第四話「十人十色な自己紹介」

次の日、千春ちはる正明まさあきと一緒に登校し、

俺たちはそれぞれの席に着いた。


赤崎は今日も俺を睨んでいたが、

なるべく気にしないよう心掛けた。


始業のベルが鳴り表桜先生が入ってきた。


全員が席についているのを確認してから

また、あの人のよさそうな笑みを浮かべる。


「皆さん優秀ですね。流石ですよ。

では早速ですが

本日は皆さんの自己紹介をしてもらいたいです。

自分は誰でどういう霊を使役しているのか、

そして特技ですね。

出席番号順でお願いします。」


自己紹介。

自分のことを知ってもらうのはもちろんだが

相手のことを知ることも重要となる

大事なイベントだ。


(特技か…何を言えばいいんだ?)


「それでは早速…赤崎君から

お願い出来るかな?」


「ちっ、めんどくせーな。」


あからさまに嫌そうだな。

だが、先生に逆らうのはマズイと思ったのか

渋々といった感じで赤崎は話始める。


「…赤崎刀祢あかさきとうや。俺の霊は島津義弘しまづよしひろ

特技は喧嘩、以上だ。」


おいおい…

自己紹介で特技が喧嘩ってどんだけだよ。


先生は嫌な顔どころか

むしろ笑顔が増した気がする。


どういう神経してるんだこの先生。


先生が次を促すと銀髪の人物が立ち上がる。


「出席番号二番。伊佐木浩二いさきこうじ。霊は徳川家康とくがわいえやす。特技は霊能です。」


表情を一切変えずにそこまで言うと

もう話すことはないと言うかのように

席に着いた。

何か取っ付きづらそうな奴だな。

…でも伊佐木ってどっかで聞いた気がするな。


次の人物は俗に言うスケバンみたいな女子だ。長い金髪をポニーテールにしている。


「出席番号三番。有為幸奈ういゆきなだ。

霊は足利義輝あしかがよしてる、特技は剣術だ。

…一応言っておくが

私は姉御でも軍曹でもない。

そこだけは肝に銘じてくれ。」


どうやら過去に色々と言われたらしいな。

言わないようにしないと。


次の人物は

昨日気だるげな話し方をしていた男だ。


よく見ると目に隈があるのが見える。


「出席番号四番、榎並将えなみしょう。霊は長束正家ながつかまさいえ

特技はハッ…電子系だ。」


ハッ…?


…もしかしてハッカーだろうか。

何かしら役に立ちそうだな。


次の人物は優しそうな男だ。

いかにもモテそう。


「出席番号五番。雉蔵和家きじくらかずいえです。

霊は丹羽長秀にわながひでです。特技は…早読みです。」


早読み…本を早く読めるってやつか。

意外なとこで役立ったり…するのか?


次の人物は明るい感じがする男だ。


「出席番号六番の小早川潔こばやかわきよしです!

霊は新選組局長の近藤勇こんどういさむ

特技は特にないがクラス全員と

友達になりたいと思ってるぞ!」


こういう奴、昔から一人はいたな…

クラス全員と友達ってありえるのか?


次の人物は生真面目そうな女子だ。


「出席番号七番、坂上文乃さかがみふみのよ。霊は佐竹義宣さたけよしのぶ。特技は特にないわ。」


…クラスに一人はいるよな、

こういう完璧主義っぽい子。


次は正明の番か。


「出席番号八番、菅原正明。

霊は竹中半兵衛たけなかはんべえです。特技は何もありません。

よろしくお願いします。」


次は俺だ。


「出席番号九番、霊井零士たまいれいじです。霊は出雲由銀いづもよしかね。特技は特にないです。これからよろしく。」


結局無難な奴しか思い浮かばなかった

……まぁいいだろう。


次の人物は堅物そうな男だ。


「出席番号十番、千波空也ちばくうや。霊は山内一豊やまうちかずとよ

特技というか趣味はトレーニングだ。」


趣味がトレーニング…?なんかすげえな。


次の人物は…ヤクザ?


「出席番号十一番、津中亮つなかりょう。霊は森長可もりながよし

特技はなんもねえ。

俺を怒らせるような真似はしねぇこった。

安全は保障できん。」


ヤクザじゃん。


次は見るからに馬鹿そうな奴だ。


「ワイの番号は十二番、名は遠野成俊とおのなるとしや。

霊は那須与一なすのよいち。弓の達人や。

そしてワイも弓を得意としとる!

つまりワイが那須与一ってことやな!」


やはり見た目通りの馬鹿か。

だけど、弓か遠距離武器は貴重だな。


次は千春か。


「出席番号十三番、凪千春です。霊は井伊直虎。特技は…特にないかな。

よろしくお願いします!」


よかった、千春も無難なやつだ。


さて次の人物は…強いて言うならなんか

自由そうな奴だ。


「出席番号十四番、猫道蒼汰ねこみちそうたです!

霊は前田慶次まえだけいじ。特技は昼寝!以上!」


昼寝…?苗字と言い猫みたいな男だな…。


次の人物は臆病そうな女の子だ。


「えっと出席番号十五番、橋倉友恵はしくらともえです。

霊は森蘭丸もりらんまるさんで…えっと特技はない…です。」


これが俗にいう小動物みたいな子か。

なるほど、確かに守ってやりたくなるな。


次の人物はやけに暑苦しそうな男だ。


「出席番号十六番!日比野克之ひびのかつゆきだ!!

霊は柴田勝家しばたかついえ

特技は筋トレだ!!よろしく頼む!」


体育会系のやつだろう。

ノリがわからん。


次の人物はなんか堅苦しそうな奴だ。


「出席番号十七番、文脇一喜ふみわきかずき。霊は斎藤一さいとうはじめ。」


特技は!?

言わないとかそんなのありなのか…?


次は内気そうな子だ。


「…出席番号十八、学宮由香里まなみやゆかり

霊は土岐頼芸ときよりのり。特技は絵を描くこと…です。」


…コメントしづらいな…。


次は内気そうな男だ。


「えと出席番号十九番、柳葉典樹やなぎばのりき

あっ霊は服部正成はっとりまさしげさん…です。

特技…えと、な…ないです。よろ…しく。」


大丈夫か…?こいつ…。


最後は明るそうな女の子だ。


「二十番、夕日灯ゆうひあかり!霊は伊達政宗だてまさむね

特技は体を動かすこと!よろしくね!」


伊達政宗…独眼竜ってやつか。

面白そうだな…。


表桜先生が手を叩き皆の視線を集める。


「最後に私もいきますよ。改めて表桜冬裏です。特技はそんなないかな。

霊は…秘密だ。」


ありかよ。それ。

先生は常に手袋をしているので

紋で霊を判別しようがない。


そんなこんなで紹介が終わった俺たちは

10分の休憩をとることになった。


次はいよいよ、最初の授業だ。



―あとがき

霊能戦記第四話「紹介ノ刻」いかがでしたか?

やっとクラス全員の紹介が出来ました。


明日からの授業回は少し内容が少ないです。

でも今後、重要となる話です。


後、この霊能戦記ですが

一部「僕のヒーローアカデミア」を

参考にしています。


生徒の数と行事なんかですね。


では次回「歴史の授業と暗い先生」でお会いしましょう。ノシ

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