[第四章:狂人遊戯/鎖の破壊]その6
「ああ、もうすぐ終わりですね」
「……」
基地総司令は、血にまみれた優樹を見て言う。彼の脇腹には三発の銃弾が撃ち込まれていた。
「…なぜ」
「なぜ、とは?」
基地総司令はいつもと変わらぬ表情で、あるものを見つめる。
それは、紫目たちによって強奪された爆弾であり、その周囲を徐々に侵食するエンジェル群体の末端であった。
「指令…!なぜ…かはっ…。なぜ、こんなことを!なぜ、姉さんを、殺した…!」
基地総司令を非難する優樹。その足元には、惨殺された寄添の遺体が転がっている。
呼び出された彼は基地総司令に紫目を停止させることや、テロをやめることを言った。今のエンジェル侵入の状況のことを交えて。
だが、その話は一蹴され、彼は銃撃を受ける。そして嫌がらせのように、紫目によって殺害された寄添の遺体を放ってきたのだ。
「…楽しい事、ですよ」
「たの、しい…?これのどこが…!」
怒りと悲しみの入り混じった声で、優樹は叫ぶ。
それに対し、基地司令は態度を変えることはない。
「途中で何をしようが、時期に誰もが、エンジェルやセラフィムに駆逐される」
彼は言葉を続ける。
「なにを怒っているのか。どうせ死ぬなら楽しく…もっと劇的に、面白く死んだほうがよいと言うものです。私も含めて、ね?」
基地総司令は主張する。
現在の社会情勢にあって、精神的負荷を受けすぎた結果生まれた、狂った理論を。
周囲を巻き込む厄介な自暴自棄ともとれる考えを、語っていく。
「…指令…は」
優樹は、それを聞いて確信した。
この男は狂っている。そしてそれは、もう取り返しのつかないところまで来ていると。
「…まぁ、そういうわけですので」
突如、基地総司令は踊り始める。
まるで優樹を煽るように体を大きく動かし、周り、ステップを踏み、そして。
「あなたも楽しい事があったことですし。さようなら」
銃口が向けられていた。
「……!」
瞬間。
銃弾が優樹の心臓を貫いた。
「く…ぁ」
苦悶の声が上がる。
もとより血を流しすぎていた優樹は、それがとどめとなり、一気に死へと傾いていく。
「……こんな、うぅ……ニロイ」
呟きが漏れる。
それと同時に、彼の腕は力なく地面に垂れてしまう。
「ニロイ……君を……」
優樹は思う。ニロイに普通の、人を殺したりしない人になって欲しかったと。
それが理想の押しつけをするだけの物とは知らず、彼は呆気なく命の火を消してしまう。
「………人に」
沈黙が、横たわった。
「…ふむ。ふむふむふむ。楽しい事があったようですね」
基地総司令は、今しがたの殺人を一切気にすることなく、すぐに意識を別の物へと移してしまう。
「さぁ。最後の楽しい楽しい自爆まで…。後二十分ほどですかねぇ」
壊れたような笑みを浮かべ、基地総司令は再び見る。
もうまもなくエンジェルが浸食し、それによって誘爆して全てを砕く、爆弾を。
「…どうせ。みんな死ぬんですから…ね」
そう言った時。
基地総司令の頬には、涙が伝っていた。
▽―▽
「 !!」
咆哮が都市とその外に響き渡る。
それを、自分も中破しながらも紫目を撃墜したニロイが聞く中、エンジェル群体がついに、再度の圧縮を開始する。
残された時間は、もうほとんどない。
▽―▽
「早くしよう、凪沙君」
「…」
大きな揺れが絶え間なく襲う中、凪と雲日は都市の出入り口へと向かっていた。
凪が足に損傷がある都合、それほどはやく動くことはできない。
雲日が彼を引っ張っていって、ようやく早歩き程度の速度が出ているだけだった。
そうなるのには、彼の精神状態も関係している。
(渚…)
一緒にいたいと望んだ彼女と離されてしまい、今の彼の心は沈んでいる。
