アイちゃんの、ある告白
夕日が落ち切った空。
周りはすっかり暗がりで、さっきの暗闇空間みたいだ。
パーティーハウスに着くと、ぞろぞろとみんなで中へ入った。
そして、丸いテーブルを囲む。これが話し合いスタートなのだった。
「アイちゃん」
セナさんが、いつものようにふざけていなく、優しい声で言う。
アイちゃんは、ギリギリ聞き取れるような声で「うん」といった。
「あのね、アカネちゃん」
初めて名前で呼ばれた……⁉
私はやや感動気味でアイちゃんが言葉を紡ぐのを待つ。
「ごめんね」
「な、なにが———」
「あたい、騙してたの」
何のことだろう。
そしてとうとう、アイちゃんが大事なことを言った。
「あたい、あたい……
「いやぁ。そんなこと気にしな―――はっ⁉」
「ごめんなさい。信用できる人か分かんなくて……とりあえず、様子見ってことで、嘘ついてたの」
「あっ、う、ううん。見ず知らずの人が突然パーティーに入ってきたら警戒するよね。それに、私、強くないし———」
「そんな事ないもん」
私の言葉をさえぎっていった。
「アカネちゃん、強いよ。あたいは、同じ種族なのに口ごたえできなかった!だけど、だけど……冷静に対処しきれてるアカネちゃんは、すごく、強かった」
嬉しかった。
てっきりアイちゃんに嫌われてたと思ってたから。
それに、こんな早い段階で正体を教えてくれたことが。
「ありがとう。アイちゃん!これから仲良くしようね」
「ひゃ⁉」
私より小さい体に抱き着く。
「別に、まだ気を許し切ったわけじゃないんだし」
その声は、朝より優しい声だった気がした。
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