第2話 これもまた運命だなんて呼んだりして...
今朝の永見は本当に役に立たなかった。
いや、むしろ僕と次元が違ったんだろうか?
あ、もちろん向こうが上だったって話だよ。
友だちも増えて、相談が出来るようになったのは良いんだけどな。
みんな今までそれなりに女子や人と話してきたんだろうなって思う。
あぁあ‼色々考えてたらモヤモヤするだけだ!
インステでも見よう。
インステって何?だって?
インターステーション。通称インステ。
SNSのアプリケーションだよ。
写真を投稿したり、DMってので話したり出来る便利ツールなんだ!
同じ中学校の友だちには、これを使って彼女つくったやつもいるんだ...。
「あっ..」
目に入るのは、(好きな人へのアプローチの仕方!)(コレきたら脈なし⁉)っと言った
ような恋愛系の投稿だ。
みんながいる教室でこんなの開けないよなーと思いつつ保存しておく。
帰ってから確認しよう。
教室がざわつき、学級委員が黒板になにか書いている。
次の生物授業が生物教室であるそうだ。
移動教室なら早く行こう。
「おーい永見。早く生物行こうぜ。」
「待て待て、サボるための準備がまだなんだよ。」
永見はいそいそとパソコンを取り出している。
真面目に授業受けてないのに成績いいんだよなーこいつ。
「よし!行こうぜ日比野。」
「おっせーよ。」
開始まで残り2分じゃないか。
僕らは疾風のごとく廊下を走る。
走るなって?どうせ誰も見てないって!
その時、僕の目に見えたのは、あの人。
僕の生活を根本から変えてしまった人。
名前は、美鈴かのんさん。
常に光る黒色の長い髪。端正な顔立ち。スラリとして綺麗な脚。
容姿だけで紹介してしまえたら簡単なのだが、それだけじゃないんだ。
この話は、またいつかしよう。
刹那、美鈴さんとすれ違う。
そして思考は巡る。
廊下を走るようなダサい男って思われてないかな?
あんなに慌ててみっともないって思われてないかな?
考えるだけで、自分に嫌悪の感情が湧き出てくる。
あぁ!永見を待たなければよかった。とも思ってくる。
本当に今日はツイてないと思う。
良かったことがあるとするなら、生物には間に合ったことだ。
間に合ったのは良いことなんだが、さっきのことを考えると気が気でない。
授業の内容も全く入ってこない。
授業開始から15分。僕らを夢の世界に誘う先生の声はすでにクラスの半数の意識を刈り取っていた。
もちろん永見も含め。
前向きにさっきのことを考えてみよう。
あんなところで出会えたのは、ラッキーだったんじゃないか?
隣のクラスとは言え、友だちがいないクラスにズケズケ入ってはいけない。
そんなメンタルがあったら、とっくに話しかけてるしね。
に、しても......本当に可愛いなぁ。
ぜひぜひ君たちにも共有したいよ。
なんだか頭もスッキリしたからさ、授業でも聞こうかな。
数分後、僕の意識もすっかり刈り取られてしまっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます