(宛名) ペーストをしたまま動かない 雲を眺めて 雲を眺めている秋へ

(そうめんを茹でられるように

なりましたか?)

(うん)

(たまに泣いてませんか?)

(うん)

(夜がきらいですか?)

(それはもうずうっと)



アナーキーに飽きるほど秋が来ない

(まだ)穴が空いていない靴下に


声はとおくとおくひこうき雲

空切り裂いている(君はいない)


はんぶんこしたボトルに一輪の

彼岸花挿し「好きよと嘘」ついて


送信は不可となる彼宛てメィルの 一行

「さようなラーメン」


生きていれば父が50回目の誕生日を

迎える朝に茹でるあさり


天国に青春とかあったら雪でも

降らせ教えてくれ君よ


窓枠の端から端まで夜

主語の欠けた夜があってよいものか


夢も月も星もない夜空に

洋麺屋五右衛門の ギラ ギラ ギラ


あの指があなたの髪に触れし時の

贖いかただぬるきミルク


皇族と誕生日が一致する母のために

モンブラン買って帰ります

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