第8話 王子と玉子は紙一重


 瑞月みずき灯夏とうかの会話を聞いていると通知音が鳴った。


インステの通知かぁホーム画面からじゃどんな内容かわからないんだよね。


「通知なったぞかのん。」


「あっうん分かってるよ。」


「いや、はよ返しなよ。王子様かもだぞ。」


「だな〜」


にへにへしながら2人はからかってくる。


こういう悪ノリっていけないと思うんだー


と思いつつも私はインステを開き、DMをみる。


あ、日比野くんじゃん。


昨日返してくれなかったのに。


「へ〜そうかそうか。日比野くんって子ね。」と灯夏。


「どんな玉子様たまごさまか観に行こうぜ。」と瑞月。


「そういうのじゃないからさー」と私。


ついにかのんにも春がやってきたな、と2人してハイタッチしている。


人の話聞かないなーこいつら。


来ている内容は、っと『よろしく!アイコン小鳥だけど鳥好きなの?』


ふむ…『好きだよ〜ウチで飼ってるんだ。』で良いか。


灯夏は覗き見て言う。


「えーもうちょいさ、!《びっくり》とか絵文字つけようよーアピろうよー」


「そんなんじゃないってさっきも言ったじゃん!」


「灯夏の言うとおりだ。かのんは可愛いんだから男なんてホイホイ釣れるし、相手も自分磨かないとかのんと釣り合わんからってカッコよくなっていくからかのんの望みも叶う。日比野くんとくっついちゃえよ。」


なんだか瑞月は謎理論を展開し始めるし…ホントに勝手な奴らだなぁ。


「そういやなんで日比野くんはかのんをフォローしてきたんだろ?」


「そんなの決まってんだろ。かのんの玉子様たまごさまに立候補したいんだろ。」


「普通に友だちって感じでしょ。」


「うわーかのん冷えてんねー恋の予感かもなのにさ。」


「そうだそうだ灯夏の言う通り。いつもは意識してなかったアイツが急にかっこよくなって、『あれ?アイツってこんな感じだったっけ?トゥンク♡』ってのもあるんだぞ?」


「瑞月なんでもゲームに例えんな。」


「残念マンガですーだ。」


「でもさー同い年の男子って幼くみえるじゃん。」


そうじゃない?なんか私たち女子に比べて子供っぽいというか。


「そこが良いんだろーがっつーの。で、日比野くん観に行かね?」


話題転換というか、元の話題というか、灯夏は話を戻した。


「嫌だよ。」


「かのん辛辣すぎ。」


瑞月が何か言ってるがホントにただの友だちだしなぁ。


「てかさ、私の玉子様たまごさまに誰か触れてくれよ。」


わかってて言わなかったんだけどなぁ瑞月。







「で、きっかけはなんなのよ。」


荻野さんは僕を見つめて言う。


「それは…」


始業5分前の予鈴。昼休みは終わりだ。


「また今度言う…かもしれない!」


「いや、絶対言ってもらうから。」


「言わない‼」


僕は思いっきり扉を開け、階段を勢いよく駆け下りた。








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