ヴァンパイアが吸う血に血液型の縛りがあったら
あっつい屋上の昼下がり。
「血ぃ飲みたい。」
「…なんて?」
ハッキリと。
それはもうハッキリと、
「け・つ・え・き!飲みたいの‼︎」
「KETUEKI」
思わず空を見上げた。
帰りたい。
「あっ、でも安心して。君B型でしょ?」
「安心して?」
「うん。さっきA型飲んじゃったからさ、ダメなんだよね〜」
「飲んじゃっ…飲んじゃった?」
えっ前科あり?
「うん。飲み合わせ悪いんだよ。赤血球壊れちゃうからさ。」
「飲み…なんて?」
なんて?
「よーは今B型飲んだら俺死んじゃう」
「死んじゃっ…⁈」
「なんでそんな危険犯して血を飲むん⁈」
「え〜?飲まんくても死ぬし」
Brad or die?
地獄か
「O型の友達とかいない?一口飲みたい」
「いや、友達の血液型とか知らん。そも知ってても紹介せん。」
「まじ一口ちょーだいのレベルで言わんで。雪見だいふくより罪デカイから。」
お前の血ちょーだいより返事に困る。
「俺死ぬかもなのに〜」
「喚くな。普段どーしてたん?」
「血液パック飲んでんの。今日持ってくんの忘れちゃってさ」
生ぬるい風が頬を撫でた。
パッと思い出すものがある。
「…お前がいつも飲んでるトマトジュース?」
「そうそう!血って分かりにくいようにトマトの絵ぇ描いてあんの」
思わず殴っていた。
「なぜ一口寄越した⁈飲んじゃったじゃんか!」
狩屋の抗議の声が聞こえる。
「美味しいって言ってたじゃん!」
「気遣いだよ!その後なんか鉄の味するって血みたいって言ったじゃん‼︎あってんじゃん!」
「だからホントに飲むの?って聞いたでしょ⁈」
正気かコイツ。
「飲ますなよ絶対!つか言わなきゃわかんなかったのになぜ言った⁈」
狩屋妹が母から預かりし血液パックを届けに来るまで言い合いは続いた。
狩屋は、狩屋妹に飛び蹴りを喰らい、それは見事な土下座を披露した。
そして僕は友人が友ヴァンパイアであることを知らされた。
もう帰りたい。やすみたい。
思いつきの短編 灰雪あられ @haiyukiarare
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。思いつきの短編の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます