雨
よくわからない状況のなか、一週間が過ぎた。
朝イチ…
「牧田せんぱぁ〜い♡つっかまえたぁ♡」
朝からオレは、るなさんにがっつり腕を掴まれた。
「あー…、るなさん。今日もお元気で。」
「はぁい♡元気なんですぅ〜」
「三野川さんもおはよ。」
「あ、おはようございます。」
はぁ…。
一体ほんとにるなさんは、どうしてしまったのだろう。
…
‼︎
あ、飴に惚れ薬が入っていた⁉︎
…なわけないよなー。
うーん…
「ねぇ、先輩!」
後ろからるなさんがオレの袖をクイクイしながら話しかけてきた。
「ん?」
「ドアあきそうですね!てか、もうあいてますよね?」
と三野川さんに聞こえないように話しかけてきたるなさん。
…ドア。
「そのドアって…」
「そこはー…、ご自分でお考えくださいよぉ〜」
と教えてくれないるなさん…。
ドア…あいたんだ⁉︎
どこのドアがいつのまにあいたんだ⁇
あー…わっかんねー。
もしかして、るなさんの心のドア⁉︎
なの⁉︎
…⁇
とにかくドアがあいたらしいが全くわからないまま、ボランティアの日。
活動を終えてさぁ、帰ろう!っておもい外に出ると…あ、雨…。
ちょうど雨がポツポツとしてきたじゃないか。
えっとー、傘がーバックの中にー…えっ、どこだ?
ガサガサゴソゴソ
…
えっとー…
ないっ‼︎
置き傘忘れたーーっ⁉︎
…ま、いっか。どうせ帰るだけだし。
バックのチャックを締めて歩きだすと…
⁉︎
雨が止んだっ⁉︎
いや、違う。
誰かがオレを傘に入れてくれたんだ。
…
だ、だれだろうと振り向いてみると…
みっ、三野川さんっ‼︎
「あっ、三野川さん。いいの?」
「はい。帰る方向同じですし…」
恥ずかしそうな三野川さんがまた可愛らしかった。
かわいいじゃんかよっ‼︎
しかもオレが濡れないように手とか頑張って上の方にしてくれてさ。
もう抱きしめたいっ‼︎
今すぐに抱きしめてもいいですかっ⁉︎
って…んなわけなかろうに。
オレはクールぶって、
「ありがとう。じゃあ傘はオレが持つよ。」
と傘を持った。
あー、最高っす‼︎
そんでもって近いーー‼︎
肩あたるよ⁇
飴の次は、雨に感謝した。
三野川さんの肩は、もう折れそうなほど細いんだよね…
何度も抱きしめているからわかります‼︎
そんな細い肩の三野川さんがオレのとなりで並んで歩いている。
肩…抱き寄せたい。
濡れないようにこっちおいで。
ってさー‼︎
そんなのできるかっての‼︎
あーっ‼︎
そんなことできるわけないけどさ、でもオレって何回も三野川さんに触れたりしててほんと幸せもんだろーよ。
しかも相合い傘って!
今までアリとかも踏まないで歩いてきたから神さまがご褒美くれたのかもしれないな。
これからもゴミは、進んで拾います。
困っている人がいたら手を差し伸べます。
朝は、モーニングコーヒーで目を覚まします。夜になったらカーテンを閉めて電気をつけます‼︎
そして、出かける時はきちんと靴下を履いて靴も履きますっ‼︎寝る時は、まぶたを閉じて目をつぶりますっ‼︎
だからご褒美お願いしますっ‼︎
と、神さまにおねだりをしてみた。
バシャっ
…うん。
車のお水がはねたよ?
神さま…調子に乗ってすみません。
と心からお詫び申し上げてはねた水を手でぺぺっと払った。
「大丈夫ですか?」
「あー、うん。平気」
「…あのー、先輩?」
「なに?」
「るなって実は、モテるんです…」
「おー、そうなんだ」
「はい。でも、彼氏つくらないんですよ。なんでかわかりますか?」
⁇わからない…。
「えー…、なんでだろう?実は運命の人がまだいないとか?」
「そうなんですか?」
⁉︎
えっ…
これは…もしかして相談されてる?
「三野川さんも知らないんだ?」
「はい…。るなって不思議なんですよね。」
「わかる。」
「ですよね。それで最近…るながよくわからなくて…」
「うん…。」
わかる‼︎
友達の三野川さんですらわからないならオレはもっとわからないや。
「それで…るなが最近…げ…元気なんですよ!」
と頑張ってにっこりしていた。
三野川さん…ほんとは、そんなこと言いたかったんじゃないんだろうな…。
元気なのは、たしかだけど…たぶん三野川さんが言いたかったのは…
うん…、きっとオレに対する態度を三野川さんは、気にしている…はず。
「たしかに…るなさん元気だよね。なんか…どうしたのかね?少し気になる…よね。」
「えっ…気になる…んですね…。」
「うん。」
「あー…」
三野川さんは、遠くを見つめたかと思うと今度は、オレをじっと見つめて
「先輩…わたし…」
と言いかけたそのとき、三野川さんの携帯がなった。
「あぁ、出て大丈夫だよ」
「いえ、これはメッセージですから。」
「そっか。」
「はい。それじゃあ、わたしここで。あ、傘そのまま持っていっていいですので。」
と三野川さんは、それだけ言って走っていってしまった。
…さっき、三野川さんは何を言いかけたのだろうか…。
オレは三野川さんが走って行く姿を黙って見送るしかできなかった。
続く。
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