第2話 称号取得

追跡モードにしておいたおかげでギルドはすぐに見つけることができた。

なかなかに大きな建物だ。

三階建てな上に、広さも充分にある。

見たところ奥にもとても長い。

もしかすると、訓練所も併設しているのかもしれない。


僕は、ウェスタン扉を潜りギルドの中に入っていく。

ギルド・・・冒険者ギルドの中は様々な衣装を纏ったプレイヤー達がいた。

僕は、正面に見えるカウンターへと歩を進める。


カウンターには、3人の女性が座っていた。

が、左右の2人は対応中で中央の1人はちょうど対応が終わった所らしい。

僕は、中央の女性に声をかけることにした。


「すみません、ちょっとよろしいですか?」

「はい、ご依頼ですか?報告ですか?」

「冒険者登録を」

「冒険者志望の方ですか!では、こちらに必要事項をご記入ください」


彼女は、僕の前に用紙を置いた。

僕は、用紙に視線を向ける。

氏名、職業、武器、魔法と項目があった。

僕が書けるのは、氏名くらいか。


「あの、すいません。職業とか武器とか魔法って?」

「え!あら、貴方珍しいわね。

では、貴方にはこちらの本を差し上げますね。

読まれている間に登録をしてきますね」


そう言って、彼女は僕の前から用紙を持って奥へ行ってしまった。


僕の前には、一冊の本が置かれていた。

良くは、分からないけど読んでみることにした。

ページを開いてみると、よくわからない呪文が頭の中に吸い込まれていった。


『火・水・地・風・光・闇の初級魔法を取得しました。

初級魔法(6)がメインマジックになりました』


初級魔法?それも(6)?

僕は、チンプンカンプンだった。

確か、普通は火魔法とか水魔法とかだった気がするんだけど。

1人が覚えられるのも最初は1属性とか。

あれ?違ったかな?


『称号取得条件を満たしました。

スキルポイントを使用せずにスキルを取得しましたので、称号:『倹約家』を獲得しました。』


なんか、称号が増えた!

スキルポイント・・・そう言えば振ってなかった。

倹約家って称号が貰えたみたいだ。

あとで、確認してみよう。


「おめでとうございます。取得できたみたいですね。

では、こちらが貴方のギルドカードになります。

血を一滴垂らして所有者登録をお願いします」


受付嬢が戻ってきた。

そして、白い名刺大のカードと小さなナイフを渡された。

僕は、恐る恐るナイフで左手の人差し指を切ってカードに血を垂らす。

チクッと痛みが走ったが、すぐに傷口は塞がった。

そう言う性質のナイフなのだろう。

すると、カードに文字が浮かび上がった。

カードには、僕の名前とランク『F』の文字が浮かび上がった。


『クエスト:冒険者ギルド登録が完了しました』

「この後は、オーダーを受注しますか?」

「えっと、武器の訓練とかできたりしませんか?」

「可能です、ご希望の武器種はありますでしょうか?」


希望の武器種か。

いろいろ使ってみないとわからないんだよな。


「特にはないんですが、試しにここで受けれるもの全部とかできますか?」

「畏まりました。少々お待ちください」


受付嬢は、また奥へと下がっていった。

しばらくして、彼女は書類の束を持って戻ってきた。

書類の束をペラペラとめくる。


「お待たせしました。スケジュールを確認してまいりました。

今からでしたら、教官がそれぞれ予定が開いてるようですので訓練所へご案内します」


書類の束は、教官のスケジュール予約だったようだ。


『特殊訓練クエスト EX-No1 訓練所(格闘)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No2 訓練所(剣)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No3 訓練所(槍)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No4 訓練所(斧)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No5 訓練所(鈍器)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No6 訓練所(弓)を開始します。

