The Fifth Day(3)



※都合上、少し短めです。ご了承下さい





「栞!?」


ウチは撃たれた栞に駆け寄る。

左胸には鮮血が服に染みていた。


「し、栞・・・・・・?嘘でしょ?」

「ハッ。テメェの助手も大したことねぇじゃねぇか。次はお前の番だ」

「――――っ」


栞が撃たれた今、ウチにはもうヘイトを買ってくれる人はいない。

更には武器もない。

・・・・・・いや、もう一人、居る。


「怖くて言葉も出ないってか?大丈夫だ。一瞬であの世に行けるからなぁ」

「・・・・・・今、か」


気配を察したウチは栞に駆け寄ると伏せる。

と、同時に

下にはウチらを待ってましたと言わんばかりに構えていた原田っち。


「おつかれ・・・・・・って、大田は大丈夫なのか!?」

「大丈夫じゃないから急いで病院に・・・・・・」

「勿論だ!その前に安城!」

「了解です!」


焦りのあまり気付かなかったが、安城も同席していたようだ。

流れるようにヘリから飛び降りた安城はウチらが来た場所から登っていった。


「原田っち!!」

「あぁ。安城にも言われている」


ヘリはそのまま急降下して静岡市にあるヘリポートに到着した。


 ◇◇◇◇◇

≪Change the View≫ 安城閑華視点


今日の昼、私は相川さんに呼ばれ、警視庁に赴くことにしました。

私が探偵をやっていないということは相川さんが知っているはずなので別件なのでしょう。

どちらかと言うと、今の職業は暗殺者みたいなところありますしね。


「久しぶりだな。安城。数年ぶりだな」

「相川さんも相変わらず元気そうですね。そちらの方は?」

「紹介しよう。原田警部だ」

「よろしく」

「よろしくお願いいたします。して、今日の要件はなんですか?」

「悪いんだが、早速ヘリで飛んでくれないか?理由は原田の方からヘリの中で話させてもらう」

「・・・・・・面倒事は御免ですよ?」

「そう言わずに頼む。人の命が掛かってるんだ」

「・・・・・・はぁ。仕方ありませんね。行きます」


ヘリに乗ると原田警部から説明がありました。

石川瑠果と大田栞が今、敵に陥れられているということを。

石川瑠果、そして太田栞。

私は忘れはしませんよ。

あれはもう6年以上前ですか。


『ウチと栞に何か用ですか?』

『探偵と聴いていますがここでの勝手な行動を控えていただくと助かります』

『なぜあなた主導で動いてるんです?ウチらだって捜査する権利はありますよね?』

『いえ、この事件を任されているのは私達なので』

『ウチらは被害者の家族から任されているんです。逆にあなた達は捜査だけが目的じゃありませんよね?』

『―――――んな!?』

『テメェ、そろそろいい加減にしないと』

『言葉で制圧しようとしたけどダメだったから暴力、ですか。探偵がこんなんじゃ世も末ですね。あ、一緒にしないでくださいね』

『言わせておけばぁ!!』

『待て、サーチエクスペンシブ!!』

『行こ、栞』

『だね。相手にするだけ無駄かも』


あんな事をスラスラと言える人は初めてでした。

しかも、真顔で。

未だに頭にこびりついて離れませんよ。


「だからこそ・・・・・・。死なせたくない」

「なにか言ったか?」

「えぇ。古い昔話ですよ」

「ほう。是非あの2人の昔の姿を知りたいな」

「え?恋でもしてるんですか?」

「まさか。パートナーとして知っておきたいだけだ」

「将来の?」

「んな!?探偵と警部だ!!」

「あ、私は将来のパートナーそっちのことについて詳しく聴きたいですね」


 ◇◇◇◇◇

≪Change the View≫ 石川瑠果視点


栞が手術室に運ばれて早1時間。

ウチはヘリポートに再び到着した。

何があったのかと言うと、栞は真っ先に運ばれていったけど、ウチと原田っちは安城を迎えに再び飛び立って帰ってきた。


「な、何で私を待ってたんですか!?」

「流石に、全力で闘ってるのに迎えに行かないわけにいかないでしょ」


ウチと安城は全力ダッシュで病院に向かう。

頼むから無事であってくれ。

病院に入ると先に向かっていた原田っちが手招きで合図している。

そっちね。

エレベーターに乗ると、13階へ上がる。

ウチと安城は全速力で1306号室へと進む。


「「栞!?」さん!?」

「ん?」


栞は慌ただしく開いた扉の方を振り返る。

その手にはバナナ。


「どーしたの?」

「「・・・・・・」」

「・・・・・・?」

「え?生きてたの?」

「失礼な。勝手に殺すな」

「私は心臓を撃たれたと聞いたんですが?」

「いや、撃たれてないよ」

「え?」

「私を誰だと思ってるんだ。弾丸は懐にあった本によって止まって一命を取り留めたの」

「本・・・・・・え、待って待って。じゃぁ血は?」

「血?あぁ、ケチャップのこと?いや〜懐にこの前のサイ◯リヤのやつ入れといたらたまたま貫通した的なやつ」

「・・・・・・気絶したじゃんか」

「撃たれたときの衝撃と体調不良かな?気圧も低かったし。凍傷になるかと思った」

「へ、へぇ〜」

「大田ぁ!!無事かぁ!?」


約1分遅れで原田っちが入って来た。


「どーしたの?」

「・・・・・・」


同じ反応した原田っち、可愛い。

全てを知った途端、原田っちがホッとする。


「なるほど。原田警部はだからそんなに焦ってるんですね」

「いつまでその話を引きずってるんだ?」

「とりま、栞ぃ、無事で良かったぁぁ」


ウチは込み上がる感情を抑えきれずに抱きつく。


「うお!?瑠果ぁ!?」

「私はお先に失礼しますね。また後日伺います」

「俺も」


そう声が聞こえたが、今、私の頭の中はそれどころではなかった。


「瑠果ぁ、離して、きつい、痛い、折れる」

「ヤダ」


今はまだこうして居たい、そう思ったウチは夜遅くまで病室に居た。




≪The First Day(3) was Finishing, And To The Next Story...≫

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