The Sixth Day(1)

ウチが目覚めたのはいつも通り事務所の中だ。

眠い目を擦りながら洗面所に行った途端、頭に電撃が走り、頭がこれでもかってくらい冴える。


「あぁ!!忘れてたぁ!!」


急いで着替えてコートを被るととりあえず食パンを咥えて警視庁へ走る。

走り出すとまず、鏡を出して髪を整える。

あ、梳かして来るの忘れた。

そんな事をやっているとあっという間に警視庁に着く。


「なにやってるんだ・・・・・・」


入ると原田っちと鉢合わせする。

ウチの姿を見て言ったんだろうね。


「ひや、ひょっろへほうしひゃってしゃ(いや、ちょっと寝坊しちゃってさ)」

「なんて言ってるか分かる訳無いだろ」

「『いや、ちょっと寝坊しちゃってさ』だってよ、原田っち」


栞が何処からか現れて言う。

ホントにどっから出てきた?


「あぁ、言われてみれば確かに」

「ほひうは、ひおい、ほっからへへひはの?(というか、栞、どっから出てきたの?)」

「え?原田っちの後ろ」

「やべぇ、何一つ理解できない」


流石に原田っちが可愛そうだからそろそろ食べきるか。


「あ、瑠果が食べちゃった」

「何か問題でも?」

「ん〜・・・・・・いや、ない(面白かったのに)」


何?

今の間は何?

そして地味に聞こえてたぞ。


「とりあえず2人に集まってもらったのは他でもない。例の事件の件だ」

「あぁ・・・・・・。なるほど」

「あぁ。その件ね」

「分かってもらえて何より。事件の全貌をとりあえず話してほしいんだが・・・・・・」

「お安い御用」

「任せて」

「聴かせてもらおうか」

「原田っちは何処まで知ってるの?」

「何処までって・・・・・・ほとんど知らないが?知ってると言えば、安城から少しだけ過去の話を聴いた程度だ」

「どこまで喋ったんだろ・・・・・・。まぁ最初から話すか」


えぇ・・・・・・。

勝手に決めないでよ・・・・・・。

面倒くさ・・・・・・。

ま、いいか。


「瑠果、いま『面倒くさ』とか思ってるのは分かってるからね?」

「やめてやめて。 あー・・・・・・まぁ思ったけど」

「せめてそこは隠そうとして」

「早く話してほしいんだが?」

「あぁ、ごめんごめん」

「(絶対思ってない)」

「栞?なんか言った?」

「ん?何も?」

「聞こえてたけどね?」

「じゃぁ聴かなくていいじゃん」

「そう言われるとそうだけど、ね?」

「何その笑顔。怖っ」

「早くしてほしいんだが?」

「あぁ、そうだったね」

「瑠果ぁ、顔が怖いよ」

「笑顔だよ?」

「茶番は良いからはよしろ」

「はいはい。えっと、まずは――――――」


事件の最初から最後まで語ることにした。

最初から最後と言っても、余計なところを省いて、証拠や事情聴取内容を話しただけ。


「なるほど」

「理解できた?」

「何も分からないということが分かった」

「何で!?あぁ、瑠果は説明下手だからな」

「栞も大概でしょ!?効果音しかない」

「効果音・・・・・・。否定できない」

「石川も大田も同じだよ・・・・・・。何もわからない。これでよく探偵やっていけるな・・・・・・」


あれ?

いま罵倒受けた?


「―――――で、ウチらを呼んだのは事件それだけじゃないんでしょ?」

「お、よく分かったな」

「流石に、メモも取らずに事件詳細を聞く警部なんて居ないと思ってたから適当に話した」

「真面目に話しても効果音が多すぎて分からないと思うがな」

「それは栞が悪い」

「瑠果、鏡居る?いや、反射鏡?」

「何の話?」

「ん゛ん゛。原田っち、それで要件は?」


わざとらしすぎる咳払いに笑う。


「あぁ、そうだったな。それが・・・・・・あまり頼みたくはないのだが、もう1つ、事件を解決してくれないか?」

「いいよ」


軽っ。

せめてウチの意見を聞け。


「どういう事件ですか?」

「実は今、連続誘拐事件が都内で起こっててな」

「ほう」

「えぇ・・・・・・」

「それで、どんな事件なの?」

「ん〜・・・・・・共通点しかないくらい恐ろしいんだ。お前らが元々通ってた中学があるだろ。そこの中学3年の生徒だけだ」

「分かってるだけやりやすいじゃん。ていうか何で分かってるの?」

「覚えてないのか?制服と学年カラーがあるから分かるに決まってんだろ?」


それじゃなくて。

ウチらが何処の中学に行ってたかってこと。

教えた記憶皆無なんですけど!?