雲日についていく以外にどうしようもなく、渚のところへ行くことはできない。
プログラムがある限り、やはり自由にはなれない。
「………」
そうであるからこそ、彼の足取りは重い。
「……」
「ねえ。凪沙君。ここを出たら、またどこかに家を建てよ?そうして、今までと同じように暮らすの」
雲日は凪の思いなど知らず、好き勝手に言い、彼を引っ張っていく。
彼を死んでしまった、今はいない夫として扱い、行動していくその姿は、どこか哀れだ。
(プログラム…)
凪が思う中、揺れに混ざって異音があちこちから響き渡る。
都市部の外側を覆う鉄骨群が、エンジェル群体の圧縮によって悲鳴を上げているのだ。
さらには目に見えて都市のあちこちが大きくひしゃげ、形を変えていく。
変形に耐え切れず、壁や道路は割れ、砕け、その破片が飛散し、時には凪たちのところへも飛んでくる。
状況は最悪としか言いようがない。
「早く、二人で生き残ろうね」
(その二人は…私と雲日じゃ…)
二人は進んでいく。もはやまともに歩けないような状態でもない道をどうにか乗り越え、蠢くエンジェル群体の末端を避けて、歩いていく。
「……」
その中で、凪はほとんど渚のことばかりを考える。
離れれば離れるほどに彼女を意識し、心配し、不安になる。
だがそれを知らない雲日は、一人しゃべり続ける。
決して凪ではない、死んだ夫との思い出を語りながら。
「……」
その様子を見て、凪は思う。
(雲日…は、私を…見ていない)
彼女はいつもそうだった。死んだ夫のことだけを考え、過去のことだけを持ち出す。
かつてのあのイベントから、彼女は凪を夫の代わりとして扱い、見てきた。
そしてそれは、凪のことを、彼と言う存在を、見ようとはしない行為である。
(……そんなだから)
凪は、行動した。
最初は、好意プログラムの存在により、大好きな雲日に自分を自分として見てもらうため、彼女の夫と違う行為を試みたのだ。
具体的には、渚にうっかり見せたような。変なギャグをやってみる、など。既に夫と同じ在り方を求められている中で、制限されていないあらゆる行為を、彼は試した。
そうすれば、自分を雲日は見てくれるのではと思い、一時期は習慣化するほどに行っていたのだった。
…だが、効果は一切出なかった。それどころか、ギャップを埋めようとするかのように、雲日は彼女の夫に近いあり方を求めた。
ただ凪を夫と認識しようとするだけでなく、本物に近づけようとした。
その結果が、体育館などで発揮されたものである。
(……私は)
何をしても、自身の主は自分ではなく、もういない夫を見た。
彼の喪失で悲しみに暮れる彼女の精神安定のために購入され、大好きとされる彼女のために尽力もした自分を、彼女はついぞ、見ることはなかった。
だからこそ、凪の心には傷が付き…好意プログラムに罅が入ったのだ。
(雲日なんて……)
今も彼女は凪の手を引き、失った夫にまつわる事ばかりを離している。
いつまでも、虚しくて、哀れな行為しかしていない。そんな彼女のために心と体を動かすプログラムなど、やはり邪魔でしかない。
(…私と、渚を…)
彼の心の中。プログラムが巣くうそこに、異音が鳴り響く。
それは、雲日が二人を引き離したことに起因する、彼女への不満や怒りのような感情が生まれているためである。
好きとは真逆と言っていい思いを形作りうるそれらが存在することで、彼女への凪の思いは、なくなっていく。
マイナスの方向へと転じていく。その状況が、好意プログラムのさらなる罅を発生させている。
同時に存在することはあり得ない思いが、あるという異常事態に、プログラムに負荷がかかり、壊れかけていたのだ。
(私は…………!)
