私のお兄様×3
よし、何も聞かなかったことにしよう。
そういえば、今から家族に会うみたいよね?
、、、家族に会う?
どうやらまだ ”私” は家族にあったことがないらしい。
さっき母乳じゃなくて粉ミルク的なものを飲まされたから、多分生後〜8週間目くらい?
、、、赤ちゃんって生まれた瞬間家族みんなでワイワイするもんじゃないの?私は経験ないから知らんけど。まあ庶民にはわからないお貴族様ルールですかね。
中年のメイドさんもといメイド長の腕から当主様、、、お父様の腕に受け渡された私とメイド長、お父様の側仕えさん達。計6名でぞろぞろ練り歩く。抱き慣れていないのか、少し居心地(ポジショニング?)が悪い。
家族、のいる部屋まで向かうらしい。お出迎えはしないんだね。
諦めて周囲を見回すと、あちらこちらにセンスのいい壺やら花やら絵やらが飾ってある、、、と二階へと続く階段の壁に飾られたやたらと光をまとった絵が目に入った。
(家族写真、、、じゃない、肖像画だ。)
頭上の顔と同じ男が立っている様から見て、やはりこの男が父であることは間違いなさそうだ。傍らの肩に手を添えられた銀髪に群青色の瞳女性は、、、母君、なの?
これまた随分とべっびんさんである。
手前には男の子が三人。
まぁ両親がこの顔面ならこうなるわなぁ、、、それぞれタイプは違うが、美形である。
これでもかという美形軍団の肖像画は、なんというか迫力がある。
、、、貴族って美形じゃないといけないの?
確かに、顔も判断材料の一つであろうから、美しいものが好きそうな貴族では、より美形が好まれるのだろう。美しいものがその尊顔に見合うような者と結婚すれば、子供もその容姿を引き継ぐことになり、その子供も、、、というふうに、人気のない遺伝子、必要とされない醜い容姿が減っていくのは必然的ではある。
ちょっと待って、私もおんなじDNAのハズでしょ?
それなら私のお顔も美形なのでは!?
顔は武器である。第一印象の7割は顔なのだ。最初から「顔が良い」というアドバンテージがあれば、そもそものスタートラインが他とは変わってくるのだから。
”前の私”の容姿は可もなく不可もなく。仕事が仕事なので手入れする時間も惜しかったし、見た目を磨いたところで研究結果は変わらない、と強がっていた。
、、、本当は、同期の可愛い女の子たちがどんどん辞めて「普通の幸せ」を手に入れる様が、教授に気に入られて手抜きのレポートにA判定をもらっていたことが、羨ましくて、同時に自分の情熱を否定されているような気がしたのだ。
だから純粋に”見た目が良い”という加点がもらえるのは、全然ウェルカム。ラッキーだ。
(でも結局、私ってどうなってるの?これは夢?それとも転生とかいうやつ?)
夢なら覚めて終わり、それなら別に良いのだが、転生や別世界への転移となれば話は別だ。なぜなら元の世界での”私”は終了したことになっているのだから。
、、、私、死んだの?過労とか?ダサすぎる、、、
そんなことを思っているうちに、気づけば絵の前の扉が、今まさに開かれようとしていた。
(家族ってことは、さっきの絵の人達がいるってことよね?)
少し緊張しながら扉の先へと目をやる。
『おかえりなさい。父上』
3つの小さな頭が、一斉にこちらへかけてくる。お父様にねぎらいの言葉をかけつつも、その瞳はこちらへ向けられている。
「あぁ、今帰った。
、、、ライオネル、アレクサンダー、ウィルバート、これがお前たちの妹だ。名をセレスティアという。」
その言葉を皮切りに、興味津々といった顔でこちらに迫ってきた。
「、、、小さいな」
「、、、やわい」
「、、、。」
率直な感想をありがとう。でも、私レディよ?可愛いとかのほうが嬉しかったな、、、
「俺はライオネル。ジェラルドの時期当主であり、長男だ。」
そう言ったライオネル兄様は、お父様と同じ翡翠の瞳に、お母様譲りの少しウェーブがかった銀髪のイケメン。長男っぽさがにじみ出ている、、、包容力のありそうな優しい好青年の印象を受ける。
「俺はアレクサンダー。アレクでいいよ、ってまだ喋れないか!」
多分次男のアレクサンダー、、、アレク兄様は、お父様と同じグリーンの瞳に、お父様よりは少し濃ゆい金色の御髪を短髪に切りそろえた体育会系イケメンだ。高いテンションに大きな声、、、ついていけるか心配。絶対いい人なんだろうけど!
「、、、三男のウィルバート。よろしく。」
言い終えてすぐにそっぽを向いてしまったウィルバート兄様は、つややかな黒髪にお母様とお揃いの群青色の瞳をお持ちの美少年。人見知りなのかしら?他の二人と比べて少しとっつきにくそうだ。
ウィルバート兄様の自己紹介が終わったのを見計らってお父様が発言する。
「お前たち四人が次代のジェラルドを栄えさせることを皆願っている。今後とも支え合い、共に築き上げていこう。」
三兄弟皆の顔が引き締まる。
満足気にうなずいいたお父様が、部屋を退出しようとすると、ライオネル兄様が遠慮がちに訪ねた。
「父上、、、母上のご容態は、、、」
兄弟たちの総意なのだろう。アレク兄様もウィルバート兄様もうなずいている。
「マリアは大丈夫だ。もう3日もすればお前たちにも会えるさ。心配しているようなことは起こらない。」
諭すような口調で柔らかな表情で発するお父様は、お母様、、、マリアさんへの愛情で満ち溢れているように見えた。
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