地獄の特訓の始まりです

「さあ、アカネ、回復系魔法の取得をしていく……前に」


「前に?」


「まず、自分の命だけでも守る、B.1の防御を取得しよう」


「……拒否」


「えぇぇ。簡単だよぉ。やろうよ~」


「セナさんには簡単かもしれないですけどね。私、自称Eランクモンスター以下の天使ひよこなんですよ。それにB.1ランク防御を覚えろと。ふん。私に負ける奴なんているんでしょうか。はぁ」


自分でいておいてなんだが、すごく情けない。でも、事実なんだから。


―――一時期、「天使=最弱。なんて常識、間違ってる」と言っていた私の情熱はどこ行った……そうか、昨日のアイちゃんの走りに踏んづけられたまま、置いてきてしまったのか。


「もう。それじゃあ、自信を持つ練習もしようね。地獄の特訓の始まりだ!」


あのですね。自分で地獄の特訓って言ったら、だれも特訓に挑まなくなるんですよ。怖くて。

だってほら私の足、ギネス世界記録に認定されるほどデカく震えてますよ。どっちかっていうと揺れてる?


嫌な予感がする。悪寒がする。


最悪な豆腐メンタルで、「地獄の特訓」に挑むのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る