第2話 懐かしい夏の風

車窓開け 夏風入れる 峠道

蜩の声 懐かしい匂い 


雨が上がり強い日差しが照りつけると、一気に街は蒸し暑くなった。クーラーを入れなければ車の中は暑くて煮えてしまいそう。


夏が来た。


街を離れ、清流を脇に見る山道へ入る。

窓を開けてみると、川風が心地よい。クーラーは切った。


窓全開で車を走らせると、一瞬。鶯の囀りが窓から飛び込んでくる。


山の濃い緑の風が吹き込む。草いきれが昨年と変わらぬ懐かしい香りだ。


大きなカーブをゆっくり回るその時、今年初めて蜩のカナカナが耳に届いた。



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