第6話 寝坊ってロクなことが無いよねって話
ドタバタ、タタタッガチャ
早朝の我が家に響く生活音。
朝、そうだ。朝練!
ガバッと身体を起こし、時計に目をやる。
現在6時30分。今からなら間に合いそうだ。
急いで支度をした僕は一通のDMに気づかなかった。
「わりい快都、遅れたわ。」
「まあ時間通りじゃね?」
朝練の時間には間に合った。しかし、僕にとっては時間通りではないのだ。
陸上部はもう外周を始めている。
「外周行ってくる。」
「は」
唖然とする快都を放って僕は外周に行く。
「お?日比野は外周に行ったのか。」
「あ、郷間キャプテン」
「…板端お前は行かないのか?」
180近くあるキャプテンに見下され、圧に耐えれなかった快都は、
「い、いえ。行きますとも…」
快都は僕と一緒に外周することになった。
「おい、明里待ってくれ。」
「待てない。置いていく。」
「性格悪っ」
「悪くない」
僕はせっせと脚を進める。
しかし、流石陸上部。追いつくことができない。
なんならこのまま周回遅れになってしまいそうだ。
「ぜぇ…はァッ…ちょっとまって……」
快都が朝から死にそうになっている。
「分かったよ。待つよ」
「お前と違ってランニングすることに意味が無いんだよ…こっちは」
「いやいや、体力はサッカーにも大事だろ。」
「そういう意味ちゃうねん。」
「?…あぁそういう意味ね。」
どうやら快都は、恋の原動力だろって言いたいようだ。
うーむ。だってそうだろ。誰だってそうじゃないかな?
少し休んで快都の復活を待ってると、周回遅れの僕らを陸上部の集団が回収するかのようにやってきた。
美鈴さんを見れるチャンス!!
タッタタッ スッスハッハ タッタタッ
規則正しい足音と規則正しい呼吸が聞こえてくるほどに距離は近い。
朝日に照らされている姿は、後光が差しているのかのように輝いている。
だが、この時間は決して良いものでなかった。
この集団が僕らの前を通るとき、美鈴さんはチラリとこちらを一瞥した。
一瞥
これだけだ。
目を逸らすかのようにすぐに前を向く。
至って普通のことなのだが、これが何故か引っかかってしまう。
真剣な表情の美鈴さんはかっこよくて素敵だなっていつもなら思う。
昨日のラッキーがあったから勘違いしてしまってるのかもしれないが、何か気に触ることがあったのかもしれない。
そう考えると怖くなった。
だから、朝練は全く集中出来なかった。
一限目。普段なら眠たくなってしまうのだが、今日の眼は冴えている。
数学の与式が書かれる黒板の叩かれる音が今日は耳に入ってこない。
時間が進むのは早く、みんなは就寝。
いつも休み時間まで寝ているのだ。
終了を知らせるチャイムが鳴り、眠そうな学級委員が号令をかける。
起立、礼。
僕は永見のもとに駆けつける。
「永見!女子の様子がおかしい時ってどんな時?」
「なんで俺に聞くんだよ。女子に聞けよ。」
永見はケラケラと笑っている。真面目な話なんだがな。
あっでも、と永見は口を開く。
「生理なんじゃね?」
永見に聞いたのが間違いだった。
「日比野くん?だったよね。なんでそんなの気になるの?」
女子の声。誰だったかな…えっと、
「
「
「でもさ、秘密だからさ…」
「日比野くん、隠し事苦手だよね?」
「えっなんでそのこと」
「下手すぎるじゃん、隠すの」
荻野さんいわく全部顔に書かれているらしい。
まぬけだね、とかとか言われました。
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