第51話 虚空への旅

「あの、これは…?」


 その余りの美しさに、謙太は最初、CGか何かかと思った。


 長いまつ毛に縁どられた大きな目がまず印象的だが、すっと鼻筋の通った鼻も形よくふっくらした唇も白く滑らかな肌も艶やかな髪もなにもかもが美しく、華やかでいながら派手ではなく柔らかな微笑をたたえている。


「…年子の姉、美羽です」

「…えっ?」


 思わず謙太はやや驚いて相手を見、それからもう一度、スマホ画面に視線を戻した。

 美羽と一緒に写っているのは、確かに朱里だ。

 仲良さげに寄り添って微笑んでいるが、朱里を美羽と同じ写真に収めるのは残酷な気がした。


 朱里は言わばかすみ草だ。

 清楚で可愛らしい花で、好む人は少なくないだろう。


 だが、バラと一緒の花束にしたら、添え物か引き立て役にしか見えない。


「…似てないですよね」


 俯いたまま、朱里は呟いた。

 何と答えたらいいか分からず、謙太はすぐには何も言えなかった。

 黙ってスマホを朱里の手元に戻し、改めて相手を見る。


「お話を続けてください」


 穏やかな口調で、謙太は言った。


 そして朱里がこちらを見た時に、笑顔を見せて軽く頷く。

 相手が何かを話そうとしているが、それがその相手に取って話しにくい内容であるときのやり方で、顧客対応マニュアルに載っている方法だ。


 朱里は戸惑うような表情を浮かべ、それからまた目を伏せた。

 謙太はただ、辛抱強く待つ。


「…≪ブリリアント・ノイズ≫のライブに通うようになって半年くらいした時、KENに中学の同級生だったと伝えたのは、以前お話した通りです」


 謙太は相手を勇気づけるように、軽く相槌を打った。


「でもKENが私のことを覚えていてくれた、というのは嘘です。彼に取って私は、『学校一の美少女』の妹に過ぎませんでした」

「同級生だったのは朱里さんのほうでは…?」


 それも嘘だったのだろうかといぶかしみながら、謙太は聞いた。

 朱里は頷く。


「姉とは、言葉を交わしたこともなかったはずです。と言っても、それは私も同じですが」

「あの、辛ければ無理に話さなくて結構ですが…KENにいじめから救われた、という話は…?」


 朱里は、哀し気に微笑む。

「半分本当で、半分嘘です」


 窓の外に置かれたハーブのプランターをガラス越しに見やりながら、朱里はその時の経緯いきさつを淡々と、まるで他人事であるかのように感情を交えずに語った。


 朱里を庇ったかのような鈴木健太の言葉はひとりの女子生徒を酷く傷つけ、その時から「報復」が始まった。

 女子生徒の朱里への攻撃は巧妙に隠蔽され、表に出ない分、深い恨みが込められていた。

 朱里はできるだけ気づいていない振りをしたり読書に没頭しているように装って攻撃をかわそうとしたが、その女子生徒だけが攻撃者だったのではない。


 美羽の写真をしつこくねだって断られたことを逆恨みする男子生徒や、朱里が男子生徒たちに囲まれていることに嫉妬をした別の女子生徒たちも、他の生徒に――正確に言えば鈴木健太に――気づかれぬよう、巧妙に朱里をさいなんだ。



「…酷い…」


 余計な口は挟まずに聞こうと思っていたのだが、思わず短い呟きが、謙太の唇から洩れた。


「あの…そのことを誰かに相談はしなかったのでしょうか」


 相談したが無駄だったという答えを予測しながら、謙太は訊いた。

 朱里は、担当教諭がいじめられているのではないかと心配してクラスでアンケートまで取ってくれたことを話した。


「でも私は否定しました。本ばかり読んでいたので、クラスで孤立しているように見えているだけだ…って。

 うまく隠せていたつもりだったのに先生に気づかれてしまったので、それ以降は他の先生たちの前でもできるだけ明るく振舞いました」


「どうしてそこまでして隠そうなんて…」


 思わず尋ねた謙太を、朱里はまっすぐに見つめる。


「両親や姉に知られて、心配させてしまうのが嫌だったんです。

 両親は、これだけ差があるのに私たち姉妹を差別したりせずに愛情を注いで大切に育ててくれましたし、姉はこれだけ美しいのに鼻にかけたりせず、いつもとても優しく接してくれるんです」


