The Fifth Day(2)
「はい・・・・・・。あ、探偵さん。いらっしゃい」
「お邪魔します。あ、中には入らないので結構ですよ?」
「でも寒いですし・・・・・・」
「では単刀直入に要件だけ」
ウチはスマホを取り出そうとして水没したのを思い出してその手を引っ込める。
「あなたですよね、黒幕は」
「・・・・・・私は何も知らないのでどうぞ中に。主人と話して下さい」
あ、ビンゴ。
この反応は当たりだ。
おそらくこれで事件が解決する。
この数十年に渡って行われた
これが終わったら安城にも報告しよう。
「(ねぇ、瑠果。これ大丈夫なの?)」
「(多分。栞こそ気を抜かないようにね。最悪のケースも考えておいて)」
「(最悪のケース?)」
「(もしかしたら強行されるかもしれないから)」
「(なるほど?瑠果はどうするの?――――って状況次第って言うに決まってたね)」
「(流石分かってんじゃん。栞もそうでしょ?)」
「(そうです。じゃぁ行こうか)」
ウチらは案内された部屋に入るととりあえず中を見渡す。
中央にテーブル、ソファー。
そして前回から何も変わってない家具の配置。
他にも引っかかる点は多々あった。
例えば、地味に壁に亀裂が入ってるとか。
床にホコリの境目が見えたりだとか。
これ完全に壁から敵が出てきて床に落とし穴が出てきて終わるやつでしょ。
ウチ、知ってる。
これを罠って言う事。
栞と目でアイコンタクトを取ると中に入って案内された通りソファーに座る。
「遠いところからありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
「それでご要件はなんでしたっけ?」
「単刀直入に申し上げます。この数十年に渡っての犯人はあなたですよね―――――安達さん」
「さぁ、何の話だか私には分からないです」
「とぼけないで下さい。あなたの行動は全てわかってるんですよ」
もちろん嘘である。
ウチがそんな面倒くさい手順踏むと思ってるの?
「例えば、田島さんの携帯にあなたがかけたこととか、田島さんの証言から遺体を運んだ車の行き先とか」
全部ウソだけどね。
そういうブラフを仕掛けることが大事なんですよね。
容疑者を動揺させる、それが一番大事なんです。
そう、安城も言ってました。
彼女もまた、この事件の解決に専念していた。
だから私がこの事件を終結させる義務がある。
さて、前置きが長くなりましたが・・・・・・。
そろそろ本題と行きましょうか。
「そういえば・・・・・・あの後聞きましたよ。あなたがかの有名な石川探偵だと」
「はぁ、ありがとうございます」
違う、ウチが聞きたいのは・・・・・・。
「あなた、デットファインダーですよね?」
ウチがそういうと、栞は目を見開いてウチの方を見て膠着する。
最も、一番驚いていたのは、安達さんだが。
「・・・・・・どこまで知ってる?」
「私は、この事件を解くためにありとあらゆるものを調べたので分からないものはないですよ」
「それを知ってどうするつもりだ」
「決まってますよ。報告させていただきます」
「その話には無理が2つある」
「無理・・・・・・ですか?」
「あぁ。1つは警察にこの事実を報告すること。2つ目は俺を倒すこと。3つ目は・・・・・・」
あれ?
この人、最初2つって言わなかった?
「ここから外に出ることだ‼︎」
安達さんは壁の方に飛び退く。
ウチらも飛び退こうとしたんだけど・・・・・・。
まさか天井板が外れて落ちてくるなんて思わないでしょ?
