ぱっとしないうた

晴れた日の広大な秋空

例えに例えられずただ眺むる


奥さんよ 臆病を奥歯で噛み砕いて

尾久にでも住む気かい


〜 哲学で黒板を埋めて

ここを去る名のないあなたへ 〜

「すき」


凍れない音楽であれ

雨音に満たされるだけの部屋


水底はとうに諦めただ布団に

ざめざめ浮く夕晴れ


旅に出よ 王子よりガラスの靴求む

少女はせめて夢の中で


借りたままの幸福に付く利子の

払い方を私は知らない


でも生きている

鈴虫は中古車に泣き音を盗まれても


爪を研ぎ引っ掻く振りして握手を

したい 一人 いや世界中


鮮血の色したネクタイが僕に殺意の

解き方を教えてくる


鳥が喧嘩してうるさい

「住友」の「友」だけが色あせている


橋桁に雲雀

神様を脅せる高さのクレーン車と


夕方にラーメン屋で

うっかりピン札を使った あ、しまった


水たまりに沈む夕日を見てたら

信号が青に変わった


苦手なもの コーヒーデカルト下りの

エスカレーター20代折り返し

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