「単純な逆恨みなのかそれとも・・・・・・」

「まぁ、よろしく」

「了解」


栞は勝手に話を進めないで!


「その仕事受けるのウチだと思うんだけど!?」

「何キレてるの?」

「ま、まぁ行こうか」

「そだね」

「頼んだぞー」


ウチらは警視庁を出ると、1回事務所に戻ることにした。

その理由はと言うと、純粋に疲れたから。


「瑠果ぁ、行くよ〜」

「うぃよ」

「返事くらいまともにしろよ・・・・・・」

「うぃ」

「だめだこりゃ」


ド◯フがやってそうな漫才をしてるな・・・・・・。

ウチはやってないけどね。


 ◇◇◇◇◇


「ここか・・・・・・」


10年以上来てなかったな。

最後に来たのは中学の卒業式だったなぁ。

懐かしいと言うべきなのだろうか。


「おー懐かしっ。変わってないねぇ」


思い出に浸ってる場合じゃないでしょ。

事件がウチらを呼んでいる。


「とりま職員室に行くよ〜・・・・・・」

「待ってぇ〜」


栞を置いてあるきだすと勿論栞は後を追いかけて来た。


「なんでさっきから冷たいの〜?」

「冷たくないよ?」

「怒ってる?」

「怒ってないよ?」

「拗ねてる?」

「ガキじゃないから拗ねてないよ?――――ってか、何で訊いたの?」

「さっきから反応鈍いから」

「鈍くないよ?」

「じゃぁ行こ〜」


栞に押されながらウチは職員室の方へと進んだ。


「失礼します。警視庁より派遣された探偵の石川瑠果とその助手の大田栞です」

「あ、あぁ。お待ちしておりました。さぁ、どうぞこちらに」


職員室の奥にある校長室へと案内される。

なにせ校長室は在学中に入ったことないから初めてなんだよね。

校長先生は流石に変わってるか。

ウチらが来ることを事前に原田っちが連絡してくれたおかげでスムーズに話が進んだ。


「ではまた犯人が分かり次第連絡、よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」


校長先生が見送ってくれた。

大丈夫かな。

あの校長先生、年食ってるしさっきよろけて転んでたけど。


「じゃぁ、今から行きますか!」

「え!?今から!?」


栞がウチの方を見て『正気ですか?もう夜近いですよ?』って目で見る。


「夜だから良いんでしょ。よく考えて、栞。中学生さらうならどうする?」

「私だったら夜にうろついてる中学生を攫うね・・・・・・ハッ」

「そう、そういうことだ。」

「でも知り合いの中学生なんて居ないよ?」

「ん?何を言ってるの?栞」

「ん?」

「(ニコッ)」

「あwまさかw」


 ◇◇◇◇◇


「まぁ、ギリギリ入ったよ」


栞が奥の部屋から出てくる。

栞は過去の制服を着ている。

学年カラーは偶々同じだったから良かった。


「原田っちには話を通してあるから大丈夫。そして一番襲われやすい場所も聴いてある」

「どこ?」

「学校周辺の路地裏」

「なんで学生がそこに行くんだよ」

「なにかあるんじゃない?それを含めて行こう」

「そだね。でも自分から攫われに行くのは少し違和感がある」

「確かにね。せっかくだし、もう少しJKっぽくしたら?」

「嫌です。それに中学生はJCです〜」


煽りやがって・・・・・・。


「とりま行こっか」

「そだね」


夜道を歩きだして約20分後。

例の学校につく。

学校の明かりは完全に消えており、周囲も人っ子一人いない。

栞にGPSタグを渡して場所を教えると、元気そうに『行ってくる〜』って走っていった。

ウチはそのまま




≪The Sixth Day was Finishing, And To The Next Story...≫

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