第4話 中学校は瑞城に
小学校高学年のころには二人で
「わたしね、中学校は
と李津子に言われたのは小学校五年生の八月の終わり、夏休みが終わろうとしているころ。
そうやってプールサイドにつかまっておしゃべりしているときだった。
茉莉は驚いた。
「なんで瑞城?」
瑞城はおカネ持ちの女の子が行く学校。
瑞城の生徒は頭が悪いうえにガラが悪い。
それが、茉莉のまわりで、子どもも大人も言っていることだったから。
「瑞城の高校には地域人材育成科っていうのがあるんだよね」
出た!
瑞城のなかでも、その「
でも、李津子は、まじめに言った。
「うちの仕事、だれかが
ホテル
「その地域人材育成科って、地元で仕事する子を育てる科なんだよね。そこでいろいろ勉強したい。だったら、中学校から瑞城に行っといたほうがいいじゃない?」
西日の射し込むプールで、李津子の目が輝いて見えたのは、プールで泳いでいるときだからあたりまえだったのか。
自分が中学受験するかなんて考えたこともない茉莉。
まして、中学校の先、高校をどうする、そのあとどうする、なんて考えたことはない。
李津子は考えている。
茉莉は
「じゃ、わたしも、瑞城、行く!」
とてもきっぱりと言い切った。
李津子は目を大きく見開いて茉莉を見た。
あり得ないことを聞いた、と言うように。
だから、茉莉は、もういちど、はっきりと、力をこめて言い切った。
「わたしも、李津子ちゃんといっしょに、瑞城、行く」
李津子がどう反応したか、じつは茉莉は覚えていない。
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