 だから学校では平気な振りをし、家ではなるべく明るく振舞った。

 だがその「平気な振り」が攻撃者たちの神経を逆なでし、いじめの陰湿さが増したので、授業以外ではなるべく学校にいないようにするしかなかったと、朱里は語った。


「…そんな辛いときに自分より家族を思いやるなんて、朱里さんは本当に優しくて芯の強い人なんですね」


 心から、謙太は言った。

 だが朱里は自嘲的な笑いを口元に浮かべ、首を横に振る。


「強くなんてありません。

 だから…現実を空想で塗り替えて、どうにかしのいだんです。

 自分が、いじめから救ってくれた鈴木健太君に密かに恋をしているだとか、実は健太君も私のことが気になってるんだとか、少女漫画みたいな空想にふけっていました」


 やはり、朱里は自分自身を騙そうとしていたのだと、謙太は思った。


 心からKENを愛し心底安否を案じているのだと、自分で自分に思い込ませた。だからKENを案じて流した涙は嘘ではなかった。

 そうやって空想の世界でKENと恋に落ちることで、どうにか自分の心を護ろうとしたのだ。

 だが、彼女の中の冷静な部分は、それが欺瞞に過ぎないと気づいていた。だから時折、何かを隠そうとしているような、そんな素振りとなって現れたのだ。


「東京で久しぶりに再会した時、KENは私のことは全く覚えていませんでした。でも、口をきいたこともない姉のことは覚えていた。

 当然ですよね、これだけの美人なんだから、忘れるはずがありません」


 スマホ画面の中でで嫣然えんぜんと微笑む美羽を暗い目で見つめ、朱里は言った。


「だから姉の名を騙って、KENにDMを送ったんです。

 しばらくメールをやり取りして映画の話をしていましたが、KENが両親の離婚やその後のお父さんの冷淡な態度の話をして姉の気を引こうとしてきたので、メールアカウントを削除しました」


 朱里は、わざわざ見るのに手間のかかる映画を選んだのは、何かに没頭して現実を忘れ、KENから愛されているという空想に浸りたかったからだとも付け加えた。

 そしてその忘れたい現実とは何なのか、まだその全てを謙太に話していない。


「きっかけが何であったにしろ、朱里さんがシャーロック・ホームズの映画を時間をかけて鑑賞して、少しでも気に入ってくれたなら、俺としては嬉しいです。

 あ、でもその内容だと、シャーロック・ホームズの映画というより、ドクター・ワトスンの映画ですね」


 明るく言った謙太を、朱里は辛そうな表情で見た。


(この人はまだ、本当の私を知らない。

 本当の私の醜さを知らないから、こんな風に笑っていられるのだ。

 もしそれを知ってしまえば、映画の話をする気すら失せてしまうかもしれない。

 でも、それでも……)


 朱里は俯き、膝の上で華奢な拳を強く握りしめた。

 力が入り過ぎたせいで、肩まで震える。


「あの…大丈夫ですか?

