第9話 手持ち花火
花火寄せ絶やさぬよう火を移す
君から我へ我から君へ
夏の夜。君と2人で手持ち花火をしたね。
イタズラな風が、何度着けてもロウソクの火を吹き消すから。
笑いながら君は、煌々と輝く花火の先を私のまだ暗い花火の先へと寄せた。
しばらくの沈黙。
2人が見守る中、私の花火は少しづつ燃え始める。チラチラと赤い火花が散り出す。
勢いよく吹き出した花火を慌てて離すと、君の花火は終わりを迎えてしまう。
次の花火を、君は寄せてきて。今度は君の花火へ、私の火を移す。
まるで恋心のようだ。絶やさぬように。絶やさぬように。美しい花火を。恋心を。
それだけの事で、心の中まで赤々と光輝く。いつまでも。いつまでも。
たとえ花火のように、恋が終わりを迎えても。
この心の中の想い出は、消えないよ。
話と恋とそして日常の短歌 やまなみ @yama_nami
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。話と恋とそして日常の短歌の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます