第十三話「霊能士の街」
訓練の日から二週間が過ぎた。
俺たちは交流を深めることを目的に
霊使街という場所へ二泊三日の
レクリエーション合宿に向かっていた。
「皆さん、お疲れ様です。
霊使街に到着です。」
表桜先生はバスが止まってからそういった。
俺たちはバスから降りると辺りを見回す。
ここ霊使街は山中に切り開いて作られている。
まさに、秘境という感じだ。
俺たちは固まって表桜先生についていく。
今回の合宿は俺たち一組と二組で来ている。
ただ、大人数で移動すると
迷惑になるということで
クラスで道順が違うらしい。
俺たちは資料館、図書館という順番で回った。
資料館と図書館はどちらもかなり大きく
資料、蔵書もかなりの数が揃っていた。
皆それぞれの霊の資料を読み
霊への理解を深めていた。
…由銀について調べてみたが
やはり該当する資料などはなかった。
その後、俺たちはバスで
宿泊施設「
部屋に荷物を置き一息つく。
この部屋は俺と正明、小早川、柳葉の
四人の相部屋だ。
少し部屋で休憩をすると
夕食の時間が近づいてくる。
「ん、もう五分前だ。
皆、夕食の会場に向かおう。」
正明が時計を見て言う。
「そうだな!
腹も減ったことだし早めに行こうか!」
小早川の発言に俺と柳葉が頷く。
夕食はバイキング形式で
様々な料理が並べられていた。
「零士君、資料館で熱心に調べていたが
あれはやっぱり由銀についてかい?」
正明の問いに俺は頷いて返す。
「その様子だと由銀についての資料は
なかったようだね。」
「え。」
「顔に出ているよ。」
(そんなにわかりやすかったのか…。)
そんなことを話しながら夕食を食べた。
――――――――――――――――――――――――
夕食を食べ終わった俺は
由銀と散歩をしていた。
「なぁ、由銀。」
「なんじゃ?零士殿。」
俺は少し
「…記憶が無くて怖くなったりしないのか?」
少しの間、沈黙が続く。
「…怖くない、と言えば嘘になる。
じゃが吾輩、
それ以上に今はわくわくしておる。
零士殿のおかげじゃ。」
俺は頭を傾げる。
「俺?」
「うむ。零士殿がどのように成長するのか。
吾輩はそれが楽しみなのじゃ。」
おじいちゃんかよ。
「…なぁ、由銀。
俺を呼ぶとき「殿」って言うのやめないか?」
由銀は頭にはてなを浮かべる。
「それはまた何故じゃ?」
「「殿」ってつけると
俺が上って感じになるからな。
…俺は由銀とは「相棒」って感じで
いたいんだ。…駄目か?」
由銀は少し考える仕草をする。
「…うむ。わかった。
であればこれからは零士と呼ぶとしよう。」
「よろしくな。由銀。」
そんな事を話していると前に何かが見えた。
「…鳥居?」
目の前にあるそれは間違いなく鳥居だ。
くぐってみると
そこには寂びれた神社があった。
石看板には夢切神社と書かれている。
「かなり放置されてるみたいだな。
雑草が生えまくりだ。」
「…なんか吾輩、
懐かしい気がするんじゃが…。」
「…?由銀はここを知ってるのか?」
由銀は頭を悩ませた後、
「いや、気のせいじゃ。」と答えた。
その後、俺たちは宿に戻ると
明日に備えて早めに寝た。
―――――――――――――――――――――
俺は霧の中にいた。
不思議に思いつつ進んで行くと神社が見えた。
夢切神社だ。
俺は誘われるように神社の本殿に入っていく。
中に入ると広い本殿の中に
ポツリと
まるで取り残されたように刀があった。
その刀を見つめていると
不意に刀の形が変わった。
それは人の姿をしていた。
「貴殿が由銀様の主だな。」
俺は頷く。
「我は由銀様の剣なり。
貴殿と由銀様は近い未来、危機に陥る。」
(…どういうことだ?)
本当に危機に陥るとして
何でこいつがそれを知っている?
「だが、案ずることはなし。
そのときは我が力を貸そう。
由銀様が認めた其方にな。
我が名は――。」
―あとがき
霊能戦記第十三話いかがでしたでしょうか。
レクリエーション合宿って
なんかあまり覚えてないんですけど
楽しかったような覚えがあります。
今回、謎の人物?が出て来ましたね。
では次回
第十四話「霊と魂と」でお会いしましょう。ノシ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます