お化け役

 怪しい予言?をいきなりしてきた一年生の女の子。

 

 よくわからなかったけど、そのままどこかに行ってしまった。

 

 …なんだったのだろう?

 

 意味不明のまま、お昼休みになった。

 

 ごちそうさまでした。

 …でしたが、まだ満腹中枢が満腹じゃないよって囁いているような気がした。なので、パンをおかわりしようと売店に向かったのだが…

 

 

 オレの少し先の視線に…

 

 ‼︎

 

 え⁉︎

 あ、あれは…

 

 今朝の女の子と一緒に歩いていた三野川さん。

 

 てかさ…てか…

 髪の毛ーー‼︎

 

 髪飾りーー‼︎

 

 オレはびっくりした。

 まさかの二人お揃いで緑の髪飾りをつけているじゃありませんかっ‼︎

 

 オレの視線に気づいた今朝の女の子。

 オレを見ながらニヤリと笑った。

 

 

 ⁉︎

 

 あのニヤリは…一体…

 

 …

 

 すると、三野川さんがオレに気づいてお辞儀をしてきた。

 

 おー、ずいぶんと大人っぽくなってお辞儀なんてするようになったのか…と、近所のおじいちゃんかのようにオレは少し感動した。

 

 どうしてもあっかんべーのインパクトが強かったので、お辞儀をされてとにかく感動した。

 

 オレは、つられてお辞儀を返した。

 

 てかさ、てかっ‼︎

 

 なんで三野川さんまで緑の髪飾りつけてんの⁉︎

 

 もしかして…オレに好意もってくれてるのって…三野川さん…なわけないよねー…。

 

 あ、もしかして二人ともオレの事好きなんじゃね⁉︎って…それこそあるわけないよねー…。

 

 …

 

 じゃあどういう事⁉︎

 

 ちょっとプチパニックです。

 

 急募‼︎

 

 どなたかオレの脳内の整理整頓よろしくお願いします。

 

 って…そんなのできるわけがない。

 

 ちょっと待って‼︎

 この学校の女子生徒全員緑の髪飾りつけてんるじゃね⁉︎

 校則かわったの⁈

 と思い近くにいた女子をチラリ。チラリ。

 

 …あ、みんなつけてねーし。

 

 やっぱりつけてるのあの二人だけだし…

 

 ハハハ。

 なんか…何?って感じで見られてしまった。

 

 …そぅですよね。いきなり隣にいた男子が急にジロジロみてきたら、そりゃ何?ってなりますよね…。

 

 すみません。

 伝わらないかもしれませんが心の中ですみませんを連発した。

 

 

 …

 

 そんな意味不な発言をしてきた占い師みたいな女の子は、るなさんという名前らしい。

 

 だれかがそう呼んでいるのを偶然聞いた。

 

 だからどうしたって言われたらどうもしておりませんって話だ。

 

 そんな情報よりも今オレは心がブルーだ。

 てか、ブラックに近い。

 

 なにがどうしてそんな色になってしまったのかというと、実はオレはホラーが苦手だ。

 

 なのに‼︎なのにっ‼︎

 オレのクラスは、今年学園祭でお化け屋敷をやるのである。

 

 …あー、やりたくねー。

 こえーんだけどー…。

 

 と乗り気じゃないまま、準備を進めた。

 

 グロい…

 

 準備をすればするほどグロい…

 

 もう、入り口あたりからでてもいないのに冷たい空気を感じてしまう。

 

 

 …

 

 お化け役が準備をしながら楽しそうに笑っている。

 

 コワイ…

 

 クラスメイトにこんなにおそろしい方いらっしゃった?

 だれ?

 もう、だれだかもわからないっすよー…

 

 とにかく…

 

 お化け役さん…、頼むからお化けの格好して無邪気に笑わないでください。というわけで、オレは準備中みんなを直視できなかった。

 

 なんなら、交代でオレもお化け役をやるので、お化けになった自分をみてゾッとしたのは、いうまでもない。

 

 

 

 そんなこんなで当日…。

 

 あぁ、やっと…やっと今日でこの空間ともおさらばだぜ!

 

 今日だけ我慢すればもう暗い空間から解放される!

 

 さあ‼︎では、とっととやってしまいましょう‼︎というわけで、お化け役をこなした。

 

 

 おおう!

 お化け役意外と面白い‼︎

 自分のおそろしい顔も自分じゃみえないし。

 

 

 てなわけで張り切ってお化け役を堪能した。

 

 …んだけど、張り切りすぎてお客さんが転びそうになってしまった。

 

「おっと、大丈夫?」

 オレはとっさにお客さんを抱きしめた。

 

 …

 

 この感じは…

 

 …

 

 痩せたきゃしゃな女性…

 そして、長い髪からふんわりいい匂い…

 

 これは…

 

 やっぱり…

 女の人だよねー?

 

 暗くてよくわからないけど、きゃしゃだもんね。

 オレってよく女性を抱きしめちゃう運命なのかなぁー。

 

 わざとじゃないからね?

 と心で見苦しい言い訳をした。

 

 で、暗闇でお化け役のオレはこの人女性だよね?ってそっとお顔を確認中。

 

 どうせなら、女性でありますようにっ!

 

 って…

 

 

 あ…、転びそうになったのって三野川さんだったんだ。

 

 

 すると三野川さんがボソッと、

「え…この声…それにこの感じは…」

 とオレを見上げた。

 

 ヤベッ、バレる⁉︎

 

「お客さん、次の方来ますので…進んでください」

 と半ば強引に三野川さんをパッと離して誘導した。

 

 すると、仕方なさそうにお友達のるなさんに手を引かれて歩いて行った。

 

 

 ホッ。

 

 なんとかバレなくてよかったーと、ホッとしたのも束の間。

 

 この後、大変なことが起きるのであります。

 

 

 なんと、オレたちのクラスに三野川さんの運命の相手がいると、るなさんがクラスの男子に言い歩いているじゃないかっ⁉︎

 

 どうしてそうなった?

 

 なんだかわからないけど三野川さんは、オレのクラスに好きな人がいるらしい。

 

 まぁ、だいたいわかる‼︎

 

 なぜって、オレのクラスには同級生どころか、三年生からも一年生からも大人気な城一しろいちくんという人がいるからだ。

 

 だれもがそれは、城一くんだろう。

 そう思っていた。

 

 でも、詳しく情報を知ると…どうやらこのクラスのだれかが三野川さんを助けたそうだ。

 

 その助けてくれた人というのが、三野川さんの好きな人らしい。

 

 えっ⁉︎

 それってオレじゃね⁉︎

 

 バレた⁉︎

 いつからバレてた?

 やっぱりさっきのお化け屋敷のとき⁉︎

 と焦りつつ…ドギマギ。

 

 …していたんだけど、どうやらそれはオレじゃなかった。

 

 なんと、城一くんも三野川さんを助けていたらしい。

 

 しかも、数日前に。

 

 

 なるほどなー。

 ま、もしかしたらオレの存在なんて忘れてるかもだよな。

 

 少しホッとした。

 

 したけどさ…

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る