The Sixth Day(2)

ウチは知らない車の助手席に乗り込むと、驚きを隠せない運転手を制す。


「少し静かにしていただけません?」

「だ、誰だよ、おめぇ」

「探偵の石川瑠果です。お話をよろしいですよね?」

「・・・・・・誘拐事件か」

「話が早くて助かります。あなたは雇われの方ですおね」

「あぁ。よく分かったな。確かに俺は雇われた」

「幾つか質問をさせていただいてよろしいですか?」

「あぁ。おれはどうせこの仕事が最後だからな」

「おっと、それはこれが最後の人ということですか?」

「あぁ。それについては聴いてないのか?」

「え?」

「まぁいい。質問を早くしろ。そろそろ戻ってくる頃合いだ」

「単刀直入に申し上げます。雇い主は誰ですか?」

「それが分かってないのに突撃してきたのか」

「まぁ。そうですね。これが一番早い方法だと思ってたので」

「知れたこと、林だ」

「は、林?」

「知らねぇのか?この学校の校長だ」

「な!?」

「驚くだろ?自分の学校の生徒を攫っときながら警察に被害届を出している。あの校長も頭がどうかしてるようだな」

「あの校長?そのは何にかかるんですか?」

「あー・・・・・・お前のことさ」

「誤魔化さないで下さい」

「ハハハッここまで言ったら誤魔化し切れねぇか。前の依頼さ。俺らもお前探偵と同じで金で動く所詮は雇われの身よ」

「なぜ私が一人でないと?」

「さっき見えたのよ」

「そうですか。それにしても、あなた達と同じとは聞き捨てなりませんね」

「まぁ、事実だろう?」

「まぁ、そうですね・・・・・・」


と、同時にその人の携帯が鳴る。


「携帯、鳴ってますよ」

「あぁ。そうだな。だが、探偵おまえがいる状況で電話を取るほど私も馬鹿じゃない。他に質問はないかい?探偵さん」

「まだたくさんありますよ」

「ハハハ。俺の知ってる情報は殆どないがな」

「雇った人に話す情報も少ないでしょうね」

「あぁ。お前ら探偵と違って情報収集には特化してないんでね」

「・・・・・・さて、そろそろ行かないとマズいな」

「もう行くのか?」

「はい。仲間がちょっとこのままだとマズいので」

「だろうよ。だが気をつけろ。俺は運転に特化してるから待機してるだけだ。攫うやつも攫うやつで力とか素早さとかに特化してる」

「ご忠告ありがとうございます」


車を降りるとGPSを頼りに走る。

頼むから栞、無事でいてくれ。


 ◇◇◇◇◇

≪Change the View≫ 太田栞視点


「ここ、か」


瑠果に言われた場所に来るとあたかも偶々通りかかりましたって感じでスマホをいじりながら通る。


「おいおい、そこのお嬢ちゃん。こんな時間にこんなところ歩いちゃ危ないよ」


そう声が聞こえて振り返ると強面の男ら数人が並んでた。

こういう展開は漫画でしか見たことないよ。

あー・・・・・・どうしよっかな。

逃げても良いんだけど・・・・・・。

せっかくだし情報を聞き出そう。


「誰?」

「名乗る義理はないさぁ。雇われの身だ」

「誰に?」

「そこの林校長さぁ」

「へぇ。いくらで?」

「あん?んなん関係ねぇだろ」

「ストップストップ。暴力反対」

「関係ねぇ。俺らはお前を連れて変えれば500万なんだよ」

「うわ、1人500万も貰えるんだ」

「チッ・・・・・・つい口が滑っちまった」

「それで、何ていう依頼で動いてるの?」

「ここの学校の中3だけをターゲットにさらうなんて口が裂けても言えねぇぞ」


あれ?

この人以外と馬鹿?


「お兄さんたちは今まで何人の人を攫ってきたの?」

「あん?15人位ってところだ」

「へぇ。いつもこんな感じで?」

「女相手に力技はしねぇよ」


おーおー。

色々答えてくれるねぇ。

今までで分かったことは3つ。

実行犯は雇われてる人。

2つ目は15人位襲ってること。

その内殆どが女子であることが容易に想像できる。


「情報提供ありがとうございました〜。私はこの辺で」

「待てやおら!!」


男は素早い動きで私の腕を掴む。

あちゃー。

煽りすぎちゃったかな。

とりあえず逃げようかな・・・・・・。

瑠果・・・・・・には頼りたくない。

なんか負けた気分になる。

仕方ない。


「・・・・・・おっほん」

「あ?」

「きゃーーー。変な人に襲われたーーーー。助けてーーーーー」


大声で叫ぶ。


「お、ちょっ、てめっ」


怯んだな。


「よいしょっと。あれ?こんなもんなの?」


その隙に掴まれていた腕を捻って男の腕を剥がすと、逃げ出す。

挑発しすぎたかな?

全力で路地裏を走っていくと、そのさきにはフェンス1つ。

そこまで走って下を見ると、大分高い崖。

あ、これ死ぬか捕まるかの2択か。

詰んだかなー・・・・・・。


「はぁはぁ・・・・・・もう逃さねぇぞ」


私は男に勢いよく腕を掴まれた。

と、同時にその勢いを利用しながら男をフェンスの外に投げる。

勿論離してない。


「あ、アジトの場所を言うなら助けてあげるよ」

「誰がそんなこと・・・・・・」

「じゃないと・・・・・・手を離すよ」

「分かった分かった言うから言うから助けてくれ」


そして私はこの人からアジトの場所を聞き出すことに成功した。


 ◇◇◇◇◇

≪Change the View≫ 石川瑠果視点


栞のGPSを追って三千里。

実際は3000メートル。

栞は走ってるのが目に見えるくらい速い速度で移動する。

ウチと栞の走力は五分。

すなわち追いつくことは不可能。

――――――が、止まった場合は話が別。

GPSの反応が止まる。


「路地裏か」


そう言いつつ入ると、崖の方に人影が見える。

崖のところにあったと思われるフェンスは歪んでおり、その前に男と栞が座っていた。


「栞!?」

「あ、瑠果。聴いて驚け。アジトが分かった」

「聴き出したのね?」

「うん。その場所は――――――」


それを聴いたウチはそのまま原田っちに連絡をした。


 ◇◇◇◇◇


「帰りますか」

「そうだね〜。あ、そうだ。1箇所寄って行って良い?」

「何処?」

「警視庁」

「いいよ〜。目的は原田っち?」

「ち、違う。原田っちに報告」


目が泳いでるから分かりやすいっつの。

まぁ、ウチも原田っちに会いたいからセーフ。

ということで向かった警視庁。

警視庁についてまもなく、原田っちが出てくる。

眠そうですね。


「やっほー」

「元気そうだね」

「今回の事件についてなんだけどさ」

「ほう」

「色々解決した」

「早っ――――ってさっき連絡くれただろ」

「ハハハ・・・・・・確かにそうだね。それで原田っち」

「何だ?」

「明日、少し付き合ってほしいの」

「デートの誘いなら断る。というか無理。明日も仕事だから」

「いやいやいや、デートじゃないから。というか誘わないって。仕事のこと。例の学校の校長、黒幕だったよ」

「あ、そういう。分かった。明日は開けておこう」

「ウチらも開けとかないと。明日は富◯急行くつもりだったから」

「お前ら暇だな」

「暇だから行くんだよ」

「はいはい。明日な了解」


明日、原田っちと共に例の学校に向かうことが決定したところで今日はお開きとなった。




≪The Sixth Day(2) was finishing, And To The Next Story...≫

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