今しかない⁉︎

 次の日、傘を返すために三野川さんのクラスへと向かった。

 

 ツンっ

 

 ‼︎

 

 えっ⁉︎

 

 慌てて振り向くとるなさんが立っていた。

 

「おはようございますっ♡」

「えと…あ、おはよう」

 

 …

 

「ねぇねぇせんぱぁ〜い♡」

「えっ、なに?」

「ドアあきましたよ〜。」

「えっ、ド、ドア…?」

 

 するといきなりるなさんは、いつものスン顔に戻り、

「早くしないとしまりますよ‼︎」

 とオレに厳しめの視線を送ってきた。

 

 ⁉︎

 

 えっとー…

 

「そのドアって…」

「まだわかりませんか⁉︎わたしが一生懸命ドアを開くのずーっと協力していたのに」

 

 協力…ってことは、三野川さんに関わるドアだよね?

 

 もしかして!

 これは、これは‼︎

 これは今しかないかも‼︎

 

「三野川さん!」

「あ、先輩。昨日はどうも。」

「こちらこそ。昨日は、ありがとう。」

 と傘を三野川さんに差し出した。

 

「わざわざ次の日に持ってきてくださるなんて先輩律儀ですね。」

 とにっこりしてオレから傘を受け取った。

 

 やっぱりかわいい。

 

「それでさ、お礼も兼ねて今日放課後美味しいスイーツ屋さんあるから一緒に行かない?一人じゃ入りづらいお店でさ。」

「え、そんなお礼なんて…でも、先輩と一緒に行きたいかもです。」

 と三野川さんは、オーケーしてくれた。

 

 あー、よかった〜。

 

 放課後までの時間、オレはずっと三野川さんのことを考えていた。

 

 あー、ソワソワするー。

 

 朝から放課後の約束をしたもんだから、授業をほとんど聞いていなかったオレ。

 

 でも、いいんです!

 

 今日の放課後からオレは運命がかわるかもしれない一大事なんっすから‼︎

 

 授業なんて真面目に聞くのは、明日からにします!

 

 って、明日は土曜日で学校休みなんですけどもねっ。

 

 へへへ

 

 一人テンション高めなオレ。

 

 

 そして、いよいよ放課後。

 

 三野川さんのクラスの昇降口へとお迎えにあがった。

 

 歩いている途中…テンション爆上がり‼︎

 

 もうさ、オレ三野川さんの彼氏みたいじゃね⁉︎

 彼女迎えに行く彼氏みたいなぁ〜。

 オレ彼氏〜。

 

 なんてね〜‼︎

 

 お待たせ!待った?

 みたいなっ⁉︎

 

 恥ずかしいっ‼︎

 

 一人ぐふふとニヤけて待ち合わせ場所に到着すると三野川さんは、まだ来ていなかった…。

 

 …

 

 …あはは。

 

 しばらく待っているといきなり後ろからギュッとされた。

 

 ⁉︎

 こ、こんなことしてくるのって…

 るなさん⁉︎

 まさかのバックハグ…

 

 朝、いつものスンなるなさんに戻ったと思ったのに…。

 まだあのテンションのままだった?

 

 と振り返ると…

 

 えっ⁇

 

 みっ…三野川さん⁉︎

 

「ふふ、お待たせいたしました!びっくりしました?」

 と少し恥ずかしそうにしていた。

 

 か、可愛すぎる‼︎

 

「待ってないよ。てか、いきなり抱きついてきたからびっくりしたわ〜」

 というと、三野川さんは

「るなが、後ろからハグすると運気アップだよって教えてくれたんです。」

 と言った。

 

 …るなさんは、やっぱり…占い師かよ⁉︎

 てか、そんな運気アップ大胆だな。

 ま、オレは大歓迎だけど。

 

「じゃ、行こっか」

「はい。あの…それで…」

「うん。どうしたの?」

「手を…手を繋いで歩くと、さらに運命アップってるなが教えてくれて…手…だめですか?」

 と。

 

 おぉう、

 なんて素晴らしい運気アップ‼︎

 

「繋ごう‼︎」

 ここは、まだ学校だけどもうそんなことはどうでもいい‼︎

 三野川さんからそんな素晴らしいことを言ってくれるなんて最高じゃん‼︎と、オレは喜んで三野川さんと手を繋いだ。

 

 てかさ、この前から三野川さん…間接キスしたり相合い傘したり…手繋ごうって言ってきたり…

 

 全て占い…?

 るなさんの占いなの?

 

 じゃないとしたら…なんか積極的じゃね⁉︎

 

 もう、これは勘違いじゃなくね⁉︎

 いけるんじゃね⁉︎

 

 オレは自分の背中をプッシュした‼︎

 

 もう、ゴーサインが出た‼︎

 自分から。

 

 というわけで、カフェの後…いよいよ本気出します‼︎

 

 

 でも、まずカフェで美味しいスイーツいただきましょう。

 

「このショートケーキ美味しいです。」

「こっちのモンブランも最高だよ!」

「なら、一口づつ交換…します?」

 

 でた‼︎

 二回めの間接キス!

 

「あぁ、そうしよう!」

 なんのためらいもなく間接キス開始‼︎

 

 あー、最高かよっ‼︎

 

 もうこれ受け入れてくれたら間接キスどころかキスもありなんじゃね⁉︎

 

 三野川さんとキス…とかありえねー‼︎って少し前のオレなら思ってたかもだけど…今は、ありえなくもないっ⁉︎

 

 最後の一口を食べて…いざ‼︎

 

「行こっか」

「はい。」

 

 あー、かわいいよぉ。

 ほんとかわいいなぁ。

 

 もう、かわいいの大洪水だ…。

 

 かわいいかわいいかーわーいーいーっ‼︎って叫びたいくらいだ‼︎

 

 告白とかすっ飛ばして抱きしめたいっ‼︎

 今すぐここがオレの部屋にならないものか⁉︎

 

 ひとめを気にせず抱きしめてキスしたいっ‼︎

 

 独り占めしたいです。

 もう、ずっと離さないからねって絡みつきたい‼︎

 

 でも…

 …ちょっと落ち着こう。

 

 これでもしフラれたらオレは立ち直れない。

 

 

 

 とりあえず公園のベンチに並んで座った。

 

 そして…

 意を決して‼︎

 

「三野川さん…」

「はい?」

 

 …

 

 続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る