彼はその中で、既に獲得していたのだろう。
主を…気持ちを。
「ようやくだよぉ」
言って、雲日が立ち止まったことで、凪は顔を上げる。
既に、二人は都市の出入り口の付近に辿りついていた。
その場所も他と例外なくエンジェル群体の圧縮の影響を受けており、相当変形してしまっている。
だが、道は捻じれながらもどうにか通れる状態で、大揺れの中でそれ以上形が崩れようとはしない。
おそらく、最初の圧縮時に内部の鉄骨などがうまい具合に組合い、他の場所よりも高い強度を獲得したのだろう。
「…凪沙君」
「…」
笑顔で雲日は言う。ここを通って、一緒に出ようと。
それに対し、凪は。
「…………」
無言でいるしかない。
「それじゃ、行こっか」
雲日は言って、彼の手を引き、再び歩き出そうとする。
そのときであった。
「あああ!」
感情を叩きつけるような叫びが聞こえた。
そして次の瞬間、
「まさ、か…!」
火だるまになった舞踏姫が、二人のところへ高速で落下した。
「きゃぁっ!?」
「…ぅ!?」
着弾の衝撃と、直後に生じた誘爆によって、雲日と凪は別方向に吹き飛ばされ、地面を勢いよく転がることになる。
「…っ、ぅ」
そしてそのとき、凪の懐からあるものが抜け落ちた。
「…」
落下した舞踏姫…紫目の機体は、空中にいる相手を見る。
「…な、ぜ…そこまで必死に……?」
紫目の機体の状態はひどい。今しがたの小爆発で装備は全損し、両腕は欠損。髪に隠されているが、その下の顔の半分は焼けただれて見るも無残だ。
一方、中の舞踏姫、ニロイはまで無事な方だ。
装備はひび割れた腰の装甲四つと、傷だらけの両腕で近接武器のように構えられた銃のみ。
だが、本体は銃痕や切られた傷こそあっても、問題なく動作しているようだ。
「…当機は」
紫目に問われ、ニロイは考えながら答える。
「…当機はただ…気持ち悪くて…気に食わなくて…」
周囲に紫目から生じた炎が広がっていく中、ニロイは続ける。
「だから……その気持ちを、処理したかったのかも…しれない」
「……」
紫目は無言で言葉を聞く。
「だから…命令を利用して、八つ当たりを…?それ以外できないから」
「…そうですか。それは」
紫目は、残った片目でニロイをしっかりと見つめて言う。
「楽しい事ですね。彼によれば」
そう言い残し、紫目は機能を停止する。
任務を終えたニロイは、その場を去っていく。
そのさなか、起き上がった凪は、あることに気づく。
「…ぁ」
思い出の品が。自分と彼女との時間を証明する作品が、燃えていくことに。
「…ぁぁ」
渚との時間を証明するものがなくなっていく。その現実を直視する。
「…渚」
それを見て、彼の頭の中で次々と流れていくものがある。
彼女と過ごした全ての時間の、記憶だ。
助け合い、共に遊び、共に作品を作った思い出。それらが、作品が炭化して燃え尽きる一瞬の内に、凪の頭を駆ける。
(…渚との…が、なくなる…それは…)
その様子が、渚を失うことを指しているかのように、彼は感じてしまった。
思い出の証の焼却が、すべてを無に帰すことのように、感じてしまった。
それほどまでに、凪は、渚との時間に価値を感じ、大切に思っていたからこそ、そんな感覚が生まれるのだった。
(私は…渚と離れたくない…、……ずっと一緒に…!)
