お願いがあるの

 休日、私はリアナの家に招待されていた。家へ行くのは初めてだったから、少し緊張する。


 家の前で待っていると、門が開いてリアナが顔を覗かせた。


「来てくれてありがとう。さあ、入って」

「お、お邪魔します……」




 通されたリアナの部屋は綺麗に整っていて、窓際にはおしゃれなテーブルセットが置かれている。


「そこに座って」


 促されて椅子に腰かける。リアナも向かいに座った。


「今日はエマにお願いがあるの」

「うん……」


 なんだろう、この感じ……改まった雰囲気に心がざわつく。もちろんリアナの頼みは叶えてあげたいけど、一体どんなことを言われるんだろう……


「エマに私の服を選んでほしい」

「へ? 服?」

「うん」


 リアナは立ち上がると、近くに置いてあったクローゼットを開いた。中には色とりどりのドレスが入っている。


「服はお母さんが選んで買ってくれるから、私は何がいいとかよく分からなくて。エマと一緒に選びたい。付き合ってくれる?」

「うん、もちろんだよ!」


 クローゼットを近くで見ると、リアナが普段学園で着ているものから、見たことないものまでたくさん入っている。


 私は白いドレスを手に取った。


「このドレス、着てるの見たことないけど似合うと思うよ。リアナの綺麗な水色の髪と合いそう」

「白は火炎魔法を使ったらすすで黒くなりそうだったから今まで着てなかった」

「魔法演習のない日は火炎魔法使ったりしないよね……?」

「急に焼きポテトが食べたくなった時はこっそり……」

「いや危ないから!?」


 はぁ……それで白は着ないって発想が違うな。


「じゃあ、いつ着る服を選ぶの? どんなシチュエーションとか」

「今度……好きな人と会う服」


 そう言うと、リアナは私の方を向いた。顔がほのかに赤く染まっている。


「エマ、私ね、付き合うことになったよ。好きって気持ちがやっと分かった」

「そっか……そっかぁ! よかったね! 相手はどんな人? 名前は?」


 初めて出会った時から、リアナは「好き」っていう気持ちを探していた。それが見つかって、自分のことみたいに嬉しい。


「キース・フレム」

「へえ、キース君か。素敵な名前だね」

「うん。今度ちゃんと紹介する。もうすぐ学園に転入することになってるから」


 ん、待てよ……? その名前、どっかで聞いたことが……え。


「キース!?」


 リアナの彼氏って、まほプリ2でルイスの代わりに登場した、あのキース・フレム!?



——————————

次回から最終章です。

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