雪と白衣

銀の筆

第1話 暖冬

 女性経験の少ない主人公銀太郎は、札幌に住んでいた。


 そんな銀太郎にやっとできた恋愛相手の名前はアケミ(本名)、神戸に住んでいて二人は遠距離だった。遠距離の為、一度も逢ったことがないアケミを銀太郎は妄想の世界で勝手にジュテームと呼んでいた。

 そんな彼女が、神戸から泊りがけで遊びに来ることになった。


 銀太郎は、焦った。


 ハウツー本を買い込み、攻略計画やイメージトレーニングなどを行って、自分勝手な自信だけはついていたが、その夜必要になるであろう避妊具(コンドーム)を購入した経験が無いのだ。そのブツをどこでどのように買えばいいのか。考えるだけで緊張した。


 だから、最大のミッションはそのブツの入手である。


 そして、ブツを入手できないまま、ジュテームが来る前日になってしまった。


 11月末、この年は暖冬で初雪はあったものの、まだ札幌に雪は積もっていなかった。

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