第29話
エピローグ
まだ残暑が厳しい季節だが、バベル魔法学園の夏季休暇が明け、新学期が始まって数日が経っていた。
「フフフッ、おはよう御座いますリディアお嬢様」
「おはよう、メッフィ。まだまだ暑いわね」
長い銀髪を揺らし、よく通る凛とした声で朝の挨拶をするのは、サンクレール侯爵令嬢、リディア・サンクレールだ。
「本日の朝食は、マフィン、スコーン、パンケーキをご用意しておりますが、いかがなさいますか?」
「んー、マフィンを貰うわ。あとコーヒー頂くわ」
「かしこまりました」
リディアがテーブルの席に着くと、黒目黒髪の執事服の少年が数種類の朝食の乗ったワゴンからリディアの前の食器へと給仕していく
「そういえば、あの桃色は学園を辞めたみたいね」
「フフフッ、真偽はどうあれ、オークの集落で発見されたなんてウワサが立ってしまっては、もう表には出られないでしょう」
「……やり過ぎたかしら?」
「フフフッ、いえいえ。リディアお嬢様、あの時私が現れなければ本当の意味でレヴィアお嬢様は亡くなられていたんですよ。それに、実際に亡くなられた方もいますからね」
「そうね……」
「お嬢様は優しすぎますぅ、私はとてもスカッとしましたわ!! あとはあのアホ王太子だけですわ!」
暗い表情のリディアを元気づけようとココが明るい声をだす。
「ありがとうココ」
ココがコーヒーを淹れリディアへと渡す
「フフフッ、それにしても、あの時のお嬢様のベル嬢を見る眼はとても良かったです。それに久々にレヴィアお嬢様のお姿を拝見できましたしね」
ベル・フライスは退院後の消息は不明
人の口に戸はたてられぬ。巷では真偽不明の様々なウワサ話しが飛び交っていた
誘拐された王太子の婚約者はオークの集落で発見されたとか。
そこでオークの子を宿しただとか。
そのショックで気が狂ってしまったとか。
人生を悲観し、海に身を投げたとか……
真偽の程は分からないが一つだけわかっている事は、桃色髪の令嬢ベル・フライスはもう2度とリディア・サンクレールの前には……いや、レヴィア・アドラルの前には現れない。
第一章 無垢に嗤い 終わる夏 完
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いつもお読み頂きありがとうございます!!
次回から第2章を始めようと思って居ましたが、一旦リディア達のお話しはここで終わりにしようと思います。
やはり最初に書こうと思っていた婚約破棄物が全く書けない技量のなさ、読込み不足でどうしても好きなハイファンに寄っていってしまうので次は無理に流行りに乗ろうとせずに最初からハイファンで行きたいと思います。
リディアとメッフィは書いてて楽しかったのですが、やはりずっと(婚約破棄ではない)負い目のようなものがありました、少ないながらも読んでくださっていた方々には大変申し訳ございません。
次回作書けましたら、よかったら読んで頂けたらと思います。
レヴィアとメッフィ 〜婚約破棄されたあげく殺されそうになったから、復讐の為に悪魔を召喚したら溺愛されて困ってます〜 猫そぼろ @IITU
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