カクヨムでPVゼロ地獄にはまった私が気づいたこと

文鳥亮

二兎を追う者

【はじめに】


 誰しも物語を書いて投稿したら、がんがん読まれてランキング上位に載って、な~んてことを考えると思います。私もそんな思いで複数のサイトで連載を始めたのですが、現実は正反対でした。それはそれで良いのですが、あることでカクヨムさん(以下敬称略)ならではの気づきがあったので、ご紹介したいと思います。



【なにを投稿したのか】


 物語は大正後半から昭和一桁までが背景のミリタリー色のある文芸作品で、歴史ジャンルに投稿しました。ファンタジー要素や仮想戦記要素はありません。


 タイトルは

「小鳥たちは楽園に眠る ひな鳥編」→「ひな鳥たちは楽園をさがす」

 (途中で変更)


 当初の構想では、本作を次作の前編として位置づけ、そのようにも紹介していたのですが、独立した一作として扱うことに変えました。


 投稿したサイトは、カクヨムと他二か所(ステキブンゲイ、NOVEL DAYS)ですが、カクヨムは早期に撤退しています。



【物語の内容】


 さて中味なんですが、私はガ島その他で活躍する天才パイロットの物語を書きたいと前々から思っていて、ぼつぼつ進めておりました。それはまだ少ししか書けていませんが、どういう風にしてそんな凄腕パイロットが生まれたのか、その成長譚を書いてみたくなりました。

 それで主人公が海軍に入る前までの幼少年期を描いたのが本作です。


 彼には大切な女性がいるのですが、その彼女との関わりも出てきます。二人は幼くして遠くに引き裂かれますが、どうやって再会するかも本作の一つのテーマになります。


 後半、満洲事変に突入するのでミリタリー色が出てきますが、それまではほぼほぼ普通の文芸小説です。



【カクヨムにおける読者の反応】


 序章(四話) :どれも10PV前後。

 第一章(十話):急速にPVが下がり、ゼロが5、6話続く。


(毎日更新しての結果。ナンジャコレ?)


 序章はミッドウェーで始まるミリタリー調、第一章は一転して五才の主人公が満洲に渡るまでのお話。それなりに面白く書いたつもりなのに~


 初投稿だったため、キャッチコピーや投稿時刻などが全然ダメで、かなり混乱しました。後半も自主企画に参加したり、いろいろあがきましたが、PVゼロ地獄はまったく改善されず。


 いやいや、なかなか厳しい‥‥‥数字は残酷。


 傷は浅いうちにと撤退を決め、更新をやめて放置しました。“完結予定”などと高らかに宣言していましたが、舌の根も乾かぬうちに逃亡です。

(皮肉なことに撤収前夜にお一人が通読)


 しかし、しかし‥‥‥PVの非常にクリアな傾向から、私はあることに気づきました。



【カクヨムで気づいたこと】


 それは私が二兎を追っていたことです。まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」でした。


 上にも述べたように、物語は本来ミリタリー調のはずでしたが、この「ひな鳥編」は文芸調なんですね。それは私も理解していて、序章でミリタリー系の人をつかんで、(後編につながると期待させて)最後まで読んでもらおうという目論見でした。言ってみれば羊頭狗肉です(こういうのはある方の創作論でダメ出しされてますね)。

 ところが見ての通り、序章でつかんだ多分ミリタリー系の読者は、第一章ですぐさま離れていきました。一方、歴史文芸系の読者は、序章や紹介文のミリタリー要素を見て敬遠したのかなと思います。


 つまり私はミリタリー系と歴史文芸系の両方の読者をつかもうとして、両方ともつかめなかったのでしょう。結果はシビアでしたが、他の二サイトではこれほどはっきりした傾向は見えず、カクヨムならではの現象だったようです。


 撤退後ですが、上述のようにタイトルを変更し、さらに序章を削除しました。つまり冒頭から歴史文芸好きな読者をメインで呼ぶことに変更したのです。



 この変更は、単に読者を呼ぶという技巧的な面だけでなく、作品そのもののあり方・方向性としても正解だったと思っております。

 本作は、七三か八二の割合で文芸作品です。もちろん扱っている題材が題材ですからミリタリー色もありますが、それはどちらかというと後で自然に付いてくるものです。最初からそれを謳うのはちょっと違っていたかなと思います。



 この出来事が普遍化できるかは分かりませんが、重要な示唆であることは間違いないと考えております。ありがとうございました。



   (了)

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