その時、彼は決意する。
作品が燃えたことをきっかけに、プログラムに罅があるからこそ、思って。
(雲日を)
捨てようと。渚がいったように、自分を主を捨てたい、捨てようと彼は思う。
そうすることは、邪魔な好意プログラムを打ち砕くことに、等しいため。
全ては渚の元へ行くために。彼女と共にあるために。
▽ー▽
「……な…ぎ」
渚は一人、呟く。
龍太郎を助けようとする思考が、彼女の体を動かす。
だがその中で、彼女はさきほど会った彼…凪のことを考えていた。
「…だ、れ…かな」
今の彼女には、凪の記憶はあまりない。寄添が誤って消してしまったがために、だ。
しかしそれでも、気持ちが完全になかったことになるわけではない。
ただ、その思いを向ける相手が不明となっているだけで、彼女は凪をなんとも思わなくなってしまったわけではない。
それを証明するかのように、大好きなはずの主を助けるさなかで、知らないはずの凪のことを考えている。
「…分から、ない。…でも」
彼女は、作業の手を止める。
「マス、ターのこ…とを考え、ている時より。暖か、い…なぁ」
ぼんやりと、彼女は思う。
主よりも、凪のことを考えている方が、気持ちが良いと。
…本来、完全に調整ができてれば、そんな思いが生まれる余地はないはずであるが、幸か不幸か、寄添がしくじっていたことで、その余裕が残っている。
好意プログラムの罅は、表面上は治っているが、実際はむしろ、拡大すらしていた。
「…あの人は」
渚は考える。なぜだか分からないが、あの誰かのことが、気になるから。
「…私の」
調整の失敗が原因となる、壊れかけの思考の中、渚は考え続ける。
「どうした…?」
その様子を見た龍太郎の言葉を聞き、渚は。
「…や、めて…」
「なに…?」
「え…?」
自分でも分からないうちに、龍太郎に対し、拒絶の言葉を吐く。
「私。は…」
そして、彼女は考え続ける。
自分の思いを、気持ちを。あの惹かれる誰かのことを。
都市が幾度となく揺れ、明かりもなくなっていく中、彼女は考え続けた。
ただひたすらに。
その結果。
「…そういえば」
渚は思い出す。本当に最低限の思いを。大切な彼との記憶を。
「…凪。こ、こを出て…」
「どうし、た…おい」
龍太郎の言葉に、渚は反応を返さない。
「それじゃぁ、もう会、えない…?いられ、ない…?」
彼女は無意識に、服の奥にある、落ちたときに破損していた作品を握りしめる。
「そん、なの……」
呟きと共に、彼女は拒否するかのように首を左右に振り始める。
そこに、再度龍太郎の声がかかった時。
「おい、お前…」
「…やめて。マス、ター。もう、話しかけ、ないで」
渚ははっきりと、それを拒絶した。
「私は、マスターが…嫌い。だから…すてるよ」
「なん…?」
その言葉に絶句する龍太郎を置いて、渚は歩き始める。
自身の主を、今の発言通り、捨てるために。
「マスターは、最、低な人だ、から…」
言い残し、渚は家の残骸から去っていく。
プログラムに縛られていればできないはずの、ことをして、だ。
「凪…」
渚がそうできた理由。それは二つある。
一つは、寄添がプログラムの罅を拡大させ、それが崩壊を誘発しかない段階にまでに至っていたこと。
もう一つは。
「私…凪と」
渚の、凪への思い故であると、言えるのかもしれない。
▽―▽
「雲日」
「なに?凪沙君」
凪は始める。主を捨てるために。
「もう、やめたら?虚しい事は。私を夫代わりにすることは」
「…!」
その瞬間、雲日の顔に衝撃が走った。
「な、なにを…」
「いい加減にしてくれ。私は…前から」
凪は言う。主を傷つけるようなことを言うなとするプログラムの叫びに強引に抗って。
それができるのは、プログラムの存在を自覚し、邪魔と思っているから。渚と自分を引き離す原因となる雲日に、もはや一切の気持ちがないからだ。
「嫌だったんだ。全部。雲日は私を見てくれない。どう頑張っても見てくれない」
「何を…」
戸惑う雲日を余所に、凪は続ける。
「私じゃない…死んだ夫を、死んだ夫のことをいつまでも引きずって」
「やめて!」
いきなり、雲日が叫ぶ。
「言わないで!凪沙君は…、凪沙君は…」
彼女は恐れを顔に浮かばせ、首を左右に振る。
「ここに、ここに…」
「それが嫌なんだ!私はそんなことをしてほしくなかった…!」
つい心が熱くなり、凪は叫ぶ。
それと同時に、彼の頭の中でプログラムがさらなる叫びをあげる。大好きな主に何を言っているのか、やめろと。
「うう、ううう…!」
都市がさらに圧縮される。揺れは一段と激しくなっていく。
「認めろ!雲日の夫は死んだんだ!死んだ!死んだんだ!」
鎖はさらに強く反発し、凪の本心と拮抗する。
頭の中の叫びは耳鳴りや頭痛のようになって、彼を襲う。
「やめて、やめて、やめて…!」
認めたくないというかのように、雲日はさらに激しく首を振る。
「そんなだから」
そして、彼は言おうとする。プログラムを破るため、主を捨てるため、抱え続けたつらい気持ちを最後まで吐き出すため。
「私は」
(やめろ!私は雲日のことが!)
