うたの日まとめ その一


潰れかけの海水浴場にて名義でうたの日に投稿した歌のまとめです

少々拙いです


「鯉」

ぱっちんと 手を叩き 集まった鯉に

しようもない失恋をくれてやる


「ミジンコ」


「ミジンコも感じない」が口癖の

あなたと泣きながら待つ夜明け


「稲」


「美味いぜお前より」と言いたげに

アメンボ見ている稲穂かな


「イルカ」

おとなりで眠る君が

絞め殺す様に抱く褪せた色のイルカ


「さん」

にゅう歯たち

もうすぐさんせいと戦うよるがくるよ

なでたげるからおいで


「まし」

気づいたら

「ましまろ」と呼んでしまうぐらい

破裂寸前の雲である


「飯」


「本日は生憎めだかの母さんがご飯だよと呼ぶためこのまま帰ります」


「丘/岡」

丘にたんぽぽたんぽぽたんぽぽが

目を回すほど咲いている


「机」

灰となる机を背に雄猫の様に果てて君は

何ぞ求むる


「だけ」

くちぐるまに乗りたいおふたりを

じいっと見ているだけ


「麺」

昼食べしうどんの小皿に飯ありて

謎のまま快速は進む


「ホームラン」

決まり事 知らぬ稚児が声枯れるまで

「ほーむらん」と叫ぶ


「って」

なぞってなぞってなぞってなぞって

なぞってもまんまるがつきでした


「怪文短歌」

の!の!の!の!の!のおおんびりいきましょ!!今日来た生徒は初恋のきみ


「殺」

さっき蚊を殺したばかりの手で

「幸せなら手を叩け」と言うのですか


「手」

生きたての小さきてのひらよごらん

ここからはぜえんぶ秋だ


「罪」

罪もまた青春と証明する如く 副流煙吸い合っている同級生クラスメイトかな


「畳句」

ああ 本当に本当に本当に本当に本当に

愛猫は死んでいた朝のひかり


「自由詠」

口付けを苦手とす君が子と共に洗濯物干しつつ夏巡る


「君」

すきっぱの慰めに

くるんとスカート巻き巻き

君が散らすもみじ


「鏡」

みがいてはにこりみがいてはにこりみがいてはにこ みがいても鏡になみだ



「男」

(性別は一応男です)

あやという別名を持つ故に届く振袖のカタログの鮮やかさ


「少」

手術明け差し歯のままドーナツ 頬張る少女となるしずかな朝


「谷」

谷間のない嬢が正してくれた ワイシャツの襟の様な街を歩む


「釘」

釘を打つよふに釘を叩くよふに釘を打つよふに一日中偏頭痛

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