 嫌なことを思い出してしまって辛いときには、深呼吸でもして何か他のことを考えるか、それが難しければ誰かに話すと気が楽になることもあるそうなので、俺で良ければ聞きますけど」


 謙太の穏やかな口調に、朱里は顔を上げて相手を見た。

 誠実そうな、真摯しんしさを感じる微笑を浮かべている。


「さっきの話を聞いただけでも、とても辛い想いをしたのは分かります。いえ、軽々しく分かるだなんて、利いた風な口を――」


「違うんです」


 短く、朱里は相手の言葉を遮った。


「クラスメイトのいじめなんて、それほど大したことじゃなかったんです。

 KENの、鈴木健太君の言葉がきっかけでいじめが陰湿になったとは言っても、嫌味や意地悪なことを言われるのがせいぜいで、酷いときでもノートの一部が破られる程度なので、気にしなければそれで済む話だったんです」


「…でも、いじめる側に取って大したことじゃなくても、やられたほうは――」


「私は姉を妬んでいます」


 顔を上げてまっすぐに謙太を見、朱里は言った。


「姉の美しさはもちろん、姉の優しさすら妬ましくて羨ましくて仕方ないんです。

 側にいるだけで自分の惨めさに耐えられなくて、無理して姉とは別の高校に行って、卒業するなり家を出ました。

 両親のことも恨んでいます。

 どうしてお姉ちゃんばっかりあんな美人に産んだの?

 私も美人に産むのが無理だったなら、せめてお姉ちゃんももう少し普通の顔に産んでくれてれば…って」


 謙太は半ば呆然として、朱里を見つめた。

 心臓を握り潰されているかのように、胸が苦しい。


「…子供の頃は、姉の美しさが自慢でした。誰よりもきれいで可愛くて、本物のお姫様よりずっと美人だって思ってて、そんな姉が大好きでした。

 今でも大好きです。大好きなのに……。

 毎日のように姉と比較して嫌味を言われるようになって、姉が妬ましくなったんです。

 そして一度、妬んだらもう止まらなくなって、別の高校に行っていじめも比較されることもなくなってからも、家に帰って姉の顔を見るだけでたまらなく辛くなるんです」


 もっと酷いのは、と、朱里は続けた。

 初めは淡々とした口調で語り始めたが、感情が抑えきれなくなったのか、声が震えている。


「姉の優しさなんて本当は嘘なんじゃないかって、疑うようにさえなってしまったんです。

 優しいフリして私を一緒に買い物に連れ出して、周りの人たちが姉の美しさを称賛して陰で私を嘲笑うのを密かに楽しんでいるんじゃないか…って。

 行く先々で男の人に声を掛けられたりモデルにスカウトされるのを慣れた調子で軽くあしらう姿を見せつけて、自慢したかったんじゃないかとさえ…。

 そんな卑屈な疑いを持ってしまう自分の醜さが、嫌で嫌で耐えられなかった……!」


 嗚咽おえつする朱里に何も言えず、謙太は口を噤んだままでいた。


 両親が兄のことを誉めるたびに、弟の自分の出来の悪さを暗に非難しているようで、居たたまれない気持ちになった。

 自分が的外れな仮説を追い回していた間に大きな事件を鮮やかに解決した兄の手腕に、とてつもない敗北感を覚えた。


 そもそもかなうはずのない相手に敗北感を抱く自分が、滑稽ですらあった。




「……新里さんはさっき私を『優しくて芯の強い人』って言ってくれましたけど、そんなことはないんです」


 暫くすすり泣いた後、白い手の甲で涙をぬぐって、朱里は言った。


「両親や姉に学校でのことを隠していたのは、心配させたくなかったからというより、本当は怖かったからです。

 もしも私の卑屈な想像どおり姉の優しさが嘘だったら、姉と比較した嫌味でいじめられてるなんて知られたら、それこそわらわれるだけだから…。

 両親だって、いじめられてるなんて余計なことを言って学校でトラブルがあると知ったら、可愛くもない私なんか本当はいらない子だった、だから面倒は起こさないでくれって、そう言われるんじゃないか…って」


(…もう、止めてくれ。それ以上聞くのは、俺が辛い……)


「それに姉の名をかたってKENとメールのやり取りをしていた時も、姉に迷惑を掛けたくないと思っていたのは建前で、本音では姉の名を騙らなければ中学の同級生とメールのやり取りすらできない――そんな自分の惨めさが嫌で、一方的にKENからのメールを拒絶したんです。

