ぼくのつくりかた

うたの日 まとめ その3

「潰れかけの海水浴場にて」名義で投稿したうたのまとめです

明け方の車内を隅々まで照らす

「おはよう」が嫌い

「車」

イカロスは出会う者全て恋人とし

勇気一つが友である

「イカロス」

いいやもう

北極星の真下の草原でマドレーヌに

絶望そえて

「北極星」

雪の降る夜に

弱酸性の足を絡めて

「けだらけ」と笑いおる

「弱」

船頭の歌無き

うずまの雨散らす花弁を見よ幸来橋

「群馬／栃木」

500週あれば

猫はこの国の日向をみいんな覚えてしまう

「500週あれば出来そうなこと」

鼻の長い象と失恋したあなたは

公園で街頭に頂垂れて

「町/街」

三日月がみたいねたまには

宇宙旅行なんて来なけりゃよかった

「みたい」

若妻が「あなた」を主語として

ふいに揺れる煎茶の水面

「あなた」

明細の残業手当欄を噛み砕く様に

春巻きをひとつ食む

「残」

火星にも大陸があり百年住んだら僕らは紛争をしだす

「大陸」

テンプレの様なラーメンに映る

朧月ごとドジを飲む

「町中華」

トー横に

「メイドイン混沌」という

値札背負う少年らの群

「メイド」

こつこつと窓枠を叩く北風に

「風の子帰らず」と呟きたり

「自由詠」

まだ生きようと思った

「次回の来店は20パーセント引き」

らしいから

「次」

ああ言えばこう言う雲が恋までの時間を街ごと盗みゆく

「雲」

やがて闇となる星々を今日も明日もあなたとみていたい

「やがて」