積極的

 三野川さんとさよならした後、オレも飴を買いにお店に寄った。

 

 

 ズラリと並ぶ飴ちゃんたち。

 あ、コレコレ〜って…

 

 ‼︎

 

 オレの手の上にそっときれいな美しい手が覆い被さってきた。

 

「「あっ」」

 

 きれいなおてての元を辿ると…

 

 まさかの三野川さんっ‼︎

 

 びっくりしたわー…でも、そ、そうだよな。

 方向一緒だもん必然的にお店もかぶるよな…。

 

 お互いパッと手を離した。

 

「あ、この飴美味いよね」

「はい。でもまさか同時に被るなんて」

 

「「ははは」」

 

 お菓子コーナーで二人して赤くなった。

 

 あぁ、スーパーがこんなにも素晴らしい世界なんて知らなかった。

 

 お菓子コーナーがオレにはお花畑かのような素晴らしい景色に見えてきたぞ!

 

「この飴、オレ好きなんだよね」

「わかります‼︎昔よく食べました!あと、これとかも意外と」

「はいはい!わかるわー。」

 とオレたちは、新婚さんみたいにスーパーで仲良くお買い物をした。

 

 ついでにアイスも買って公園で寄り道をした。

 

 な、なんか…これってー…

 

 これって放課後デートカップルみたいじゃんっ⁉︎

 

 放課後ベンチに並んで座ってアイス食べるとかさ!

 

 たのしー‼︎と、浮かれていると三野川さんがオレのアイスをみて、

「先輩、そのアイス美味しいですか?」

 なんて物欲しそうに見てくるじゃないか。

 まさか…あるはずないけど、

「美味しいよ、一口食べてみる?」

 なんて冗談を言ってみた。

 

 すると、まさかの…

 

「あ、じゃあいただきます。」

 と髪を押さえながらパクリとしたじゃないかっ‼︎

 そしてニッコリ、

「美味しいです」

 と。

 

 ヤバっ…、可愛すぎ‼︎しかも…間接キスじゃん。

 

 オレとそんなことして…よかったの⁉︎

 

 と、戸惑っていると…

「先輩もどうぞ?」

 と差し出されるアイス。

 

 うぉわー、それはもちろんいいなら‼︎

「いただきます!」

 ちゅうちょせずにパクリといただきましたっ‼︎

 

 あー、もうオレたちカップルなんじゃねっ⁉︎

 もう…このままいける気がする‼︎

 

 するけど…前のるなさんの時みたいに、好きになっちゃった?いいえ!みたいなことにもなりかねない…。

 

 うん。焦り禁物だ‼︎

 

 

 

 でもぉ〜、やっぱりニヤケちゃうよね〜。

 三野川さんとさよならした後も一人ニヤニヤとするキモいオレなのでありました。

 

 

 でも、次の日からとんでもない日常が訪れるのであります。

 

 朝、昇降口で靴を脱いでいるとクイクイッと誰かがオレの袖を優しく引っ張っているじゃありませんか。

 

 誰だ⁉︎と振り返るとるなさんだった。

 

「あ、おはよう。どうしたの?」

「どうしたのじゃありませんよ〜。も〜ッ先輩〜♡」

 と…。

 

 えっ⁈

 だれ⁉︎

 

 るなさんの着ぐるみ⁉︎

 誰か中に入ってんじゃねっ⁉︎

 

 るなさんってこんな感じだっけ⁉︎

 

「あのー…、るなさん…だよね?」

「あったりまえじゃありませんかぁ。んもー、ほんとやんなっちゃう♡」

 

 …あー、ね?

 

 …

 

 だれ⁉︎

 だから、やっぱりこの人だれっ⁉︎

 

「あ、ほらもう教室行かなきゃ遅刻しちゃうよ?」

 と一応るなさんをお引き取り願いして教室に帰ってもらった。

 

 

 なんだったんだろうか…⁇

 えっとー…、飴あげたから懐かれた⁇

 

 …わからん。

 

 教室に入ると、今度は向井が

「あれ〜、昨日はお楽しみだったそうじゃありませんかぁ」

 とニヤニヤしてきた。

 

「はい?お楽しみ?」

「んもー、とぼけなさんなっ!この幸せ小僧め‼︎」

 と肘でツンってされた。

 

 えーっ?

 朝から一体なんなのだろうか…。

 

「どういうこと?」

「もー、しらばっくれて〜。昨日三野川さんから好き好き言われたんでしょ?」

 とまた肘ツンされた。

 

「あー、あれは飴の話だよ」

「またまたぁ」

 とまた肘ツン…

 

 …

 

 ま、いいか。

 

 そのままお昼休み向井とくだらない話で盛り上がっていると、

「やば、次実験室じゃん。」

 と誰かが言ったのでオレたちも慌てて実験室へと向かった。

 

 途中で三野川さんとるなさんに会った。

 

「あ〜、先輩こんにちは〜♡」

 とおててフリフリするるなさん。

 その横でぺこりとお辞儀する三野川さん。

 

 オレも一応、

「こんにちは。」

 と返事をしてお辞儀をした。

 

 

 二人が通り過ぎたころ向井が、

「あのー、昨日好きって言ったのは、三野川さんの方…だよね?」

 と不思議そうに聞いてきた。

 

「あー、うん…って、だから好きなのは飴だから。」

 と訂正するもそんなことよりも、

「でも、その友達の方が牧田の彼女っぽい雰囲気じゃなかった⁈」

 とオレの顔を覗き込んだ。

 

 …

 

「ね?なんだろう?」

「なんだろうじゃねーだろ!で、本命はどっち?清楚系三野川さん?それともお友達ちゃん?」

「えっ…どっちって…」

「あー、悩むよねー、オレはどっちもアリだわー」

 と、関係ないのにとなりで一生懸命悩んでいた。

 …そうじゃないけど…

 

 そうじゃないけど…ほんとるなさんどうしちゃったんだろう。

 

 不思議すぎて逆に心配になってきたわ…

 

 

 続く。

 

 

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