うたの日まとめその2



「やん」


「やん」と鳴く鳥がいて

この街に想像力の洪水が来るのだろう


「秋」

稲に塗れ黄金こがねを擦り付けし

猫の様な立秋を迎えておる


「鞄」

通学用鞄に避妊具を入れたまま満点のテストを見せにゆく


「んふ」

足まわり+2センチ「んふ」としか言いよう無く秋


「此」

生存を問う様に彼岸花揺れる此処は

天国か 地獄か 秋晴れか


「手」


未来ひとつ占えない手相をさかさまにつたう恒星のおもらし


「口」


百億の生命全てが悪知恵を得たような本日の口腔内は宇宙


「夜」


肝臓をまるまる売っても足りぬ真珠は真っ黒な夜の色


「本」


レシピ本そのまま煮込んだ様なしぐれ煮ばかり出来ている


「君」

地獄への切符を車内に置き忘れた君とハッカ飴を舐める


「丸」

検診で唯一花まるを貰った鼓膜が小鳥の叫びを集めてくる


「涼」

涼風もリキュールの一つとし安ワインを呷りにけり


「きのこの山/たけのこの里」

野鼠の様にきのこの山を

かりかりかりかり齧る

うん やっぱりまずい


「インボイス制度」

インボイス署名の賛同通知来て

カゴいっぱい本を買った


「力士」

さのまると横綱の白鵬は10センチ身長が違う 知らんけど


「自由詠」

曇りのち 白白白白白白白白…… ああ 善意だらけのうみ


「高」

高い空にきっと届くてのひらで泥を啜りそれでも生きてゆく


「○○から××まで」

ねぇダーリン 子宮から金星まで人のまま愛してください


「韻を踏んでいる歌」

沖つ風置き床の臆病な荻揺れて翁にこやかに観ゆ


「蜘蛛」


「己しか神はいない」と言う君が朝蜘蛛をあっさりと潰す


「イスラエル/パレスチナ」

つまりそう幸福度などはちり紙でガザの子らに銃を持たす


「黄」

週末が来る前に黄梅を斬らねば斬らねば 終末が来る前に


「癖」

おしりからレタスちぎる癖治さぬままひとりにさせてしまった


「猿轡」

ねえ最期にわがままを言うわ この猿轡外し口付けをください


「暴」

ただそこに暴力的なほど闇またはファミレスの灯りがある


「穴」

宇宙には極限まで死を受け入れる穴が浮かんでいるらしゐ

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