二十五話
之長はそう思って後悔を胸に留めた。
そして改めて威儀を正すと
「私も、上洛する前に聞いた噂の
そう言って優しく諭す。
まだまだ子供である澄元はその様な感情よりも、澄之に対する友情を大切にしたいと思ってしまう気持ちは解らなくは無いし、之長はその様な若い純真な心を羨ましくも思うのだ。
「儂は・・・」
澄元がなにか言おうとするが、之長はそれを遮って
「若殿、実はこの之長、暫くの間、
そう言って頭を下げた。
澄元は項垂れていた頭をビクリとさせて顔を上げ目を剥く
「何故だ!儂が嫌になったのか!?」
澄元が少しだけホッとしたのも束の間、之長は重苦しく口を開く
「
之長の言葉は澄元を
澄元のような純真な子であれば、自身に責任をなすりつけて苦しむだろうが、隠していても、もはやどうにもならない状況なのだ。
澄元にはなんとか飲み込んでもらって成長してもらうしか無いのである。
「私は
之長は澄元を励まそうと力強く言ってみたが、澄元は不安そうに
「勝てるのか・・・?」
と泣きそうな顔でそういった。
「さて、
之長は自信満々に胸を叩いて高笑いしてみせた。
その日の夜半、之長は突如京から姿を消したのである。
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