「……っ」
凪の頭の中、轟音が上がる。
プログラムに真っ向から反し、禁断の行為を行おうとする本心をねじ伏せようと絶叫してくる。
精神内の異常なまでの反発は、彼の心に尋常ではない負担を強いる。
「……っくぁ…ぁ!」
それでも凪が抗えるのは。今までのようにどこかで止まるようなことがないのは、雲日が直接的に彼と渚を引き離す蛮行に及んだ故。それによって極限までプログラムの罅が拡大していたが故だった。
「雲日…!」
「凪沙君…!」
そのとき、彼女が目じりに涙を浮かべながら言う。
「お願い、お願いだから…凪沙君でいて…!そして、私と一緒に…!」
すっと、手が差し出される。
「私と一緒にいてよ…!私を一人にしないでよぉぉぉぉぉ!」
周囲を異音が満たしていく中、彼女の叫びが響き渡る。
それを聞いた凪の脳内で、プログラムが本心を制圧しようと、最大限の抵抗を行う。
(そうだ!その手をとらなければならない!大好きな雲日のために!私はそうしなければ…!)
(………)
しかし、本心はそれに従わない。
そこにあるのはもはや嫌いと言える段階になっている雲日の存在ではなく…渚だけなのだ。
であるからこそ。
(私は雲日を好)
(うるさい!)
差し出された彼女の手を、凪は払った。
そして、プログラムにとどめを刺すため、たった一言を、彼は叫ぶ。
「私は…雲日なんて…嫌いだ!」
「え………」
瞬間。プログラムに致命的な損傷が起きる。規定されたことと真逆の思いを、声と言う明確な形にして出したことで、生じた異常が限界を迎える。
(わた…雲日…き)
(いいや。私は渚が)
砕け散る。頭の中に巣くっていた鎖が壊れ、形をなくしていくのを、凪は感じる。
自分の心が自由になるのを、自覚する。
(行こう。渚のところへ)
既にプログラムを粉砕した彼は、雲日を背にし、足を引きずって進み始める。
都市がなくなる前に、渚のところへ至るために。
「え…?凪沙君…どこに、どこに行くの?」
それを見て。雲日が叫ぶ。
「行かないで!私をおいて消えないで!もう二度と…!」
彼女は必死に叫ぶ。
凪の手を引こうと再び手を伸ばす。
だがそれを、彼は乱暴に振り払った。
「…雲日の夫はいない。ここにいるのは私、凪だ…。雲日がついぞ見てくれなかった」
「………」
凪の、不満を含めた思いのこもった、静かな言葉。それと二度も手を払われ、明確に拒絶されたことで、雲日はついに沈黙する。
何かを諦めたかのように、目線を下にする。
「渚…!」
そんな彼女のことなど、もはや見向きもしない。凪は原形が一切分からないほどにまで変わる都市を行く。
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