幕間

第11.5話

「……いいのかい? 言わなくて」

 タカが店を出てすぐ。店長が気まずそうに問いを投げかける。

「いいんだよ。せっかく頑張ってくれてんだ。水を差すような真似はしたくない」

 弦を張り替えながら、片手間に答える。

 別に隠しているわけじゃない。今が言うべき時じゃないだけだ。彼に言わなくても、アタシの答えは決まってるし。

「でも、勿体なくない? せっかく話の合うレーベルが見つかったってのに」

「……うるせぇよ」

 返す言葉が見つからない。

 いつからだろう。こんなにも息苦しく歌っているのは。自由を欲し続けて、より不自由な道を歩んでいくのは。


 ──アタシは、何のためにここにいるんだろうか。

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