第3話恐い人

僕は人相が悪い。白内障でサングラスをしているが、元ヤンキーの仲間からは僕がサングラスして黒のスーツ着て、喋らなかったら、絶対恐い人に勘違いされますよ!と、言われ続けている。しかも、体格がいいから僕がその格好なら、怖いモノ無しですよ!と。

帰宅して洗面台の鏡を見た。肌が浅黒く、やはり人相が悪い。

これから先はサングラスは欠かせない。

面接の時は、目が悪くてサングラスしてますが大丈夫ですか?と、面接前に先方に許可を得てから面接に挑む。

人生はRPG。エロゲーのシナリオライターの面接では、サングラスを掛けていたが僕を採用すると言う段階で、会社名、仕事内容、会話をしてはいけないと言われたので、怪しい会社だと感じて、採用を辞退した。


僕は人を殴った事などない、真面目?な、人生を歩いてきた。息子でさえ殴ったことはない。

暴力は、何も生まない。憎しみを生む。

ある知り合いがいて、昔は怖い世界の人間だったらしい。

人も殺した事があるとか、ないとか。武勇伝をよく僕に聴かせたもんだった。

警察官10人でやっと、取り押さえられたと豪語していた。ケンカで負けた事はないとも言う。

僕は話し半分に聴いていた。

ある日、顔にキズを作り僕の前に現れた。理由を尋ねると前夜、駅構内で酔っ払いに絡まれて殴られたと。

直ぐに鉄道警察に行き、犯人を捕まえようとしたと話した。

殴られたら、ケンカが強いのであればその場でボコボコにして、警察に突き出せば良かったのに。

また、ある晩は歓楽街でイラン人の客引きに捕まり、店に行くとそいつが話したサービスと全然違ったので怒り狂い、イラン人を蹴飛ばしたら反撃を受けて、あばら骨を骨折した。

この人、本当にケンカに強いのだろうか?

今までの武勇伝がウソだったと知った。

左手の小指が無いので、その世界の人間だったかも知れないが、この人は噺を盛っている。

もう、連絡が取れなくなり2年が経つ。

僕の人相が悪いと言われると、繊細な僕の心は痛むが、懲役を自慢するバカがどこにいるか!

アイツと縁が切れて良かった。

もっと、いいヤツだと思っていたのに。

僕はケンカ出来ないし、論破も出来ない凡人。

だから、僕をそっとしておいて欲しい。

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