十二分割

三月を遠き地の恋人と呼ぶ君がふと

味見させるGratinじゃがいもdauphinoisグラタン


四月を制御出来ぬ友と呼ぶお前は

小さきシクラメン枯らす


五月をただの優等生と呼ぶ私は

紅茶が苦手なまま


六月を二枚舌野郎と呼ぶいとこが

ボンネットに「ちんぽ」と書く


七月が「やればできる」を勘違い

した挙句 猛暑を裸で過ごす


八月はデートの誘いも無く

白檀を一日かけて磨きおり


九月の持つとんがった部分に

触れてもいい?毬栗はほら針だらけ


十月に母のため作るひと皿から

年々減ってゆく肉とグラム


十一月 「そろそろ雪がみたい」なんて

いうお前と共にセーターを編む


十二月 仏壇に備えるケーキを食べすぎ

気づけば……ない ごめんおじいちゃん


一月に門松より背の高き子が

お年玉でタバコを一箱買う


二月 雪かきをサボった記念に

雪見だいふくへ蜂蜜をかけている

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