特殊訓練クエスト EX-No7 訓練所(魔杖)を開始します。』


なんか、いっぱい流れてきた。

えっと、7つの武器種か。

結構あるんだな。

受付嬢の後をついていく。


受付の脇にあるドアを開けると広い空間が広がっていた。

ここが、訓練所なのだと思われる。

そこには、4人の男女が立っていた。


「お、新人だね。最近のやつにしては珍しいね。

さあ、あたしとやり合おうぜ」


黄色いチャイナドレスに黒いハーフパンツを身に纏った武道家と思われる女性が構えていた。

髪は短髪の赤毛。


「『リリス』。まずは、挨拶でしょ」

「俺がするか。

俺達は、この街のBランク冒険者で新人冒険者の教官役をしているギルド『平原』だ。

俺は、リーダーの『コーラ』。

得意な武器は、剣、槍、斧だな」


左腕にラウンドシールドをつけ、腰には剣を佩き、背中には身の丈よりも長い大剣を背負った男性がそう言った。

男性は、盾以外の防具を身に着けていない。

髪は、ベリーショートのボウズと言った感じの青髪。


「んで、こいつが『リリス』。

まあ、見たままだな。格闘がメインだ」


『リリス』が、僕に手を振った。

彼女の隣にいた男性が前に出る。


「僕は、『オリー』。

狩人・・・まあ、得意なのは弓になるね」


背中に弓を背負い、左腰には矢筒が佩いていた。

『オリー』は、長い碧髪を後ろで縛った男性。


「最後は、私ですね。

私は、『アリシア』。

魔法がメインですが、鈍器と魔杖を使えます」


『アリシア』は、魔法使いと言うよりも僧侶のような青いローブを身に纏っていた。

長い黒髪を風に靡かせている。

風?どこから風が入り込んでるんだろう。

換気・・・ああ、よく見たら上の方の窓が開いてる。


「僕は、『ソウ』と言います。

今日から、プレイし始めました」

「「「「プレイ?」」」」


4人が揃って声を上げた。

あれ?プレイヤーじゃないのか。


「あ、冒険を始めました」


僕は言い方を変えた。

たぶん、この4人はNPCなのだろう。

ロールプレイングとかではない気がする。


「『ソウ』。早く戦おうぜ」


『リリス』が、再び構えをする。

僕は、彼女に近づく。


「まずは、構えからだな。

こう、腰を落としてだな。

ほら、拳を作って殴るんだ」


『リリス』は、口で言うよりも丁寧に教えてくれた。


それから、僕は4人から武器の扱い方を教えてもらった。


『特殊訓練クエストEX-No1~EX-No7訓練所を完了しました。

称号取得条件を満たしました。

ステータスポイントを使用せずに、ステータスが上昇しました。

称号:『堅実』を獲得しました。』


なんか、また新しい称号が生えた。

そう言えば、ステータスポイントも上げてなかった。

こんな称号があったんだな。


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プレイヤーネーム:『ソウ』

種族:人族

LV:1

HP:100/100→120/120【NEW】

MP:5/5→15/15【NEW】

STR:1+2【NEW】→3(1)

VIT:1+2【NEW】→3(1)

INT:1+2【NEW】→3(1)

MND:1+2【NEW】→3(1)

AGI:1+2【NEW】→3(1)

DEX:1+2【NEW】→3(1)

ステータスポイント:10(初期値)

LUK:1+2【NEW】→3

CHA:1+2【NEW】→3


ウェポン(メイン):なし

マジック(メイン):初級魔法(6)【NEW】

セットスキル(4):なし

控えスキル:

剣術:LV1【NEW】

斧術:LV1【NEW】

槍術:LV1【NEW】

弓術:LV1【NEW】

格闘術:LV1【NEW】

鈍器術:LV1【NEW】

魔杖:LV1【NEW】

スキルポイント:10(初期値)

称号:倹約家【NEW】、堅実【NEW】


倹約家

ステータスポイントの割り振りにかかるコストが、減少する。

(11~20の割り振りが1/2になる。通常は2)

LUK+1、CHA+1


堅実

スキル取得にかかるコストが、減少する。

(初級スキルを1ポイントで取得できる。通常は2)

LUK+1、CHA+1



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