The Third Day
※短めです
次の日の朝。
事務所の鍵を開け、昨日の夜来ていたのだろう安城からのメールに軽く返信をした。
内容は『前回の事件の全容を教えてください』だ。
田島と稲が前回の事件で関連があったならそれを聞きに行くのが通りってもんだろうから。
「瑠果ぁ、今日、私ダメかも」
「ゆっくりお休み」
軽く髪型をセットしてジャケットを羽織ると外に出る。
少し寒い。
到着すると既に安城は奥の席で座って待っていた。
「すみません。お待たせしました」
「いえ。私も着いて少しですからお気になさらず。どうぞ座って下さい」
ウチは安城の反対側の席に座る。
メニュー表を手渡され、私はそれに目を通すと紅茶にすることにした
「では話しましょうか。何処からお話すれば宜しいですか?」
「出来るだけ詳しく、そして最初から最後まで話していただければ」
「分かりました。少々待って下さい。事件について思い出しますので」
安城はカバンからファイルを出すとそれを広げる。
内容はおそらく過去の事件についてだろう。
ウチは手帳の準備を始める。
安城が語り始めてから終わるまで約1時間ほどかかったのは言うまでもない。
(作者注:内容については『安城閑華の1週間』をご覧ください)
◇◇◇◇◇
事務所に帰ると、安城に貸してもらったファイルと葬儀場に貸してもらったファイルを照らし合わせて同じことを確かめると整理するためにPCを開く。
えっと、どうやってワード開くんだっけ?
たーしーか・・・・・・。
ウチはワードをダブルクリックして開く。
お、出来た。
「えっと、まず時系列順に並べよう。最初に殺されたのが福田。その次田口。それで今回の被害者の稲、安達。そして秋山。その後田河と田島は捕まった。そしてこの中学生5人は事件があった数日後に葬式、火葬済み。田島と田河はそれぞれ丁度2年ほど前に出所。2人にその後の接点はなしか・・・・・・」
ん?
あれ?
田河って・・・・・・。
1回会ってんじゃん!!
あのときの稲さんの同僚が田河って言ってた!!
「探偵もそうだけど恨まれる職業って一定数あるからなぁ・・・・・・。この資料みたいにウチらもスナイパーとか用意しといたほうがいいのかな?」
いや、止めとこ。
原田っちが許可してくれるはずがない。
「今まで武器なんてその辺に落ちてる空き缶とかでやってたからなぁ・・・・・・」
一番武器っぽい武器を使ったのは木の枝組み合わせて弓くらいかなぁ。
栞が大分無茶って言ってたけど。
「大分マシになったから来た。おはよー」
「おはよー」
現在時刻は12時半。
「どうする?食べに行く?」
「まぁ、食べに行こうか。私もお腹へったし。瑠果は少し飲んできたっぽいけど」
「なんで知ってんの」
「勘」
「勘かよ・・・・・・」
「そういや、ヘリ運転できるんだっけ?」
「一応免許は持ってるけど?」
「ニマッ」
「何その笑み・・・・・・。怖いんだけど?」
◇◇◇◇◇
3時頃、ウチらは警視庁の屋上でヘリの到着を待ってた。
「マジで静岡まで飛ぶのか?」
原田っちが心配そうな目線を送る。
「うん。ちょっと過去のことが知りたいから安達さんの家族のところへ」
「まぁ、良いだろう。ヘリポートは手配済みだから地図のとおり行けば良いはずだ。まぁ、おそらく目的はそれだけじゃないんだろうが」
「まぁ、休憩がてら富◯急ハイランドへ行こうかと」
「ガチめの遊びかよ・・・・・・」
原田っちは先程の心配は何処へやら、呆れた目線を送ってくる。
「いいじゃん別に日頃の疲れが・・・・・・」
「暇な時事務所でゆっくり紅茶飲んでるやつがよく言うよ」
「そ、それもまた探偵業務」
「何だその業務」
ヘリが着くと、ウチらは乗り込む。
運転手が入れ替わって栞が運転席へ。
「じゃ、頼む」
ウチは扉を閉めると助手席側に座る。
「静岡ってどっち?」
「多分・・・・・・北?」
「いや、南でしょ?」
「じゃんけんで・・・・・・。いや、こういうときのgoogle先生だ」
「そうだね」
「ウチが調べとくから・・・・・・えっと西だね・・・・・・。富士山の方」
「2人共外れてるの草」
「笑わなくていいから」
栞は苦笑いしながら旋回すると西に向かって飛び始めた
あと30分もすれば着くかな。
「ん〜快適〜」
栞は運転席の窓から手を出して外の風を感じてる。
「寒くないの?」
「寒いけど心地良いよ〜」
「マジ?」
確かになぁ。
雲の中で下の景色が見えないのは残念だけどね。
「今速度どれくらい?」
「え〜っと170km/hくらい」
「へぇ、ヘリってそれくらい速度出るんだ」
「うん。早いと280とか出るよ」
「うわ。もう新幹線じゃん」
「じゃぁ、お言葉に甘えて。飛ばすよぉ!!」
栞は乗り気になったようで全力で飛ばし始めた。
◇◇◇◇◇
約25分後。
無事静岡に到着し、ウチらはその足で先に連絡しておいた安達さんのもとに行くことにした。
「はい、どなたですか?」
家について最初に出てきたのは奥さんと思われる女性。
「あ、先程連絡しました探偵の石川瑠果と申します」
「遠いところらありがとうございますどうぞ中へ」
「ありがとうございます」
ウチらは案内された通り中で待っていると親父さんであろう人が出てくる。
「初めまして探偵さん。私が主人です」
「始めまして。私は探偵の石川瑠果です」
「助手の太田栞です」
「息子さんのことでお尋ねしたいことが・・・・・・」
「あぁ・・・・・・。もう十数年前になってしまうのか」
「えぇ」
「それで、何を聞きたいんだい?答えられることなら答えるが・・・・・・」
「息子さんの日記とかありませんか?」
「少し待っててくれ」
そう言うと2階へと続くであろう階段を登って言ってしまった。
「瑠果、日記をもらってどうするの?」
「それから被害者との関係を洗い出そうとしてる」
「なるほど。頑張れ」
「少しは手伝おうとか言う気は・・・・・・」
「ない」
「ですよねー」
間髪入れずに即答入れるあたりからかいに来てるのが丸見えだ。
まぁ、そう言いつつ実は手伝ってくれるのを知ってる。
「持ってきたが・・・・・・。これで良いのか?」
「えぇ。ありがとうございます」
ウチは許可を取って各ページの写真を撮る。
「大事に使わせてもらいますね」
「あぁ。また何かあったら来てくれ。ウチで何か役に立てられれば死んだ息子も光栄だろう」
ウチらはその家を出ると、速急に富◯急ハイランドへ向かうことにした。
絶叫、楽しみ。
◇◇◇◇◇
帰るのは夜になった。
というのも、栞がウチのせいで酔いに酔って運転できなくなったのが要因だ。
まぁ、昨日の仕返しと思えば良いだろう。
原田っちがヘリが着くと呆れたような目で迎えてくれた。
しかも、ちゃんと富◯急ハイランドは楽しめたか、なんて言われた。
そこは知ってても言っちゃいけないところなのに。
そういうところにデリカシーが無いから彼女居ないんだよ(偏見)。
その後、ウチらは書類をまとめるより前に布団に倒れ込むように寝た。
≪The Third Day was Finishing, And To The Next Story...≫
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