 それでも、中学の時に自分をいじめから救ってくれた片思いの相手と再会して恋人になったという少女漫画のような空想は、捨てるには惜しいほど魅力的でした。

 それでメールアカウントを削除してから、KENと婚約したという空想の世界に浸るようになったんです。

 そうすればKENから来るメールがきっかけで、空想が壊れてしまう心配もなかったから……」


 謙太は一旦、目を閉じ、ゆっくりと深呼吸した。


 それから、目を開けてまっすぐに相手を見る。


「やっぱり、あなたは優しくて芯の強い人ですよ。

 そうでなければ、自分にとってそこまで辛い話を、そんな風に人に話せない」


 朱里は、哀し気な微笑を浮かべる。


「…新里さんが、とても誠実で優しい人だからです。そうでなければ、話す勇気はありませんでした」


「俺はそんな――」


 褒められる程の人間じゃないと言いかけて、謙太は口を噤んだ。


 「誠実と誠心誠意を貫け」をモットーとした木下探偵事務所の調査員として、顧客対応マニュアルどおりに朱里にも接してきた。

 入社したばかりの頃、「誠実そうな表情」を鏡の前で何度も練習させられ、「丁寧な言葉遣い」を叩きこまれ、「清潔感を与える身だしなみ」のポイントも覚えさせられた。

 だから今ではもう、ほとんど意識しなくとも「誠実そうな笑顔」が浮かべられるようにまでなったのだ。


 全てはマニュアルどおりだ。そして、マニュアルどおりでしか、ない。




「……俺には兄がいます」


 暫くの沈黙の後、謙太は言った。

 朱里は突然、相手が黙り込んだ理由が分からなかったので、言葉を差し挟まずに謙太が続けるのを待つ。


「警視庁の優秀な刑事で、今回、朱里さんも巻き込まれたあの大掛かりな薬物密売組織を壊滅に追い込んだ立役者です。

 それだけでなく、事件化すらしていなかった11年前の鳥取の殺人事件まで解決に導きました」


 鳥取の殺人事件と聞いて、朱里はやや不審そうに眉をひそめた。

「11年前の鳥取の…って、まさか…」


 朱里は知らなかったようなので、謙太は事件のあらましだけ伝えた。どうやら、警察では薬物に関する事情聴取しかされなかったようだ。

 謙太は事件について兄から聞いていたので、インターネットで小さなニュースとして取り上げられたのを見ていたが、たとえ朱里がそのニュースを知っていても、犯人と被害者の名しか出ていなかったので、KENとの関連に気づかなかっただろう。

 KENの両親がそんなことになっていたと知って、朱里は驚きと悲しみの表情を浮かべた。


「兄が着々と捜査を進めていた間、俺は的外れな仮説に振り回されていただけでした。

 そもそもの最初から、自分が『探偵らしい活躍』をしたいをしたいって私情で立てた仮説に拘ってたんだから、的外れになるのも当然のことでした」


「でもそれは…私がKENの遺書だとかダイイング・メッセージだとか、それこそおかしな仮説を聞かせてしまったせいもあるんじゃないですか?」


 朱里の言葉に、謙太はやや考えてから首を横に振った。


「朱里さんの仮説も検討はしましたが、根拠が弱すぎると思ったので、報告すらしませんでした」


「でしたら…むしろ良かった、と言うべきでしょうね。

 あの時、私…新里さんの優しさに甘えたかっただけなんです。私みたいな女がKENの婚約者だなんて言い出したのに、鼻で笑ったり真っ向から否定したりしないで、きちんと話を聞いてもらえたのが嬉しくて…」


