怠惰な陰キャ、神をも超える

「こ、これは……!」

「れ、怜君……⁉」


 俺の姿を見て、詩織や刃馬が驚きの声をあげている。


 まあ、急に黒白のオーラが俺をまとい始めたからな。

 驚くのも無理からぬことだろう。


「安心しろ。魔神としての自我は封じ込めた。またあの姿に戻ることはない」


「か、かっこいい……」


 詩織の呟き声を聞き流しつつ、俺は再び目前の敵に向き直る。


 ――第二魔神フェグニア=ユグナント。

 異界を束ねる七柱の一角にして、幻惑を得意とする魔神でもあったはずだ。

 相手を惑わし、誑かし、みずから手を下さずとも敵軍を全滅させる……。


 今回のように多くの人間を操った性悪な能力が、あいつの何よりの得意分野だったな。


「ふん……。今さら何を」

 巨大化した魔神フェグニアが、怒りに満ちた視線で俺を見下ろす。

「人間に誑かされた君のことなんか、もう知らないさ。あとで君を持ち帰って……、ゆ~~~っくり、お説教してあげるからね!」


 魔神フェグニアはそう言うと、両腕を大きく広げた。


 その瞬間、なんと周囲にも大勢の〝魔神フェグニア〟が出現。言わずもがな、奴自身の幻惑能力を使用しているのだろう。


「…………」


 幻惑と聞くとあまり強そうに見えないかもしれないが、魔神フェグニアに限っては無類の強さを発揮する。


 なぜならば――。


「そらそらそら!」

「死ね死ね死ね!」


 魔神フェグニアの幻惑は、生み出された幻惑を実体化することができるからだ。


 つまり言い換えれば、実体化した自身の分身を無尽蔵に作れるということであり――。

 そうした性悪な能力を見込まれて、魔神の地位を授かったわけだ。


「はははははははは! どうかなレンディアス! さしもの君も、これには耐えきれまい!」


「…………」


 複数の魔神フェグニアから繰り出される魔法の数々を、俺は無言で避け続ける。


 獄炎魔法――ブラッドエクスゾーマ。

 死風魔法――デススクリーンアロー。


 人間社会には存在しない上位魔法を、容赦なく浴びせてきている。


《ブラッドエクスゾーマ》は、強大な大爆発を起こすのみならず、死ぬまで一生まとわり続ける獄炎を付与する。


《デススクリーンアロー》は、触れるだけでHPの三分の一を奪い取っていく凶悪な能力を所持している。


「な、なに……あれ……」

「あんな魔法……ダンジョン管理省うちでも把握しきれておりません……」


 そんな魔法が間断なく飛び交っていることから、俺の周囲は即座に荒地と化した。


「アハハハハハ! どうかなレンディアス! 手も足も出ないかな⁉」


「……鬱陶しい奴だな」

 俺は舌打ちをかますと、魔神フェグニアの分身に向けて手のひらを向けた。

「邪魔だ。消えろ・・・


「なに…………⁉」


 俺が魔神の力を解放した瞬間、魔法を撃ちこんできていた分身どもが文字通り消えた・・・


 これが第四魔神レンディアス=ゾロアーガの異能。

 ありとあらゆる存在を問答無用で消し去る、異界でも割と恐れられていた力だ。


 もちろん制約もあって、俺と近しい実力者、もしくは“俺より強い者”には通用しないけどな。

 それでも分身程度なら余裕で消せるわけだ。


「はっ……、本当につまらないね。当時の力をもう完全に再現できるのか」


 魔神フェグニアにとってはもちろん、俺の力は見慣れたもの。

 無惨に消えていった分身を見て、つまらなそうに吐き捨てた。


「馬鹿かおまえは。〝当時の力〟だけなわけないだろ」


「ん…………?」


 破壊の力はあくまで魔神レンディアスとしての力。

 二十万人もの声援を受けて《世界創生の剣》を手に入れた俺は、破壊とは対となる力を手に入れた。


 すなわち――。


「――ひざまずけ」


 俺がそう命じると、さっき俺が滅ぼしたはずの分身が復活。

 しかも俺に付き従う形で、魔神フェグニアとは対立する構図で再生されたのである。


「は……? おいおい、まさかこれは……」


「その通り」

 戸惑いの声を発する魔神フェグニアに向けて、俺はにやりと笑って答える。

「創造の前に破壊あり。――俺が破壊したものを創造して付き従わせる、それが今の俺の力だ」

===============

《 ※重要!※ ブラウザバックする前にご一読くださいm(__)m 》


あと少し…あと少しでランキングに返り咲きます……!

私も働きながらなんとか時間を見つけて執筆していますので、

少しでも面白いと感じてくださったなら、どうかぜひページ下部の『☆で称える』の+ボタンを3回押して、評価を入れていただけると嬉しいです。

※あと【レビュー】や【フォロー】もめちゃめちゃ嬉しいです!!!!!


たった数秒で終わる操作ではありますが、

やはり☆やフォローがあるかないかだけで、作品の未来ががっつり左右されます!

たかがワンポチではありません!

何卒よろしくお願いします……!


また、すでに☆やフォロー、応援して下さっている方、本当にありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る