自惚れ危険

 そして、城一くんは三野川さんにアタックをしたらしい。

 

 だれもが羨む美男美女カップルが誕生する。皆そう思っていた。

 

 しかし…

 

 城一くんは、助けたというより落とし物を拾ってあげただけだったようだ。

 

 なので…なのでまさかのビックカップル誕生ならぬ事態に陥ったのだ。

 

 そして、クラスから次から次へと助けたのは、オレだと立候補がたくさん上がった。

 

 …

 

 みんな適当にオレオレ言っていたわけでもなかった。

 

 そう、三野川さんはうっかりさんだったのであります。

 

 よく何もないところで躓いたり、物をよくそこら辺に置いて忘れたりと…。

 

 しかし、皆さん違います。とみんなあっという間に玉砕していった。

 

 

 で、みんな諦めモードになりいつしかそんな話をすっかり忘れてしまうのである…わけがない‼︎

 

 なぜなら、よくうちのクラスに三野川さんが現れるようになったのであります。

 

 何しに来ているかって?

 それは三野川さんのお友達の、るなさんの先輩がこのクラスにいるからだ。

 

 るなさんは、体操部に所属しているそうだ。

 

 で…、その先輩に用事があるらしいのだが…なんかオレに近い二人。

 

 なんか、オレと友達の話をたまに聞き耳たててる?っぽいんだよなー。

 ま、聞かれても全然困らないくだらないゲームの話とかしてるだけなんだけどね。

 

 なーんだろ⁇

 

 

 

 そんなある日の放課後。

 

 また、部活の用事があるそうで三野川さんとるなさんが教室に来ていた。

 

 

 オレは部活をやっていないので友達と帰ろうとして二人を避けて通り過ぎようとしたら、鼻がムズムズしてきて、

 

 ファックションとくしゃみを放ってしまった。

 

 あー、スッキリした。…けどなんか女子二人の近くでくしゃみしてしまい、申し訳ない気持ちになった。

 

「あ、すんません…」

 といい、通り過ぎようとしたら三野川さんが、ポケットからスッとティッシュを出してオレに差し出してくれた。

 

 おぉ、女子力たかっ!

 

 …あ、ティッシュ…

 パンダなんだ…

 

 なんか色々思い出しちゃうからっ…

 

 落ち着いて‼︎

 オレ‼︎

 

 なので一応冷静を装い、

「ありがと、サンキュー」

 と受け取りながらオレがお礼をいうと、

 クスクス笑いながら三野川さんが

「それ、意味同じてす。」

 といいニッコリした。

 

 

 うわぁー、やっば‼︎

 笑顔の破壊力半端ねー。

 

 しかも、近くでみるとほんっとお人形さんみたいだわーと、惚れ惚れしてしまった。

 

 ティッシュをオレにくれると、三野川さんは部活がないのでそのまま帰っていった。

 

 で、オレの鼻もスッキリしたので帰ろうと思ったら、いきなりずいっと、るなさんがオレの隣にやってきて、

「見えますっ‼︎あなた近い未来びっくりしますっ‼︎」

 と言い放った。

 

「えっ?」

 とオレが聞き返すと、

「あ、わたし部活がありますので受付終了です」

 とあっさり行ってしまった。

 

 え⁇

 何それーーっ⁉︎

 

 受付時間教えてっ‼︎

 てか、オレ近々びっくりするの?

 近々じゃなくて今さっき…いきなりずいっと、るなさんが現れたときびっくりしましたけど⁉︎

 

 てかさ、

 それって占い⁉︎

 なにーーっ⁉︎

 

 と、悶々とした。

 

 

 よくわからないまま、次の日。

 

 あー、寝みーなーと思いながら教室に向かう途中

 ぬんっといきなり、るなさんが現れた。

 

 わー…、びっくりしたわーと一気に目が覚めた。

 

 すると、るなさんが

「どうです?びっくりすることありましたかね?」

 ときいてきた。

 

 …

 

「あー、今びっくりしたわ」

 というと、

「ほぅ、そんなんでびっくりしますか?」

 とはてな顔をしてきた。

 

 いや、そんなんでって…

 

 てか、それは意図的に驚かしてるよね?と思いながらチラリと、るなさんをみると…

 

 ⁉︎

 

 向こうから、三野川さんが歩いてきた。

 

 そして、緑の髪飾りを二個つけていた。

 

 あ、あの髪飾り…

 

「ね?びっくりしたでしょ?」

 ニヤリと笑うるなさん。

 

 え、てことは…

 

「あの、前に言ってた緑の髪飾りしてる人に好意を持たれるのってもしかして…オレ三野川さんから…その…好かれたりとかするのかな?」

 とるなさんに思い切って聞いてみた。

 

 すると、るなさんは

「かもしれなくなくもありませんね」

 と意味不明な発言をした。

 

 そしてるなさんは、

「レナ、おはよー」

 と三野川さんに挨拶をして元気よく立ち去って行ってしまった。

 

 三野川さんは、るなさんにおいていかれないようにオレにおはようございます。といい足早に通りすぎていった。

 

 オレもおはよう返しは、一応した。

 

 もう、オウムみたいにオハヨと。

 

 なんだか、頭がパニックで返事をするので精一杯って状態だ。

 

 るなさんは、きっと何かを知っているんだと思う。

 

 オレと三野川さんの何かを

 

 …

 

 てか、助けてくれた人を三野川さんは好きなんでしょ?

 オレのクラスのだれか。

 

 何を助けたの?

 あの事件じゃなくて?

 

 あの事件ならオレ……

 

 

 あー、でも、わっかんねー…っす。

 

 謎は、解決されぬまま…

 

 

 お昼休み自販機でジュースを買っていた。

 

 ?

 

 だれか後ろにいる?と気配を感じ振り向くと、

「指にしっぽが生えてる人たぶん、きっと…あなたが…あなたが気になっておりますよ」

 とオレの背後からるなさんが囁いてきた。

 

 えっ?

 

 指にしっぽって何よ⁉︎

 妖怪⁈

 と思っていたら…

 

 えっとー…

 

 るなさん…⁇

 

 あなた指から真っ白なしっぽ生えてんじゃん‼︎とまさかの二度見したオレ。

 

「え、るなさん…指…」

 

「ふふっ、これ指輪にしっぽがついてるの。かわいいでしょ?」

 としっぽをユラユラさせる、るなさん…。

 

 いや、構造じゃなくてね…

 発言だよ…

 

 るなさん…オレのこと気になってるの?と思った。

 

 てか、普通そんなこと言われたらそう思うよね⁉︎

 

 自惚れじゃないよね⁉︎

 

 るなさんって、オレのこと…好きなんじゃね⁉︎

 

 ってなるよね⁉︎

 

 だから、ストレートに聞いてみた。

 

「るなさん…、オレのこと好きになっちゃった?」

 と。

 

 すると、まさかのスン顔で

「いいえ。」

 と言われた。

 

 えっ⁇

 

 続く。

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