話と恋とそして日常の短歌

やまなみ

第1話  桔梗

人知れず 咲くからこその 清楚さの

野辺に咲きたる 桔梗の空色


梅雨の終わりの晴れた日に、ふと思い出した。そろそろ、あの山道の傍に、桔梗が咲き始める頃。毎年、夏草に紛れて、自生している桔梗が咲き並ぶあの道。


ここへ来れば、また会えると思っていた。


やはり、桔梗は咲き始めていた。

清楚に咲く桔梗の空色。


桔梗には園芸品種の華やかな形状の、紫や白、桃色もあるので、桔梗が清楚に咲くのではない。


野辺にひっそりと、自力で生きているこの桔梗の空色が、凛として美しい。



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