「正直に言えば、最初は信じていませんでした」

 朱里の目をまっすぐに見つめたまま、謙太は言った。


「それでも否定せずに話を聞いたのは、俺が優しいからでも誠実な人間だからでもなく、事務所の顧客対応マニュアルに従っただけなんです」

「……やっぱり、そうですよね」


 目を伏せ、静かに朱里は言った。

 何ものにも期待できず、全てを諦めてしまった者の目だ。


「でも、KENの婚約者だという話が完全に妄想なら知りえないはずのことまであなたは知っていた。それで俺は、KENが結婚を餌にあなたを騙して毒牙にかけたのだと思い込み、冷静でいられなくなる程、KENに腹を立てました。

 調査関係者に対して特別な感情を持つことは、顧客対応マニュアルでは禁じられているのに…です」


 それに、と、謙太は続ける。


「今日、ここに来たのはさっき言ったとおり、本当に朱里さんが心配だから様子を見たかっただけで、マニュアル対応でも何でもありません。そもそも朱里さんは、顧客じゃないですし」

「…分かっています。『優しさに甘えたかった』なんて、おかしな言い方してすみません。決して変な意味じゃありませんから」

「いやそうじゃなくて、俺が言いたかったのは…」


 どう言ったらいいか分からず、謙太は悩んだ。

 そもそも女性に告白するのなど、初めての経験だ。

 人づきあいが余り得意ではなく、自分から誰かとの距離を縮めるのは苦手なのだ。ましてや意識している異性が相手なら、なおさらだ。


「俺が言いたかったのは、その…映画の話をしているときの朱里さんはすごく生き生きとして輝いて見えて、とても魅力的だったから…できればこれきりにしないで、また映画の話でもできたらいな…と」


 相手の顔をまともに見続けることができず、テーブルの上に置いた自分の手を見つめて謙太は言った。

 微かに頬が上気するのを感じ、そのせいで一層、恥ずかしくなる。


 だが、朱里は答えなかった。

 相手が無言でいるので不安になった謙太が顔を上げると、朱里は暗い表情で俯いている。


「…あの、もし嫌なら嫌で全然――」

「新里さんにこんな言い方はしたくありませんが…」


 そう前置きし、目を伏せたまま朱里は続けた。


「私を踏み台にして姉に近づこうと考えているなら、無駄ですから」

「なっ…! 俺はそんなこと、これっぽちも――」


 途中で、謙太は口を噤んだ。

 そして理解する。

 朱里は、今まで姉と比較しておとしめられていただけでなく、美しい姉に近づく手段として利用された経験があるのだ…と。

 勝手に兄と比べていじけてしまうだけの自分と違って、朱里は実際に酷いいじめを受けた経験もある。

 その心の傷は深く、そう易々やすやすと癒せるものではないし、大好きな姉の優しさすら疑わずにいられない程の痛みを抱えているのに、先週の水曜に初めて会ったばかりの男の言葉など、どうして信じられる?


「…そうですよね。俺なんてマニュアルに従うしか能のないマニュアル人間で、優秀な兄とは比べ物にもならない、情けない男です。今回の件で兄の優秀さを改めての当たりにして、自分の駄目さ加減を嫌というほど思い知らされました。

 こんな俺なんかが、あんな綺麗なお姉さんに近づけるわけがない」


「…あ、ごめんなさい。そういう意味で言ったんではなくて、姉にはもう、心に決めた人が――」


「それに、俺が近づきたいのは、お姉さんじゃなくて朱里さんです」


 もう一度、まっすぐに相手の目を見て、謙太は言った。


「俺みたいな取るに足らないつまらない人間と、映画の話をするのさえ時間の無駄だと思われるなら、潔く諦めますが」


「そんな…。新里さんはつまらない人間なんかじゃないです。

 でもあの…ホームズの映画は『His Last Case』しか見てないですし、あれは正確にはホームズの映画とは言えないし…」


「別の映画の話にも興味あります。東ベルリンを舞台にした…『虚空への旅』でしたっけ?

 あれとか結構、興味深そうなんで、もっと詳しく話を聞きたいです」


 微笑して言った謙太に、朱里はやや戸惑った表情を浮かべた。


 そして暫く迷ってから微かに笑い、頷いた。

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