第2話 白衣

≪19:00≫

 「計画通りあのブツを手に入れなければ・・・。」実行犯として気づかれてなはならない!銀太郎はできるだけ平静を装い、会社を後にした。


 三日前から目を付けていた薬屋(それは小さな薬局、バブル期にも地上げにあわず、町外れでひっそりとした店だ。そして出来るだけ枯れた爺さんが一人で店番をしているような店)に向った。


 大型店では明るすぎる・・・かといって自動販売機モノは貧乏くさい・・・

 購入経験がないからなのか、銀太郎はこだわっていた。


 車をとめて薬屋の中へ入った銀太郎は、何気ない目線でブツを探した。

 そして、ブツがレジ横にあるのを確認した後、わざと遠回りしてレジに向かった。そのブツに手を伸ばした時、店の奥から人の気配がした。「お爺ちゃん、交代しよっか?」枯れた爺さんに声が掛かり、どう考えてもこの店にはふさわしくない白衣の女性が出てきた。見れば20代前半だろうか。銀太郎好みのアーモンド型の目でこっちを見ると「いらっしゃいませ♪」透き通るような声と微笑みを投げかけてきた。  


 ウッ! こんな可愛い女性の前で、例のブツは買えない。

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