そのまま地下深くまで2人で落ちていく。
栞が携帯用のライトを点ける。
お陰で無事着地できた。
「にしても、暗いね。怖い」
「だね。私も恐怖を感じる。約100メートルは落ちたってところか」
「上がれないね。どうする?」
「どうするって・・・・・・」
んー・・・・・・。
どうするんだろ。
「瑠果ぁ、私こんなとこで寝たくないよぉ」
「そこは死にたくない、じゃないんだ」
「汚いから」
「うん。言いたいことはなんとなくわかった」
ウチは栞が言い始める前に静止させる。
「(栞の精神はどうなってるんだか)」
「なんか言った?」
「特に何も?」
「でもどうしよっか。上がれないね」
「うーん」
「この中を探索してみよっか」
ウチと栞はそれぞれ、スマホのライトを手がかりにして探す。
「何もないね」
「ね。どうするの?」
「上がるかぁ・・・・・・」
「どうやって?」
「頑張る」
「言うと思った」
現実的に、この穴を登るのは無理に等しいとウチは思ってる。
まぁ、栞は出来ると過信してそうだけど。
どうするかと言うと、原田っちに電話する。
―――――と思ったんだけど。
携帯が水没してたんだった。
どうしよっかな。
「栞ぃ、原田っちに電話して〜」
「えぇ・・・・・・。というか、水没してそう」
「あれ?完全防水じゃなかったっけ?」
「海水だからわからない・・・・・・」
「やってみるだけやってみてよ」
「オッケ。出来る気がしないけど・・・・・・あ、できた」
出来るんかい。
なら話は早い。
「じゃぁ、原田っちに」
「うん。勿論そのつもり」
栞が電話をかけようとすると、栞はその場で膠着する。
「どうしたの?」
「うん。今気づいたんだけどさ。気圧が下がってない?」
「ん〜?」
ウチには分からないけど、栞は環境の変化に気付きやすいからわかるんだろうな。
「――――ってことはさ、これ、上空に上がってる?」
「そうだね。このままマリアナ海溝に沈められるかもよ?」
「勘弁してよ。ウチはまだ死にたくないし」
「冗談冗談。てか、寒くね?」
「ウチも思った」
「とりあえず、ここから抜け出しますかね」
栞はそう言うと、懐からドライバーを取り出す。
栞は基本的に何でも持ってるからね。
頼めば出てくる。
「えい!」
栞が角にマイナスドライバーを差し込むと、そこに亀裂が入る。
そして光が差し込む。
「思った通り上に上昇してるね」
「どう?降りれそう?」
「今ならまだ。とりあえず原田っちに電話を」
「そうはさせんよ」
そう声が響く。
声の主の方を見ると、安達さんが上から見下ろしていた。
「―――――いつの間に!!」
「まだわからんか。私はお前らを殺すまでが仕事だ。おっと、安城閑華とやらも殺しとかなければいけないがな。まずはお前らだ。俺がこのボタンを押せば、そこの台座の底が抜ける。そしたらお前らはマリアナ海溝にドボンだ」
「「・・・・・・」」
まさか本当にマリアナ海溝だとは・・・・・・。
栞は変なところで勘が鋭いからな・・・・・・。
「私は仕事があるので先に失礼させてもらおう。では」
安達さんはそこにあったスイッチを押す。
「瑠果!」
「―――分かった!」
床が落ちると同時にウチらはジャンプしてウチは栞の手に捕まる。
栞は持っていたマイナスドライバーを壁に突き刺す。
「ほう。やるな。だがそれもいつまで続くか楽しみだ」
安達さんが見えなくなると、ウチらはアイコンタクトでこのあとやることを確認した。
「瑠果、私の懐にもう一本ある」
その一言ですべてを理解した。
ウチは栞の手を掴みながら登ると、栞の懐にあったもう一本のマイナスドライバーを上の方にさす。
そして栞の手を掴むと、栞はマイナスドライバーを抜いてウチの腕を掴んで登る。
そして上に刺して、の連続。
そして上まで上り終えた。
安全と判断したウチらはそこで一時休憩にすることにした。
「疲れた・・・・・・」
「右に同じ・・・・・・」
ウチらはヘトヘトである。
ちなみに、原田っちには登りながら電話した。
スピーカーにして電話してたら、お前ら何やってんだ、って呆れられた。
数十分後。
「来たね。原田っちが」
「だね。そんじゃ、いこうか」
「そうはさせるか」
振り返るとそこにはウチらが知らない男が立っていた。
「え?」
「見た感じ、よじ登ってきたと見える。流石だな」
「あ、ありがとうございます?」
なんで栞はお礼を言ってるの。
疑問詞ついてたし。
「決めたぜ。お前らにはここで死んでもらう」
「なっ!?」
男は腰から拳銃を抜き取ると栞に向けて発泡した。
≪The Fifth Day(2) was Finishing, And To The Next Story...≫
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