客であるケイくんはそこで待ってて」
そう言いながら彼女は足を組み替えた。
そのせいで彼女のスカートの中が丸見えになるけど、見ないように必死に目を逸らした。いや……ほんとは眼福なんだけどね?
「なぁに、ケイくん。見たいの?」
彼女はニヤニヤとした顔を僕に近づけてくる。
僕と同じシャンプーを使っているのに違う香りがしてドキッとしてしまう。
そんな僕の反応を見て楽しそうに笑う彼女に対して、僕は必死に冷静を装って口を開く。
「……最後のピースって何のこと?」
僕が質問すると、キョウは僕の隣に腰を下ろして、「つまんなーい」とひと言。わざとらしく頬を膨らませている。そしてチラリとこちらを見てから小さく溜め息をついた。
「あーあ、もう時間切れかな。もうちょっとだけ二人きりが良かったんだけど……ま、いっか。ヒビキちゃん、カギは開いているから入ってきなよ」
ガラッと教室の扉が開く音がしたかと思えば、そこにはベルナール先生の姿があった。その顔はとても青ざめていて、今にも倒れそうなほど体調が悪そうだった。
「ベルナール先生? どうしたんですか、そんなボロボロの恰好で……」
ボロボロの服に所々血が滲んだ顔。履いている靴も片方しかない。
どう見ても只事じゃない様子だ。
僕は咄嗟にそう声をかける。
だけど彼女は僕を見て、ギロリと睨みつけてきた。
「もういいのよ……この手で早く終わらせるの……」
そして震える手でポケットから何かを取り出したかと思えば、そのままそれを僕に向けてきた。
「せんせー? そんな物騒な物、ケイくんに向けないでくれる?」
あれは拳銃!?
まさか本物なんじゃ……でもどうして先生がそんなものを――。
「日南さんアナタ、自分の父親にアタシの家を教えたわね?」
「うん、そうだよ。現状で一番怪しかったのがパパだったから」
「ね、ねぇ二人とも。いったい何の話?」
彼女たちの言っている意味が分からない。
ひとりアタフタとしていると、キョウの様子に苛立ちを覚えた先生は瞳を涙で滲ませながら教壇に向かう。そして右手のモノをキョウの頭に突きつけた。
「アンタ! そのためにアタシを危険に晒したってワケ!?」
「あはは、そんなガチで怒らないでよ。私はただ、真実を確かめたかっだけだってば」
銃が付きつけられているにもかかわらず、キョウは悪びれる様子もなく。
ただ面白おかしそうにケラケラと笑っていた。まるで死ぬのが怖くないかのように。
「私、昨日ケイくんがしてくれた話で分かっちゃったんだ。ケイくんを殺した犯人と、ループしているその理由」
僕は驚きのあまり言葉を失う。
「キョウ、ちゃんと説明してくれ」
「ケイくん、ごめんね……私が全部いけないの」
その言葉とは裏腹に彼女はニヤリと笑ってから、楽しそうに話し始めた。
「私ね、本当はすぐにパパが怪しいって気付いてたんだ」
なんだって!?
それならどうして教えてくれなかったんだよ、キョウ。
「でもね、なんか変だなって思ったんだ。いったい誰がループなんて始めたんだろうって」
「それは僕を何度も殺したかったからじゃなくて?」
僕の答えに彼女は首を振って否定した。
「パパが殺すほど恨んでいたのはケイくんのパパでしょ? 相手が違くない?」
「じゃあ理由は僕にあるってこと?」
「うん。そう思ったら、一つしか理由はなかったんだ」
「まさか、犯人とループさせている人間は別人!?」
彼女は僕を見つめて、ニコリと笑った。
「私がケイくんを死に戻りさせてたんだよ」
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