第021話 策略!
──引っ越して以来の、お久しぶりの山の中。
あー……この山の土と葉っぱの匂い、もう懐かしいです。
言わば、実家に帰省した……って、ところでしょうかね~。
旦那様を実家へ連れてきたと考えると、ちょっとドキドキですけれど、わたしは眷属の守り神として生じたので、紹介する両親はいないんですよねー……。
その旦那様は、記者のジャンさんとカメラマンさんを先導して、登山道を案内中。
わたしはカメラマンさんの後ろ、一行の最後尾。
「ここらはイノシシが多いので、周りに注意してください。特にいまの時期は、子連れで気性が荒くなっているメスがいますので」
「ははっ、わかってますって。こちらも険しい山奥へ何度も出向いてる、プロの取材班ですから」
「……みたいですね。お二人とも服装はしっかり登山用のものですし、靴もザックも使い込んだ感ありあり。そちらのカメラマンさんに至っては、棚田を数枚撮っておられた。色物記事の取材ではないと思って、わたしも案内を買って出たんですよ」
「実にしっかり見ておられますなぁ。さすが、その若さで社長さんだ。いいお米を作ってらっしゃるのでしょう」
「恐縮です」
ロディさんが褒められると、妻のわたしもうれしいんですよね~。
なにしろ、その若くてしっかりした社長さんに、見初められた身ですから!
「ところで社長さん。奥さんも同行してよかったんですか?」
「彼女は山育ちなので心配無用です。僕が惚れたところの一つですよ。ははっ」
きゃあ、不意打ちで
心臓に悪いっ!
けれどメンタルにはとっても良いっ!
……っと、浮かれてちゃダメですね。
記者さんたちを案内してるのは、ロディさんが思いついた作戦のため!
その作戦の成功には、妻のわたしの働きが不可欠!
さてそろそろ……。
作戦を始める故郷の沼が、見えてきました。
ここらでわたしは、こっそり列から外れて……。
沼の中で、オオサンショウウオの守り神へと、姿を戻し……。
お二人の前に水中から突然現れて……思いっきり驚かせます────!
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