第二章閑話「委員会会議」
首都を揺るがした大事件から二週間後。
首都中心部にある委員会本部。
その会議室には
各組織のトップ達が険しい顔のまま
会議の始まりを待っていた。
「…では始めるとしましょうか。」
重々しく口を開いたのは
U字型の机の頂点部分に座る白髪の男性。
委員会の長、
「今回の議題は無論、先の事件についてだ。
まず、執行部の報告を聞こうか。」
その発言でその執行部の長である
「ではまずは概要から。
事件は二週間前、五月十四日に発生しました。
主犯格の二人は何れも
駐留部隊及び、一部の霊専生徒と交戦。
主力の到着後、撤退。
なお、この二人は
怪異を小さな玉として
持ち歩いていたとの情報もあり
それが首都への怪異侵入を
許してしまった要因であると考えられます。」
到底、受け入れがたいものだ。
「…それで一体何者なのだ?
その愚者と言うもの達は。」
一真の目の前に座る細身の人物が問う。
「現在、捜査中です。
…わかっていることは怪異と関係がある
テロ組織ということだけです。」
その人物、霊専学長の
それを聞くと「なるほど」とだけ呟く。
「にしても、
まさか小さな玉になれるなんてね。
そんなんじゃセンサーに引っかからないのも
納得だよ。」
「それについてですが
今、開発部が回収が出来た玉を解析中です。
それに伴い
センサーもバージョンアップを進めており
完成すれば
あの状態でも怪異を検知できるとのことです。」
「それはいいが
問題はもっと別にあるだろう。」
「「ベール」はこちらの留守に襲撃を仕掛けてきた。
それはつまり
こちらに内通者がいる
ということではないのか?」
一真は「ベール」という発言は
聞かなかったことにしつつ
「その可能性も考慮しつつ捜査を続けており
捕虜となっている表桜からも
情報を引き出そうとしていますが
黙秘を続けています。」
一真は他に質問が無い事を
確認すると席に座った。
「では、これを受けて今後の方針についてだが
これに関しては秋津学長から
提案があるそうだ。」
不死川はそう言って秋津学長を見る。
「…それについてなのだが、
現在、こちらの戦力は主力だより。
主力不在時に攻められては
今回のようなことがまた起きてしまうだろう。
よって戦力増強のために我が校の生徒も今後、
駐留隊として
その力を奮って貰おうと考えている。」
その言葉に強く反応を示したのは一真だ。
「正気か?秋津学長。
戦力増強ならば
駐留部隊を鍛えればいいだろう。
学徒動員など
市民にどう説明をするつもりで?」
「市民には納得のいく説明をするつもりだ。
それにこれは
学徒動員などという
切羽詰まったものではない。
生徒の安全の為にも必要な事だ。
…それに今年の生徒たちは優秀揃いだ。
…忘れているかもしれないが
生徒であっても彼らは霊能士だ。」
反論しようとする一真だったが
次の秋津学長の声で喉を詰まらせる。
「…そういえば一年の
君の息子だったか。
まさか君ともあろうものが
自分の子供可愛さに庇うつもりか?」
少しの間の沈黙の後、一真は
「…そんなわけないでしょう。」と
短く答えた。
結局、この議題に対しては賛成多数で可決されることになった。
その後も会議は続いたが
一真は苦虫を嚙み潰したような気持ちでいた。
―あとがき
霊能戦記第二章閑話いかがでしたか?
今回の事件は今回出てきた委員会の中でも
看過できないほどのものだったようですね。
次回は番外編として
日常回を書きます。
主軸にはあまり関係ない話ですが
キャラを深く知るいい機会になると思います。
では
「由銀、奮闘す。」でお会いしましょう。ノシ
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