ちょっとした夜ふかし日和
や、こんばんは。え、待って待って待って! 私だよ!?……そうそう、ほら、いつもの私。ごめんね、びっくりさせちゃったかな。そりゃ、夜中にいきなり声をかけられたら誰だってびっくりするか。あはは。
君も夜ふかし屋さんだったんだね。ふふ。そういうの、私はとってもいいと思うな。子どものうちから、こーんな素敵な楽しみを見つけるだなんて。流石だね。
あ、私?私はただのお散歩だよ。私だってたまにはお出かけくらいするよ。夜はいいよねぇ。木も星もみんなゆったりしてて、時間もゆっくり過ぎて。おまけになんだか空気も澄んでるような気がする。今日はとびっきりの夜ふかし日和だね。
家の外で君と話してるだなんて、ちょっとくすぐったいね。個人的にさ、ここはなんだか落ち着くんだ。空が近くて、風が気持ちよくて、周りにはだーれもいない。もしかして君も同じ?ふふ。そっかそっか。
良かったらさ、しばらく私とお話ししてくれない?できれば、語り手と聞き手としてじゃなくて、ちょっとした知り合い同士として。もちろん君が急いでなければだけどさ。ふふ。ありがと。
......変なこと訊いていい?君って、居なくなりたいなとか、誰かに忘れられたいって思ったことはある?なんだか最近はずっと曇り顔だったから、気になっちゃって。
あはは。普段はそういうの、訊かないことにしてるんだけどね。だって私はただの語り手だから。それにいちいち色々訊かれるのって疲れるでしょう?でもさ。もしいま君が苦しくて、私に話して少しは気分が軽くなるなら、私は君のお話をききたい。どうかな?
よしきた。君が語り手だなんて凄く素敵だね?ふふ。じゃあ君のちょっとした知り合いとして、君のための舞台を整えよう。こほん。
"星々のさざ波と草木の寝息のまんなかに、ようこそおいでくださいました。今宵の私はしがない聞き手にございます。この舞台は全てあなたのもの。心のむくまま、話したいことを話したいようにお聞かせくださいませ"
今日はとっても素敵な夜更かし日和だね
短いお話と語り手 おかゆ @okayu_mochi_
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